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三
46話 搬送先の病院
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まもなくして救急車が到着した。
担架で運ばれていく様子を呆然と見ていた満は、救急車に乗り込んだ鮫島を見て急いで立ち上がった。
「ま...待ってっ、俺も...」
「必要ない。お前は今一緒にくる資格があると思うか?」
そう吐き捨てると冷酷な目を満に向け、満を外に押し出し扉を閉めさせた。
救急車が目の前から去っていっても満は諦めることなく、近くを通ったタクシーを止めてすぐに救急車の後を追わせた。
病院に着くと慶はすぐに手術室に運ばれ、鮫島もまた怪我の処置を受けることとなった。
軽くではあったものの頭を打っていたため少しの間ベットで横になるよう促された。身体を倒すと先ほどの出来事が頭の中を駆け巡り、それが嫌なほどに鮮明に映し出された。
彼に勢いよく道路に押し出された俺はトラックのクラクションと共にぶつかる事を悟った。目を閉じ重力逆らうことをやめた俺の身体はある人物によって更にその先まで投げ出された。
頭に強い痛みを感じながらも身体を起こすと、近くからは激しい悲鳴と心配して俺に駆け寄る人たちがギャラリーと化していた。
大袈裟だと思ったのも束の間、トラックにべっとりと付いていた血痕を見て鮫島は後ろを振り返った。そこには大量に血を流して倒れる慶の姿があった。
血の気が引き鮫島は慶を抱き起こすと、まだ少し意識のあった慶に必死で話しかけた。すぐに救急車を呼び到着するまでの間なんとか慶の意識を途絶えさせないように尽くした。
だんだんと救急車のサイレンが近づいてきた時安堵の表情を浮かべた鮫島に慶は最後の力を振り絞って一言告げ、その後目を閉じた。
服に付着した慶の血液を見ながらぼーっとしているとそこに事態を聞きつけた芝野が息を切らして入ってきた。
「要さん大丈夫ですか!?事故に遭ったと聞いて...。」
「あぁ、俺は大丈夫だ。俺は、な......。あいつは今オペを受けてる。医師や看護師が何も言ってこないと言うことはそれほど深刻な状況なんだろうな。」
淡々と話をする鮫島に言葉を失くした芝野は鮫島のベットの横にしゃがみこんだ。
しかしその瞬間、廊下から激しい足音が聞こえ医師たちが数人揃って部屋に入ってきた。
鮫島が身を起こし芝野も気を確かにして立ち上がると二人に医師が話をした。
「桜庭慶さんの付き添いの方々ですね。今別の者が最善を尽くしています。...しかし、非常に珍しい血液型なもので。ストックしてある血液にも限りがあり...身内や知り合いで彼と同じ血液型の方はいませんか?」
その話を聞くと鮫島はすぐに立ち上がった。
「私は彼と同じRhマイナスのAB型です。過去にも彼に血をあげたこともあります。いくらでも採っていいので彼に使ってください。」
鮫島の言葉を聞いた医師はすぐに看護師に採血の道具を取りに行かせその場で採血を始めた。
怪我を負っていた鮫島に気遣い量を調整しようとした医師に対して鮫島は「私のことはいいので今は彼を優先して欲しい。」と言われ、限界量まで採血をした。
採血と話を終え医師たちが部屋から出ていくと鮫島は芝野の方に顔を向けた。
「お前までそう暗い顔をするな。あいつを信じろ、絶対帰ってくる。」
そう鮫島から言われると、芝野は涙を流しながら何度も頷いた。
それから数時間が経ち、身体を休めた鮫島が起き上がるとソファで泣き疲れて眠る芝野にブランケットをかけた。
「あの時の約束...一緒に、弾くん...でしょ?だから......僕は死なないよ。」
鮫島は最後に言った慶のその言葉を思い返して笑みを浮かべた。しかしそれと同時に目から涙を溢してポケットに入っていたネックレスを手に取った。
「......あぁなんで今思い出しちゃうかな。お前は忘れたままでよかったのに。...そしたらもっと簡単に、この気持ちを鎮めることができたんだろうな。......本当お前は厄介なやつだよ。」
そう呟いてから鮫島は窓の縁に腰をかけ、窓を開けた。そして煙草に火をつけようとライターを出す手前でここが病院であることを思い出した。
「......願掛けってことで今日は控えておくか。」
ポケットに煙草を戻しながら飲み物を買いに行こうと部屋を出た時、目の前の椅子に座る満の姿を見て鮫島は顔色を曇らせた。そしてまた満も鮫島のことを見上げるとなんと声をかければいいか躊躇し言葉を濁らせた。
「...ついてこい。」
鮫島にそう言われるとビクビクしながら満は立ち上がって鮫島の後ろをついて行った。
待合室に着くと、重く冷たい二人に間に流れる空気感に沈黙が走ったのち横にあった自販機で鮫島はコーヒーを二本買うとそのうちの一本を満に投げた。
