わかりあえない、わかれたい・15

茜琉ぴーたん

文字の大きさ
2 / 12
貴方は浸りたいだけ

1

しおりを挟む

 私はミキ、28歳の会社員だ。

 大手量販店の本社の事務として働いている。

 仕事はやり甲斐があって人間関係もおおむね良好、昇給も順調だし豊かで快適な生活が出来ていると思う。

 私生活では彼氏もおりハッピーな毎日…と言いたいのだが、そうでもなくなってきた。


「ミキ、大丈夫?座れる?疲れてない?」

「…ありがと、大丈夫だよ」

私は彼氏が引いてくれた椅子に腰を降ろす。

 見届けた彼氏は満足げに笑んで、自分の椅子に座った。


 彼はコウタ、35歳。

 保険関係の仕事をしており、我々は交際して6ヶ月ほどのカップルである。


「はい、大丈夫かな?開けてあげるね」

「いや、大丈夫よ」

「遠慮しないで、……はい、召し上がれ」

 場所はファーストフード店、そこそこ広いフロアのほぼ中央。

 彼は私の分のハンバーガーの包みを、ご丁寧に開けてくれたところだ。

「…ありがと」

「どういたしまして、もっと頼って良いんだからね」

「……」


 ジェントル、ではない。

 過保護、も少し違う。

 彼は、私の世話をやき優しくすることで自分を大きく見せているのだ。

 体ではなく心を、だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

新たな道

詩織
恋愛
恋人期間2年。 婚約までしてたのに突然逝ってしまった。 気持ちの整理が出来ない日々。 月日はたっても切り替えることが出来ない。

見栄を張る女

詩織
恋愛
付き合って4年の恋人がいる。このままだと結婚?とも思ってた。 そんな時にある女が割り込んでくる。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

振られた私

詩織
恋愛
告白をして振られた。 そして再会。 毎日が気まづい。

あやまち

詩織
恋愛
恋人と別れて1年。 今は恋もしたいとは特に思わず、日々仕事を何となくしている。 そんな私にとんでもない、あやまちを

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

一夜の男

詩織
恋愛
ドラマとかの出来事かと思ってた。 まさか自分にもこんなことが起きるとは... そして相手の顔を見ることなく逃げたので、知ってる人かも全く知らない人かもわからない。

私達のお正月

詩織
恋愛
出会いは元旦だった。 初詣に友達といってる時、貴方に出会った。 そして、私は貴方に恋をした

処理中です...