先生、秘書に赤ちゃん扱いされる気分はいかがですか?

茜琉ぴーたん

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濫觴—らんしょう—

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 ぽつり、ぽつり、先生は世間話や他の議員先生とのエピソードを語ってくれる。私は相槌を打っては先生の乳首を触ったりなどして、むず痒がるその表情を楽しむなどした。
 取り止めのない話、面白みの無い話。何となく、先生は本題への回り道をしながら核心へと迫っているのかなと感じた。

 そしてついに、先生は自身の家族のことを話し始めた。
「母親がね、教育熱心なひとで。おかげさまで良い大学にも行けたしこうして議員にもなってる訳だが…昔から僕の希望は何ひとつ通らなくてね。我慢と辛抱の子供時代で…母は手も上げるひとでね、問題を間違うと引っ叩かれた。その気になれば力ではこっちが勝ってるんだよ、でも逆らえなかった」
「……」
「母は僕に執着していてね、高校生の年頃になると家族とはいえ隣に立つのが恥ずかしかった。母はそれを分かっていたのかな、やけに体を寄せたりくっ付いたりすることが増えた。複雑な気持ちでね、気色悪いと思いつつも体が反応してしまうんだ。割にグラマーなひとだったし、母で…その、想像して自慰行為をしてしまったこともある」
「まぁ」
 こういうのもマザコンと呼ぶのだろうか、なるほど先生は真面目一貫の人間ではないようだ。とすれば私に求められているのは母っぽさなのだろうか。
 私の母も大概な人だったが、世間一般の母親像を参考とすれば私たちの触れ合いはとても母子のじゃれ合いとはかけ離れている。
「母と、変なことになったことは無い、当たり前なんだがね。けれど、僕を試すような、焦らすようなあの雰囲気…歪んでしまったんだよ…性を覚える前にね、癖が歪んでしまった。それから大学生になって独り暮らしをして、同級生と付き合ったりしてみたが…欲しい興奮は得られなかった。たまに実家に帰ったら母がより良く見えて…『抱きたい』と、ハッキリ思った。おかしいだろ、SMクラブも試してみたが、細々とした要求を伝えるのが恥ずかしいし上手く説明ができなかった。一応こんなんでも自尊心はあるからね、こちらに尊敬が感じられないと酷くされてもイラつくだけだった」
「…先生、だから…私をお買いに?」
「そう、紹介されてね。親密になって、僕のことを分かってもらって、好みを把握してもらって…あの頃みたいな興奮を味わいたいと思ったんだ。僕はこの調子だから結婚も子供も望めない、使い道の無い給与をそこに使ったんだ。えらく若い君が来たから心配したよ、母のような支配感を出せるのかと…しかし概ね順調だ…適度な責め立てが心地良いし、僕の尊厳を守ってくれている。微笑みながら罵られるのが本当に母にそっくりだ…本当に…うん…」
 内容はともかく、先生は暴露が済んでスッキリとしたようだった。
 やはり、私は母っぽさを期待されていたのだ。かと言って、赤ちゃんプレイみたいなところまですると先生のプライドを傷付けてしまいかねない。そんなことでクビになっては困るし、ならなくとも気まずさで働き難くなるのは勘弁である。
 ここまでしっかりお話し下さったということは、これからもっとディープなことに挑戦したいという決意の表れなのだろうか。失敗はしてしまったが、本来なら私は抱かれる予定だったようだし。

 秘密を明かして気が大きくなっているうちに攻めてしまおう、
「先生、赤ちゃんに戻ってお母さまに甘えたいとか、そんな願望はございますか?」
と尋ねれば先生は分かりやすく赤面した。
「ほわ」
「…あの、おっぱいとか…吸ってみられます?」
「えっ」
 イエス・ノーは答え難いだろうか、けれどブラウスのボタンをポチポチ開ける私を先生は止めはしない。
 それなりに豊満な胸を開放して、先生の顔の位置にしっくり来るように上側に這う。
「先生、良いんですのよ、口を付けても」
「あ、あ…」
 餌を探す池の鯉みたいだ。年季の入った唇が、私の乳頭に触れる。
「ふふ…」
「…ん…」
 縛られた手を胸の前に抱いて、まるで祈るように先生は乳をねぶった。そこからお乳は出やしないけれど、凄まじい吸引力に胸の奥がむずむずと沸く思いがする。
「(なんだか…変な気持ち…)」
 年上の殿方にこんな感情を抱くのは間違っているのかもしれないが、私はこの時先生を可愛いと思った。頭を撫でて、はっきり「よしよし」と呟いていた。
「(偉そうにする方が良いのかしら)」
「はむ」
「…先生、美味しいでしょうか?」
「あぁ、懐かしい気分だ」
 ご母堂に似せるならきっともっと高飛車に振る舞わねばならないのだろう。しかして、ちゅいちゅいと無防備な赤子のように乳を吸う先生を邪険にはできなかった。
 そして、心臓に近い所にごろっと重たく大きい頭があり、その存在が腕の中に収まっていることに快感を覚える。この生物を所有しているという優越感だろうか、これを母性と呼ぶのだろうか。
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