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旅立ち
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しおりを挟む数ヶ月後。
「んあ……わぁっ⁉︎あー…やってもうた、もー…」
「シューカなに…うわぁっ⁉︎へ、あ、血ぃか、」
起き抜けにベッドシーツに染みる経血を見てしまい車崎は縮こまり…
「シンタローさん、シーツとパッド剥がすから一旦どいてください」
と秋花に言われてすごすごと立ち上がる。
「うん…いや、俺やるから…シューカ着替えや、尻んとこ…汚れてるわ」
「分かってるけど…」
「着替えて、痛々しうて見てられへん…洗濯機のとこ持って行きゃええやろ」
「痛くはないですけど…はい、……あ、風呂場でお願いします」
「ほいほい」
「マットレスまでは染みてへんか……敵わんなぁ…もう…」
生理周期を把握していてもたまにやらかしてしまうミス、特に昨夜はイチャイチャしていたために準備を疎かにしたまま寝入ってしまったのだ。
秋花は言われた通りパジャマと下着を脱いでナプキンを装備したサニタリーショーツに穿き替えて、ゆるいジャージを纏い汚れ物を洗面台へと移送する。
隣の浴室では車崎がシーツとパッドにシャワーを掛けて水を染み込ませてくれていた。
「ええっすよ、そんなもんで。後で洗剤使いますから」
「ん……お前、俺の知らんとこで毎回こないな修羅場してたの?」
「毎回とちゃいますよ…いや、油断してもうただけで」
「ふーん……ほな今回も…妊娠はしてへんってことか…」
「そういうことっすね」
血の紅色が洗面台に貯めた水に滲み出て、それを二人は見下ろしてぽつりぽつりと会話を交わす。
『なぁ、あんまりロマンチックとはちゃうかもしれへんけどさぁ、カレンダーとかにこういう予定とか書いてくれへん?ここはアカンとか、ここはええとか』
『はぁ、』
『そのシューカの大丈夫やって時しかエッチせぇへんから。俺、我慢は効く方やし…色気あれへんけど、まだ…子供は持たれへんから…いや、せやったらエッチもすなって話やねんけど…』
『分かりますよ、ふふ…真面目やなぁ、そういうとこが好きやなぁ』
そんなことを話し合ったのは数ヶ月前、同棲生活を始めてすぐのことだった。
今ではそのカレンダーがしっかりと機能していて避妊に役立っているのだが、それでも車崎は気にかけて時折口頭で確認などもしてくれている。
「女の人は大変やなぁ…」
秋花は張った水を抜いて数回揉み洗いをして、それを車崎は隣でずっと眺めていた。
そして
「シューカ、手ぇがキレイやな…手袋してて仕事中はあんまり見えへんけど…俺ももっと料理覚えよ…シューカにばっかり負担かけたないもんな」
と彼女の腰を抱く。
車崎は現在有給の消化中で、まだ会社に籍はあるが最後の出勤は既に終えて、同僚たちへの挨拶も済ませている。
今日が在籍最終日、つまりは明日から新生ミズモリ車装の運営が始まる。同棲しているのに旅立って行くような、妙にセンチメンタルな心境が二人の心に巣食っていた。
「ふふ…シンタローさん、そろそろ離して?」
「イヤや…せっかく休みなんやから離れたない」
大きな赤ちゃんになった車崎はソファーに掛けた秋花の腹を温めるようにすりすりと顔を擦り付け、
「甘えん坊さんやなぁ、朝ごはんするから離れて下さいよ」
と説得されると自身の腹の虫とも相談して大人しく身を引く。
「うん…」
「やっぱ、寂しいでしょ。辞めるの」
「そらぁ寂しいよ、ええ奴らばっかりやったし働きやすかったしな。うん…新しい生活が不安でな、ストレス…うん、あんまり眠れんな」
「嘘やん、イビキかいて寝てたやん」
「ほーか、しやけど熟睡はしてへんよ…嫌な夢も見るしな、幸い覚えてへんけど……元気もな、あんまりあれへん」
そう言って渋い表情を作る恋人へ
「それも嘘やん…夜も元気やったでしょ」
と秋花がふざけて返せば、
「ち◯ぽはな、ひゃは…何発シたっけ?」
と男もモードを切り替えて小首を傾げた。
「日付変わった前夜の分も含めたら1日で4発や…シンタローさんの絶倫、」
「うん、今日は閉店ガラガラよ…シューカの生理が終わったらまた…うん、」
「ええ…私にできることなら手伝いますよ」
「シューカ、俺はストレスをお前で発散しようなんて思うてへん、見縊んなよ」
「はいはい、手コキくらいならいつでも付き合いますから、言うて下さいね」
「え、ええの?」
「それで楽になんならええっすよ。一緒に暮らしてたらオナニーもなかなかでけへんでしょ」
「…色気のない話やな…こうやって女は擦れていくんやな」
「失礼な」
秋花はこんがり焼いたトーストに半熟の目玉焼きとハムを載せ、食卓へと提供する。
洗剤のおかげで血液汚れが落ち着いた洗濯物を一気に洗濯機へ投入して秋花がリビングへ戻ると、ソファーへだらりと寝そべった車崎がちょいちょいと手招きして呼び寄せた。
そして彼女の手を取り股間へ当てがって、
「シューカ、これ…ええ?」
と申し訳なさそうにおねだりをして見せる。
「ん?あ、待って下さいね、ローションとか要るんかな、」
「ツバでもええよ、ビニル手袋してもええ、」
秋花は洗面所の物入れに以前ホテルから持ち帰ったアメニティの個装ローションがあったのを思い出して、取りに動いた。
「んな摩擦エグいのアカンでしょ…待って……あった、これ、ん、」
そして局部を出して待っていた恋人の足元へ座りローションを垂らし、しこしこと滑らせると車崎は目元を押さえて悶絶する。
「あ、あー…おフ…あー……たまらん…でも罪悪感やな…あのシューカのキレイな手ぇで…あー…気持ちええ…」
「ええから…集中して下さい」
「ごめんな、シューカは生理やのに…あ、あ♡…緊張、してんのかな…変に興奮してもうて…はー…ごめん、」
「分かりますよ、明日からが不安やねんな、うん、」
「これええなぁ…尽くされてる感じする…」
「お店みたいですか?」
「阿呆、店でここまで興奮したことあれへん…いや、種類がちゃうねん、」
「はいはい」
無防備な男の姿に半ば呆れて、しかしそれも愛しくて…秋花はローションを足しながら5分ほど奉仕を続けてやった。
「あ、そろそろ、やばい、シューカ、好きやで、」
「普通の時に言うて下さい、ん♡」
寝そべった車崎の唇を塞いでやるとその感触に男は驚き、
「ん♡んー、ん、ん‼︎んー‼︎」
と素早くシャツと肌着をまくり上げてヘソを露出させ精液を受け止める。
「ん、んー♡…………ぷは…ごめん、どこ飛んだ?あ、シューカの袖に付いた、すまん、洗濯もん増やしてもうた」
「ええってもう……元気やな、ふふっ」
「超絶気持ち良かった…しばらく頼むかもしれへん」
「はいはい」
車崎は股間を拭いて収め、秋花のカーディガンを脱がせて脱衣所の洗濯機へと投げ込みに走った。
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