先生、秘書に赤ちゃん扱いされる気分はいかがですか?

茜琉ぴーたん

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大願成就—たいがんじょうじゅ—

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「先生、改めましてご挨拶申し上げます。本日よりお相手をさせて頂きます、関口せきぐち聖美さとみでございます。どうぞ、よろしくお願い致します」
客室のカーペットの床に正座して三つ指をついて、我ながら模範的なご挨拶ができたと思う。
 私は新米秘書だが、もうひとつ重要な役割をもって派遣されている。戻れはしないので正確には派遣でもないのだが、とにかく目的をもって遣わされているのだ。
「堅苦しいのはやめだ、立ちなさい。今後について話をしようじゃないか」
「恐れ入ります」
 先生よりベッドの下座に腰掛けて少々の恥じらいを演じるも、お好みではなかったのか先生の態度はつれない。
「さて…要望と違うような気がするんだが」
「初日ですので、さすがに大人しくさせて頂いてます」
「そういうのは仕事中だけで充分だ、この時は要望どおりにやってくれ」
「かしこまりました…それでは先生、シワになりますからスーツはお脱ぎになって、」
 私の役目は秘書兼夜伽、つまりは夜のお相手として雇われているのだ。もちろん公には秘書のひとりなのだが、表立って外で遊べない先生の欲求を満たすための道具、パートナーとしての役割の方に力を入れるつもりである。

 背広を脱いでワイシャツと肌着だけになった先生は、キリキリ歯を鳴らして私を見下ろした。
 あぁ年相応の弱った体だこと、50前の初老の肉体はあらゆるところにガタが来ていて足りなかったり余分だったりとみっともない。まぁ、着衣の状態ではスマートだしお顔もそこそこだし醜悪とは程遠いから問題無いが。
「先生、膝はご丈夫ですの?痛めてらっしゃるならベッドにしましょうか」
「いや、床で構わんよ」
「そうですか、なら…そこに四つん這いになって下さい」
「分かった」

 私よりも大きな体が折り畳まれて床に落ち着く、お馬さんみたいに四つ脚になった先生に私は
「分かりました、でしょう?悪い子ですわね」
と吐き捨てて背中に尻を置いた。
「おっ…お…」
「呼び方は"先生"でよろしくて?その方がより情けなくて堪らないでしょう」
「あ、ぁ…構わ…いません、」 
「私のことはこの時は"聖美さま"とお呼びになって。私は口調は変えられませんからこの調子で行きますけれど…先生はきちんとした言葉をお使いになってね?」
「は、い…」
 年季の入った背中にタイトスカートの尻が沈む。
 体調管理は万全なのでそう重くはないはずだが…慣れないからピキピキ骨に来ているかもしれない。

 私は幼い頃から、このようなことばかりを養母から教わって大きくなった。身分ある人が安心して欲望を満たすための道具として育て上げられ、その見返りとして莫大な金が養母へと支払われている。
 養母はそういった人身売買を生業としており、これまでにも数十人の少女を育てては出荷していた。政治家だったり音楽家だったりお医者さまだったり、女遊びをリークされると都合が悪いと感じてらっしゃる方を顧客としている。

 私は数年前から「この方に仕えるのよ」と言われて練習を重ねており、その技を活かしてこれからの人生を先生の下で過ごすのだ。
 私に保障されるのは安定した生活、食うに困らず住むに困らない素晴らしい生活だ。それが人間として当たり前だと思える人はその幸せに気付いていない…当たり前に与えられなかった私からすれば勿体ない幸福である。
 ズタボロの幼少期、養母に引き取られるまでは毎日が地獄だった。もうほとんど記憶も無いけれど、非力な子供でなければあいつらをぶん殴って殺してやりたいと何度思ったことか。
 内なる暴力性を養母が見抜いていたのかはさておき、私のゆくゆくの派遣先はこの須軽谷先生に決められた。先生は要望を既に伝えており、養母はそれに見合う女を作り上げたのだ。貞淑な女が好みだという殿方にはそのように、激しい女が好みだという男にはそのように育てた女をあてがう。
 先生の要望というか趣味というか隠れた性癖は被虐欲求…つまりは虐められたくてパートナーを探していたのだという。
「先生、もう限界ですの?腕が曲がってますわ」
「まだ、やれます…あー…」
耳をぴっと引っ張れば、痛みのせいではなく先生が鳴く。
 親子ほど歳の離れた小娘に虐げられるなんて普通は無いこと、そしてそうされて悦ぶなんてのも普通は無いことだ。
「歩けますか?馬のように」
「はい、」
 先生はゆっくりゆっくり、私を乗せて床を這い始める。
 党では役を任されたりこの先は大臣との呼び声も高い先生がこんなになるなんて…
「先生、党の方がこの姿を見たらどうお思いになるでしょうね」
 そう囁けば、声にもならないくぐもったため息で背中は少し凹んだ。
 なんで私はこんなことをしてるんだろう、途中でそう思わんこともない。けれどこれも性分なのか、先生が惨めに這いつくばっているのを見て私もドキドキと胸が高鳴っていた。
 私はおそらく歳上の男性を好む性質なのだ。元々、学校の教員だとかお医者さまとか、ひと回りもふた回りも歳上の男性を魅力的だと感じ惹かれるきらいはあった。「このおじさまに将来お世話になるのよ」と先生の写真を見せられても、嫌悪感など抱かなかったし「知的そうな方だ」とむしろプラスに捉えていた。
 抱かれたいとかそういうことでもないのだけれど、理知的で威厳があって貫禄があって、なのにマゾヒストだというギャップに萌えてしまう。
 実際にお会いした感じも好感触、加齢臭はするけれどそれは先生に限ったことではないしすぐに鼻が慣れるだろう。先生が気にしているならそこも責めてあげれば良いし、何につけても虐める材料になるのだから退屈はしないかもしれない。

「先生、小娘の尻に敷かれてどんな気分ですか?」
「…心地よい…です、」
「あらぁ、年甲斐もなくお元気ですのね」
「……」
 ここからは見えないが、先生は興奮なさっているのだろうか。それを処理するところまでご所望だろうか、そういえば肝心なところは準備段階で聞いていなかった。
 先生は性的に興奮しているのだからフィニッシュまでお付き合いするのが暗黙の了解ではあるのだろうが、果たしてどうなのだろう。
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