「長くなりそうだ。それでも飲みながら話をしよう。」
鮫島が満の隣に座ったのを確認したあと、満はゆっくりと口を開いた。
担架で運ばれていく様子を呆然と見ていた満は、救急車に乗り込んだ鮫島を見て急いで立ち上がった。
「ま...待ってっ、俺も...」
「必要ない。お前は今一緒にくる資格があると思うか?」
そう吐き捨てると冷酷な目を満に向け、満を外に押し出し扉を閉めさせた。
救急車が目の前から去っていっても満は諦めることなく、近くを通ったタクシーを止めてすぐに救急車の後を追わせた。
病院に着くと慶はすぐに手術室に運ばれ、鮫島もまた怪我の処置を受けることとなった。
軽くではあったものの頭を打っていたため少しの間ベットで横になるよう促された。身体を倒すと先ほどの出来事が頭の中を駆け巡り、それが嫌なほどに鮮明に映し出された。
彼に勢いよく道路に押し出された俺はトラックのクラクションと共にぶつかる事を悟った。目を閉じ重力逆らうことをやめた俺の身体はある人物によって更にその先まで投げ出された。
頭に強い痛みを感じながらも身体を起こすと、近くからは激しい悲鳴と心配して俺に駆け寄る人たちがギャラリーと化していた。
大袈裟だと思ったのも束の間、トラックにべっとりと付いていた血痕を見て鮫島は後ろを振り返った。そこには大量に血を流して倒れる慶の姿があった。
血の気が引き鮫島は慶を抱き起こすと、まだ少し意識のあった慶に必死で話しかけた。すぐに救急車を呼び到着するまでの間なんとか慶の意識を途絶えさせないように尽くした。
だんだんと救急車のサイレンが近づいてきた時安堵の表情を浮かべた鮫島に慶は最後の力を振り絞って一言告げ、その後目を閉じた。
服に付着した慶の血液を見ながらぼーっとしているとそこに事態を聞きつけた芝野が息を切らして入ってきた。
「要さん大丈夫ですか!?事故に遭ったと聞いて...。」
「あぁ、俺は大丈夫だ。俺は、な......。あいつは今オペを受けてる。医師や看護師が何も言ってこないと言うことはそれほど深刻な状況なんだろうな。」
淡々と話をする鮫島に言葉を失くした芝野は鮫島のベットの横にしゃがみこんだ。
しかしその瞬間、廊下から激しい足音が聞こえ医師たちが数人揃って部屋に入ってきた。
鮫島が身を起こし芝野も気を確かにして立ち上がると二人に医師が話をした。
「桜庭慶さんの付き添いの方々ですね。今別の者が最善を尽くしています。...しかし、非常に珍しい血液型なもので。ストックしてある血液にも限りがあり...身内や知り合いで彼と同じ血液型の方はいませんか?」
その話を聞くと鮫島はすぐに立ち上がった。
「私は彼と同じRhマイナスのAB型です。過去にも彼に血をあげたこともあります。いくらでも採っていいので彼に使ってください。」
鮫島の言葉を聞いた医師はすぐに看護師に採血の道具を取りに行かせその場で採血を始めた。
怪我を負っていた鮫島に気遣い量を調整しようとした医師に対して鮫島は「私のことはいいので今は彼を優先して欲しい。」と言われ、限界量まで採血をした。
採血と話を終え医師たちが部屋から出ていくと鮫島は芝野の方に顔を向けた。
「お前までそう暗い顔をするな。あいつを信じろ、絶対帰ってくる。」
そう鮫島から言われると、芝野は涙を流しながら何度も頷いた。
それから数時間が経ち、身体を休めた鮫島が起き上がるとソファで泣き疲れて眠る芝野にブランケットをかけた。
「あの時の約束...一緒に、弾くん...でしょ?だから......僕は死なないよ。」
鮫島は最後に言った慶のその言葉を思い返して笑みを浮かべた。しかしそれと同時に目から涙を溢してポケットに入っていたネックレスを手に取った。
「......あぁなんで今思い出しちゃうかな。お前は忘れたままでよかったのに。...そしたらもっと簡単に、この気持ちを鎮めることができたんだろうな。......本当お前は厄介なやつだよ。」
そう呟いてから鮫島は窓の縁に腰をかけ、窓を開けた。そして煙草に火をつけようとライターを出す手前でここが病院であることを思い出した。
「......願掛けってことで今日は控えておくか。」
ポケットに煙草を戻しながら飲み物を買いに行こうと部屋を出た時、目の前の椅子に座る満の姿を見て鮫島は顔色を曇らせた。そしてまた満も鮫島のことを見上げるとなんと声をかければいいか躊躇し言葉を濁らせた。
「...ついてこい。」
鮫島にそう言われるとビクビクしながら満は立ち上がって鮫島の後ろをついて行った。
待合室に着くと、重く冷たい二人に間に流れる空気感に沈黙が走ったのち横にあった自販機で鮫島はコーヒーを二本買うとそのうちの一本を満に投げた。
「長くなりそうだ。それでも飲みながら話をしよう。」
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