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2◆シルビア視点
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私は冷酷公爵と呼ばれ、恐れられている。
感情がない故に、自然とそう呼ばれるようになっていった。
私の判断は、冷酷なことが多く慈悲などない。
まぁ、気にしていないがな。
私はその日も、いつもと変わらない一日を過ごすはずだった。
しかし、運命の出会いとは突然くるものだ。
街で、一人の青年が視界に入り甘く切ない何かを感じた。
初めて、感情の一つを感じたんだ。
これは何の感情だ?
彼が欲しくて堪らない。
私は、導かれるように青年に近寄った。
「君、名前は?」
「え?俺ですか?」
彼の声が、彼の瞳が、彼の全てが……私を捕らえて離さない。
強制されるような甘い幸せ。
私を麻薬のように夢中にさせる感情。
………あぁ、わかった。
これは恋だ。
私自身は経験なくとも、そういう気持ちになるものだと聞いてはいる。
しかし、これは恐らく魅了だ。
彼から、魅了の魔術を感じる。
私は魔術に詳しいからわかったことだ。
魅了使いという存在が極少数いて、強制的に恋心を抱くという力。
その恋心は紛い物で、大半の者は魅了使いをよく思っていない。
………だが、なんて甘美なんだろう。
愛というものを今まで一度も理解したことはないのに、これが愛なら手放せない。
「俺はジークです………」
「ジーク、私のものになれ」
「は!?」
平民が貴族に逆らえないのはわかっていてそう言った。
私のものにするための手段なんて、沢山あるものだ。
逆らわないことが身のためで、周りのためだ。
さぁ、賢い選択をしなさい。
「何故」
「欲しいものがあればやろう。ただし、私に逆らうならお前の大切にしている者に私は手を出す」
「!!」
ジークは、逆らえないとわかったらしい。
ジークの家族に手切れ金を渡すなら、ジークは言うことを聞くと私に言った。
私のところに来たら、もう家族には会えないとわかっているからだ。
私はその回答に満足して、ジークの家族に少なくない金を渡した。
ジークの家族が泣いていようと、ジークがどう思っていようと関係ない。
先に私を魅了したのはお前だからな。
そうだろう?
感情がない故に、自然とそう呼ばれるようになっていった。
私の判断は、冷酷なことが多く慈悲などない。
まぁ、気にしていないがな。
私はその日も、いつもと変わらない一日を過ごすはずだった。
しかし、運命の出会いとは突然くるものだ。
街で、一人の青年が視界に入り甘く切ない何かを感じた。
初めて、感情の一つを感じたんだ。
これは何の感情だ?
彼が欲しくて堪らない。
私は、導かれるように青年に近寄った。
「君、名前は?」
「え?俺ですか?」
彼の声が、彼の瞳が、彼の全てが……私を捕らえて離さない。
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………あぁ、わかった。
これは恋だ。
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………だが、なんて甘美なんだろう。
愛というものを今まで一度も理解したことはないのに、これが愛なら手放せない。
「俺はジークです………」
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「何故」
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「!!」
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ジークの家族に手切れ金を渡すなら、ジークは言うことを聞くと私に言った。
私のところに来たら、もう家族には会えないとわかっているからだ。
私はその回答に満足して、ジークの家族に少なくない金を渡した。
ジークの家族が泣いていようと、ジークがどう思っていようと関係ない。
先に私を魅了したのはお前だからな。
そうだろう?
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