先生、秘書に赤ちゃん扱いされる気分はいかがですか?

茜琉ぴーたん

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大願成就—たいがんじょうじゅ—

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 床を這わせてかれこれ1時間になろうかという頃、もう良かろうかと先生の背中から降りた。
「先生、時間も時間ですし…そろそろ失礼致しますわ」
「そ、そうか」
 あら縋らないんだ、なら絶頂までは求めてないということか。
 それともプレイから現実に引き戻されて気恥ずかしいだけか。
「…先生、すみません、重かったでしょう」
 手を引き立たせればやはり年齢を感じる、「よっこいしょ」と関節の具合と相談しつつゆっくり動く姿にも萌える。
「関口くん…済まないね」
「そんなことを仰らないで下さい。私の体は先生のもの、好きに使って頂いて構いませんの」
「…ありがとう…おっと、」
長らく下を向いていたから立ちくらみを起こしたのか、先生はよろけてベッドへ尻餅をついた。
「きゃあっ」
手を掴んでいた私も道連れになり、先生に覆い被さるような形でベッドへ膝をつく。
 接近する体と体、こういう流れもありかしらと考えていると先生は「すまないね」と私から離れてしまった。

「…先生、契約についてお話を伺っても?」
「あぁ、構わないよ」
 先生はワイシャツとトランクスだけでベッドへと横になるので、私はその端に座る。
「こんなことを尋ねれば興醒めでしょうが…その、先生はセックスまではお求めではございませんの?」
「ははっ」
「虐げられて興奮なさることは存じておりますが、射精まで至らずとも平気なんですの?」
「すまないね、女性にそんなことを言わせてしまって」
 私に乗られていた時もこんな風に眉尻を下げていらしたのだろうか、情けなさを自虐する笑顔にきゅんとなる。
「求めていないよ、構ってもらえるだけで良いんだ」
「そう、ですの…」
「ゆくゆくはそういうのも良いかなと思ってはいるが……その時はまた話し合おうか。すまないね、女性との関わりが薄いから照れが出てしまって。ましてや君みたいな若くて美しい女性なら尚更に…今日はもう遅い、帰りなさい。泊まって行くなら僕は官舎へ戻るよ」
「いえ、帰りますわ」
「明日からもよろしく…いや、昼の仕事のことだ…」
 服を整えている間に疲れてしまったのか先生は静かになり、ご挨拶をと思ったらもう目を閉じていらした。
 あくまで息抜きでストレス発散なのだな、私といることが逆に苦痛にならぬよう努めねばなるまい。
 文字通り女を買ったのに、えらく消極的なのが気にはなる。まぁ気恥ずかしいから専用の女を買って、徐々に慣れてしまおうという算段なのだろうか。

 業務の勉強もせねばな、痕跡を残さずそうっと部屋を出て電車で自分の家へと帰った。
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