胸に手を置かれたら、朋也くんのことしか考えられないじゃん。ー無気力系後輩がグイグイ来るのは想定外でしたー

5…胸が塞がる

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　休日明け、二人で元気に出社する。

　鞄かばんにはお揃いのお弁当を入れて、駅から並んで社屋へと入る。

「おはようございます」

「はよっす」

　それぞれの席に着いて、朝礼の準備をして。


「元宮さん」

「矢向くん」

　白々しく苗字で呼んで、違和感に苦笑して。

　昼には私が作ったお弁当を、仲良く摘む。

　全く平和で、穏やかな日常。


「腰、痛くないっすか」

「ちょっとね」

「張り切りすぎましたね、反省」

「しばらくお休みかな」

　仕掛ける猥談、人知れず暴露される性生活。


「どうせ一緒に寝るんすから、寝室ひとつにしてジブンの部屋は書斎にしませんか」

「独りで寝たい時とか無い？」

「無いっすよ」

「あ、そう」


　次の休みには、朋也くんのベッドを私の部屋に移すことにした。

　着々と出来上がっていく愛の巣、生活の形。

「寝顔、見るの好きなんすよ」

「…朋也くん、私より寝るの早いし朝も私より長く寝てるよね？いつ見てるの？」

「秘密っす」

　しれっと抜かす表情に、彼氏としての余裕を感じる。

　私を愛することで朋也くんも自信を付けているのなら喜ばしいことだ。


　その後、私はやはり綺麗になれたのか人生で初めてのナンパを駅前でされた。

　もちろん断ったが、呑み会に誘われたり彼氏の有無を尋ねられることが増えた。

　その都度「彼氏はいます」と答えて、軽くガッカリする男性の姿に心を痛めている。