ライアー・ブライド…真面目な僕らの偽装結婚

茜琉ぴーたん

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「むグ」
「薫ちゃん、なんて言うの、セカンドバージン的な」
「分かんない、あの、汗臭いから」
「初めての時だってお風呂は入ってなかったよね」
「そうらけろぉ」
 暗い寝室は蒸し暑く、すぐにじんわり汗が滲む。
 聡太は壁の照明スイッチとエアコンのリモコンを操作して、自分に都合良いコンディションを作り上げTシャツをまくった。
「僕が脱がそうか?」
「い、良い…自分でする…」
「リベンジじゃないけどさ、色々…答え合わせというか…本音でしてみたいね」
「…何が?」
ぼんやり明るいシーリングの下で、剥き身の薫は色の付いた所を手で隠して聞き返す。
 その手を剥がして丸みに口を付けて少しひげの伸びた顔をうずめて、聡太は
「薫ちゃんの嘘だよ」
突先とっさきをわざとらしく噛んで見せた。
「ひゃッ…う、そ?」
「うん…今度は本当のこと教えてね、薫ちゃん、経験はあるの?エッチの、」
「え、あ、あるわよ」
初めての夜にも聞かれた質問、現時点でこれは本当だと薫は自信を持って答える。
「そっか、じゃあ初めてはいつ?誰と?」
「そんなの…知らなくて良いじゃない」
「聞きたいんだよ、薫ちゃんは『経験あり』って言ったけどあれも嘘だったんだろうってほぼ確信してるんだ」
「あ、それ噛まないでって……ごめん、あれも嘘…、あの日…聡太くんとが…初めて、だったの…」
もだえて力の入らない手では聡太の頭を剥がすことは出来ず…薫はぴくぴくうずいて白状した。
「あはは」
 聡太においてはあの時点で許容した嘘だったが、これもプレイの一環と責める材料にさせてもらう。
「やっぱりそうかぁ…ん…バカだね、意地張ってさ、僕が無理にしてたらもっと痛い思いしてたよ?」
「……そこまで深く考えてなかったの…どうせ痛いなら同じだと思ったし…アラサーで未経験なのも恥ずかしくて…ごめんなさい」
「別に僕は初めてだから貴重とは思わないけどね、その…僕はあの頃には薫ちゃんのこと好きになってたしさ、当然結婚するつもりだったし…薫ちゃんの様子でおそらく処女だって分かったからゆっくりしたけど…結構嬉しかったんだよ、嘘ついて虚勢張ってるのも可愛いと思ったし」
「…そう……ッ…~ッ、噛むのやめてぇ…」
 見え透いた嘘を赦してもらっていた恥ずかしさ、経験者ぶっていたみっともなさが物理的な感度を上げて針が振り切れそうになる。
 それはもったいないと聡太は口を離し、
「ん…ゴム開けるから掴んでて」
と意地悪に自身を握らせた。
「…あったかい……あの、私、その…気持ち良くなかったらごめんね」
 高まる緊張、想いが本当に通じ合っての営みに薫の不安も跳ね上がる。
「そんなこと気にしてるの?」
「だって、あれ以来してないから…も、求められなかったから」
 確かに聡太は薫とのセックスで達したことは無いが、判断材料が破瓜はかの一戦だけなのだからもう無記録と同じだろう。
 そして疑念を抱いたまま旨みだけ頂くなんて、双方の性格を考えればそんな都合の良い関係になれるはずがなかった。
 あれは前哨戦でテストでリハーサル、これからが本番だと言葉にせずとも薫だって理解しているようだった。
「信用云々の話だから……さて、」
 準備をして目が泳ぐ薫を見下ろして、聡太は
「薫ちゃん、初めての男は誰?」
と改めて問答を繰り出す。
「だから、聡太、くん…」
「2番目の男は?」
「聡太くんだって…あ、あ…」
 二人の距離が密になってゼロになってマイナスになる。
 入り込まれる異物感に薫の目が大きく開いて瞳が揺れた。
「処女膜、再生してないかな」
「してないッ…ごめんなさい、もう嘘つかなイ……あ、あ、」
 弱みを使って罪を責めて、罰に怯えるのに与えられるのは震えるような高揚感と快感。初めての夜よりもっと甘く、薫は聡太の腕の中でか弱く鳴いた。

「(可愛い…気持ち良いな…キツい…この前まで処女だったんだもんな…あー…すぐイキそ…気持ち良い…)」
「(声、我慢できない…気持ち良い…言ったら引いちゃう?すごい、気持ち良い…)」
「(デレてる、もっと奥に入りたいな…痛いかな…みっちり…すげぇ…)」
「(聡太くん…なにこれぇ…あ、赤ちゃんできちゃう…でももっと、奥まで来て…)」
 最中の会話は吐息と喘ぎ声だけ、二人は心中でそれぞれに想いをぶちまけては身体を合わせて汗をかく。

 そして聡太はまず1回達して、ピロートークもそこそこに2回目を始めて…「聡太くん、もう、変になっちゃう」なんて薫が涙目で伝えた瞬間に2発目のフィニッシュに至った。

 事後も言葉は少なく感想も言わず、その代わり狭いベッドでぎゅうとくっ付いて口付けては愛情を示した。
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