8 / 54
2・秀才ワンコ
8
しおりを挟む一応交際を始めて半年、我々は大学4年生になった。
私は大学院に進むための試験を受けて、結果を待っているところだ。
翔は就職先は入学前から決まっているので就活もせず、悠々と学生最後の年を楽しもうとしている。
彼は相変わらず「もし、万が一にも大学院に進めなかったら、うちの熊学園にポストをご用意しますから」と言ってくれている。もしそうなれば恩恵に預かろうかな、なんて半分本気で考えたりもしている昨今だ。
さて、翔の宣言通り、私たちは付き合ってはいるが肉体的接触はしていない。私が院入試の準備で忙しかったというのもあるが、翔がしっかりと己を律してくれているのでプラトニックが守られている。
これまで数回のデートをしてみたが、翔は手すら握ろうとはしない。初デート時に"お手"をした、あれが彼に触れた最後だ。
本人が「性交渉は結婚後に」と言っていたから、守るつもりならそれが良かろう。しかしまぁ生物としてそこまで理性が働くのもどうかと思う。
そもそも、翔の中での交際の目的とは何なのだろう。付き合ったら手を繋ぎたいと言っていたくせに実行はしない、許可すら取ってこない。20代も前半の男性はそんなものなのだろうか。
翔の友人が交際してるというゼミの友人に尋ねてみたところ、こちらのカップルは既に致しているらしい。「そりゃそうだよ」と言われ、「だよね」と返すほか無かった。
お堅い思想だから婚前交渉は控えるとしても、ぼちぼち手くらいは繋いであげても良い。それを私に言って来るべき、翔からお願いするべきだ。
「(釣った魚に餌をやらないというやつか?)」
私だって言うほど堅物ではないので、名作と讃えられる恋愛映画は嗜んでいる。テレビを点けて恋愛ドラマが放映中なら少し観てみるし、忌避する理由も無い。人並みに感動もする、「良い結末だった」と感想も抱ける。ただ、同時刻に動物番組を流していたらそちらを優先してしまうというだけだ。
好奇心はある、ただそれが性欲と呼べるのかは不明だ。翔の色んな顔を見たい、それは興味であって知りたい欲であって。
そして男性の身体がどうなってどうするか、知識としては存じている。
学習を実態あるものにしたい、知りたい欲を満たしたい…それが動機では不純だろうか。
1
あなたにおすすめの小説
強引な初彼と10年ぶりの再会
矢簑芽衣
恋愛
葛城ほのかは、高校生の時に初めて付き合った彼氏・高坂玲からキスをされて逃げ出した過去がある。高坂とはそれっきりになってしまい、以来誰とも付き合うことなくほのかは26歳になっていた。そんなある日、ほのかの職場に高坂がやって来る。10年ぶりに再会する2人。高坂はほのかを翻弄していく……。
恋は、やさしく
美凪ましろ
恋愛
失恋したばかりの彼女はひょんなことから新橋の街中で上司にお姫様抱っこされ……!? ――俺様な美形上司と彼女とのじんわりとした恋物語。
性描写の入る章には*マークをつけています。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる