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00プロローグ
しおりを挟む俺は捨て子であった。今のこの国にはありえないと思われるかもしれないが、俺の親は違ったのだろう。
俺は早熟だった。言葉にしろ計算にしろ、俺は他の子供よりもかなり早かったようだ。それこそ、二歳で捨てられた俺がはっきりと覚えていたくらいだ。
師匠は言った。
「生きたいか?」
「生きるために、人を殺せるか?」
俺は大した葛藤なく即答した。二歳のときだった。
師匠は暗殺者の技術を俺に叩き込んだ。その筋ではかなりの英才教育と言えるものだったと思う。
普通の勉学から始まり外国語、医療、法律、商売など、一見して暗殺とは関係のないようなことも教わった。
暗殺は毒、ナイフ、銃、諸々。
本当に大変だったと思う。
師匠はある程度の要人や金持ちを事故死に見せかけて殺す仕事をしていた。
いつからか俺も仕事の一部を請け負うようになり、その世界に染まっていった。
まだ未熟だった頃、完全に事故死ではなく他殺の可能性も探られていたころは「死神」と呼ばれ、正体はばれていないものの、師匠に怒られた記憶がある。
懐かしき記憶だ。
ああ、これは走馬灯か。
俺はターゲット尾行中にターゲットの娘が降ってきた鉄骨に当たりそうになったところを助けて、その先でトラックに当たったのを思い出した。
大型トラック。速度を落とすことなくの直撃だ。
俺とて人間。いくら超人的な動きが出来ても流石に死ぬことはある。
ただ、この場合は失敗だ。頑丈が故に楽に死ねない。
まったく、助けたと思えばまた緊急事態。
本当に、何かの意志で殺されるのかと思うくらいだな。
薄れゆく意識の中で考える。
後悔はない。俺は人を殺しすぎた。こうなる覚悟は出来てたし、今さら生に執着はない。
ただ、死は虚しいものだなと思った。自分の意志に関係なく訪れる。過程はどうであれ、「死」自体はそうなのだ。
昔言っていた、師匠の言葉が脳裏に浮かぶ。
死は結果にすぎない。そこへ上手く持っていくのが暗殺者だ。
死を間近に感じ、あまり良くないものだな思った。
もし来世があるとしたら今度は、人を助ける仕事も悪くない。
そう思って、俺は死んだ。
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