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能事畢矣—のうじおわれり—

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 先生はお誕生日を十数回迎えて、還暦を超えた。

 初老を駆け抜けて、老人と呼ばれても自然な年頃だ。

 それでも、こと母性へのこだわりは変わっておらず…私の乳房に埋もれて、水枕のようにぽよぽよ感触を味わっている。

「こんな姿…人に見せられないね…」

「見せたくありませんわ、私の先生ですもの」

「ふふ…この先大臣になろうという男が…情けないね」

「自虐ばっかり」

 まぁ、こうして自分を落としてでもしなければ、興奮して痛い目を見るので仕方ない。

 分かっているので私も虐めたくなる。

「月のものが終わったら、いっぱい尽くして差し上げますわ」

「……勃つから、やめてくれ…痛い…」


 先生のソコはまだ有り難いことに現役で、しかし体力面の問題から一般的なセックスは難しくなってきた。

 男性の意思で責めるような、勢いのあるセックスが出来ないのだ。

 その代わり私が上になり頑張っているのだが、新しい楽しみも生まれた。

 長時間繋がってねっとり焦らす正常位や対面座位などだ。

 これは大抵、私が「もう、イカせて下さいませ」と懇願することになる。

 長年寄り添って育んだ相性の力かなのか、私は肌を合わせるだけでうっとりとろけてしまうのだった。


いさむちゃん、透明な液が出てませんこと?いやらしいわ」

「ぐっ…待っ…勃つ、痛てて、くそっ…」

「明日は亀甲縛りに致しましょうか♡」

「ダメだ、貞操帯とダブル拘束はキツい」

「あら、では来週で」

「くぅ……早く抱きたい、聖美ッ…」


 頼りなく私の腕に胸にすがる姿は、偉い議員先生には見えない。

 けれど、これが私の大好きな先生、生涯の伴侶だ。

「私も、早く先生をお迎えしたいですわ…お慕い申しておりますもの、先生」
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