愛の議論は長々と—あなたには理屈じゃ敵わない—

茜琉ぴーたん

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2・秀才ワンコ

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 一応交際を始めて半年、我々は大学4年生になった。
 私は大学院に進むための試験を受けて、結果を待っているところだ。
 翔は就職先は入学前から決まっているので就活もせず、悠々と学生最後の年を楽しもうとしている。
 彼は相変わらず「もし、万が一にも大学院に進めなかったら、うちの熊学園にポストをご用意しますから」と言ってくれている。もしそうなれば恩恵に預かろうかな、なんて半分本気で考えたりもしている昨今だ。

 さて、翔の宣言通り、私たちは付き合ってはいるが肉体的接触はしていない。私が院入試の準備で忙しかったというのもあるが、翔がしっかりと己を律してくれているのでプラトニックが守られている。
 これまで数回のデートをしてみたが、翔は手すら握ろうとはしない。初デート時に"お手"をした、あれが彼に触れた最後だ。
 本人が「性交渉は結婚後に」と言っていたから、守るつもりならそれが良かろう。しかしまぁ生物としてそこまで理性が働くのもどうかと思う。
 そもそも、翔の中での交際の目的とは何なのだろう。付き合ったら手を繋ぎたいと言っていたくせに実行はしない、許可すら取ってこない。20代も前半の男性はそんなものなのだろうか。
 翔の友人が交際してるというゼミの友人に尋ねてみたところ、こちらのカップルは既に致しているらしい。「そりゃそうだよ」と言われ、「だよね」と返すほか無かった。
 お堅い思想だから婚前交渉は控えるとしても、ぼちぼち手くらいは繋いであげても良い。それを私に言って来るべき、翔からお願いするべきだ。
「(釣った魚に餌をやらないというやつか?)」
 私だって言うほど堅物ではないので、名作と讃えられる恋愛映画は嗜んでいる。テレビを点けて恋愛ドラマが放映中なら少し観てみるし、忌避する理由も無い。人並みに感動もする、「良い結末だった」と感想も抱ける。ただ、同時刻に動物番組を流していたらそちらを優先してしまうというだけだ。
 好奇心はある、ただそれが性欲と呼べるのかは不明だ。翔の色んな顔を見たい、それは興味であって知りたい欲であって。
 そして男性の身体がどうなってどうするか、知識としては存じている。
 学習を実態あるものにしたい、知りたい欲を満たしたい…それが動機では不純だろうか。
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