七つの銀河を駆ける者たち

蒼月 朔久

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第一章

琥珀の惑星エルドラ

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【琥珀の海に眠る謎】

 シロッコがワームホールを抜けると、眼前に広がるのは、太陽の光を反射して金色に輝く海だった。琥珀のように透き通った液体で満たされたこの惑星は、古き星図には「エルドラ」と記されていた。大気圏に突入すると、琥珀の海面から突き出すようにそびえ立つ、巨大な結晶質の塔が見える。あれがこの惑星の唯一の文明の痕跡だろうか。


 シロッコを着陸させ、ハッチを開けると、甘く、それでいてどこか懐かしい香りが漂ってきた。琥珀の海は粘度が高く、歩くと足跡がゆっくりと消えていく。その時、琥珀の海から半透明の泡が浮かび上がり、人の声で話し始めた。

 「ようこそ、旅人よ。この星へ人が来る事は滅多にない。貴方は、三百年ぶりの来客だ。」

 その泡は、「ラーナ」と名乗る知的生命体だった。ラーナは琥珀の海そのものが意識を持った存在であり、この星の歴史をすべて記憶しているという。彼女は、琥珀の海がこの星のエネルギー源であり、同時に星の生命を育む存在だと教えてくれた。しかし、最近、その琥珀の海が濁り始め、泡を生み出す力が弱まっているというのだ。

 「どうか、この星を救ってほしい。原因は、琥珀の海の底に沈んだ、古き文明の遺跡にある。」

 ラーナの頼みを受け、私は海中探索を決意した。


【深海の罠と古の守護者】

 深海探索用スーツを身につけ、琥珀の海へと潜っていく。粘度の高い琥珀の中を進むのは骨が折れたが、やがて視界が開け、巨大な遺跡の入り口が見えてきた。そこには、虹色に光る奇妙な紋様が刻まれていた。エリスがスキャンした結果、これは外部からの侵入を防ぐ「結界」だという。
  
 「結界の解除には、三つの「光の結晶」が必要よ。琥珀の海に散らばっているはず」とエリスが告げる。

 私は結界を解除するため、結晶を探し始めた。琥珀の海の中を彷徨っていると、奇妙な生き物と出会った。「ルミナリエ」と呼ばれる、光を放つクラゲのような生物だ。ルミナリエは、琥珀の海が濁る前は、夜空の星のように輝き、ラーナの力を増幅させていたという。しかし、今はその光も弱々しく、彷徨うように漂っている。その姿は、この星の現状を象徴しているようだった。

 三つの結晶を見つけ出し、結界を解除すると、遺跡の奥から強烈なエネルギー反応が検知された。同時に、琥珀の海の濁りがさらに加速していく。遺跡の奥へ進むと、そこには巨大な結晶が中央に鎮座し、その周囲を無数の「シャドウ」が徘徊していた。シャドウは、結晶から漏れ出る闇のエネルギーが形を成したもので、この星の生命力を吸い取っているようだった。

 「あれは、この星の「守護者」の残骸よ。かつて、文明がこの星を去る際に残していった、自己防衛システム。おそらく、何らかの理由で暴走している。」とエリスが分析する。

 私はシャドウを避けながら結晶に近づき、エリスの指示通りに、エネルギー回路を逆流させるためのコードを入力した。しかし、その瞬間、守護者の残骸が私を感知し、巨大なシャドウとなって襲いかかってきた。私は銃器を構え、応戦しながら、何とかコードの入力に成功する。すると、結晶から放たれていた闇のエネルギーが反転し、光となって周囲に溢れ出した。シャドウたちは光に包まれ、静かに消滅していく。琥珀の海の濁りも晴れ、再び金色に輝き始めた。

 地上に戻ると、琥珀の海全体が喜びの波動を放っていた。ラーナの声が響く。

 「ありがとう、旅人よ。この星は再び、安らぎを取り戻した」

 私はラーナに別れを告げ、シロッコに乗り込んだ。琥珀の海に映る自分の姿が、少しだけ誇らしげに見えた。
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