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しおりを挟む「…それは、『僕の棒を見たい』と想像したということでしょうか」
「いいえ、棒を見たい、誰が良いかしら、笛田くんね、でも困るでしょうね、マッチングアプリ、失敗、そしてこの提案、という流れよ」
「一度は諦めていた訳ですね」
「えぇ、さすがに卒業前に変態の汚名を被る訳にはいかないもの。私、笛田くんのことは良き後輩だと思っているし」
あーもったいない、なら普通に愛の告白をしてカップルになればいくらでも見せてあげたのに。
もしここから罷り間違ってカップルになったとしても、「この人は僕の棒を見るために交際してるんだ」と常に頭を過ってしまう。
でも変なところ不器用で真っ直ぐなところが先輩のチャームポイントなんだろう。
軽くなくてあざとくなくてだから話しやすくて好きだった。
ちなみにだが少し堅苦しくてまどろっこしい喋り方、これも先輩のキャラクターなんだと思う。
「…えーと、それで…あの、最初の質問ですけど、『見せて欲しい』ではなく『見せたことがあるか』と聞いたのはなぜですか」
「笛田くん、なかなか流行りの雰囲気イケメンでしょう?モテるだろうから体もそれなりにキレイだろうし既に見せた経験があるのなら、私に披露するのはハードルが低い行為かしらと思ったのよ。ほら、初めて見せるのが私では可哀想じゃない?だからまず見せたことがあるかどうかを問うたの」
ほらやっぱり交際する気は無いんじゃないか。
そして雰囲気イケメンの称号も童貞を疑われていたのも微妙に悲しい。
僕の女性経験はそれなりだ。
初彼女は高校で自然消滅、大学でひとり出来たが数ヶ月でサヨナラした。
なので経験値はごく低くて辛うじて西御門先輩よりは上回っているという感じ、それでも経験済みなのだから大きなアドバンテージだと心のお守りになっている。
「僕が当たり前に見せる前提でものを言わないで下さい」
「どちらの問いでも結局は経緯を話すことになるでしょう?笛田くんなら聞き入れてきちんと考慮してくれると思ったわ、考えた上での拒否なら甘んじて受け入れるつもりだったわよ」
「……そうですか」
「それで?質問の意図は伝えたわ。答えは?」
「…あります、ですよ」
「あらそう、じゃあいよいよ踏み込んだお願いよ。笛田くん、私に棒を見せてくれないかしら」
「……待って、考える時間を下さい」
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