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2月

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 それをきっかけに奈々と松井は打ち解けて話すことが増え、部門を越えてヘルプをしたり物件の内見に行ってきた報告を受けたりと、公私に渡り交流をし始める。


『PC、PC、**社の4テラの在庫どこかしら?データ上はあるようになってるんだけど見当たらないのよ…』

『フロア長、ハードディスク棚の、向かって右下の奥に無いですか?返品分なんですけど、未開封なので売れますよ』

『あった、この声松井くんかな?ありがとう!』

 無線でのやりとりもお手の物、施した分だけ返してくれる奈々は松井の承認欲求を満たしていく。


「松井くん、あの人どなただっけ?」

「**社の派遣のマネージャーのコンノさんですね、PCはやりとりないと思いますけど…挨拶行っておきます?」

「うん、紹介して」


 人との仲介に立ったり物の場所を教えたり、知識をひけらかしたい松井と享受したい奈々の利害は一致しており、彼女は実にスムーズに彼と店に溶け込んでいった。


「昨日夜にレジのミライさんとばったり会ってね、仲良くなっちゃった♡可愛い奥さんよね、守谷もりやチーフが羨ましいわー」

「打ち解けたんですね、良かった」

「やっぱり、話してみないと分かってもらえないわよね、お節介だと思ったけど、踏み込むのって大事…ふふ」

事務所の長机で手作りの弁当を食べながら、奈々がニコニコと語る。

「ですね、うん…」

「松井くんの手料理も今度よろしくね、リップサービスじゃないわよ、本気で言ってるから」

「はい、はい」

 世話焼きではなく友人としての交流、彼女を松井会に誘う日も近そうだ。
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