愛の議論は長々と—あなたには理屈じゃ敵わない—

茜琉ぴーたん

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5・欲と二人連れ

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 ゆっくり体を離して接合を解いて、次は私がベッドに寝転がる。
 翔は眼鏡を掛け直し、食い入るように私の各部を見て回った。
「お可愛らしい乳首ですよね」
「…分かんない」
「適度な肉付きが良いですね…柔らかいですし、跳ね返す弾力が女性的です」
「…翔くんは痩せすぎ」
「ほう…こんな風に毛が生えてるんですね」
「そこは男女差は無いでしょ…」
 翔は意図なく言葉で私を責める。本人は褒めたり素直な意見と感想を述べているに過ぎないので止めることも出来ない。
「…なるほど…ココに、先程まで私が入っていた、と」
「…血が出てるかも」
「どうでしょうね…舐めてみても良いですか?」
「良くないよ」
「…知りたいんですが」
「ぐぬぬ」
 「知りたい」に弱い、翔はもう私の性分を理解して乗りこなしているのかもしれない。
 熱い息と湿った舌、確かめるように細かく這っては舐め回されて。無様な鳴き声が漏れるが、翔の解釈違いになってやしないかと不安になった。
「(こ、これが、噂に聞くクンニリングス…恥ずかし過ぎる、終わりがあるの?いつ、終わる?)」
「…多香子さん、素直な反応をして頂けたら嬉しいですよ」
「で、でも、」
「私は悦んで頂けたら本望です」
「はぁ」

 それなら、と私は以降の反応を誤魔化さなかった。
 ペロペロしている翔の頭を撫でてやると彼は大層喜んで、持って生まれた気質は厄介で面倒だなと感じた。私の振る舞いも、翔は自分に都合良く変換して捉えている。果たしてこれがありのまま愛し合っていると言えるのだろうか。
「(翔的には、"舐めさせてる"私が理想なんだよね?萌えないなぁ、私は普通に"舐められてる"方が自然だと思うんだけどな)」
 しかしこれも考えようで、私は私で勝手に解釈を付ければ平和なのかもしれない。
 私は舐められている、責められている。それが萌える、ドキドキする。
 でも翔の脳内の私は性分が違う、つまりは私じゃない。

 翔は彼の解釈で、私は私の解釈で…
「…翔くん、私、やっぱりそんな女王様気質にはなれないよ」
トライしてはみたが、無理があった。
 首を起こして、陰毛に隠れた翔に告げる。
「…あ、はい」
「翔くんは、私に"やらされてる"って思いたいんだよね?私も"されてる"って思っちゃうの。難しい…普段の生活ならともかく、セックスは…互いの方向性が違うのって、すごい快感のノイズになる」
「…つまり、相性が良くない、と」
「詰まるところね」
 股から顔を離した翔は、「うーん」と私の隣に寝そべる。
 そして口周りを手で拭って、
「私は純粋に気持ち良いですけど」
と惚けたように笑った。
「あ、別れ話じゃないよ、私は翔くんのこと好きだし」
「襲ってしまうくらいには、ですよね」
「うん、他の女の子と話してるだけで頭に血が上っちゃって勢いで処女棄てちゃうくらいには。私、セックスは翔くんの上位に立つのって難しい」
「…セックスは基本、男性優位ですものね。女性はどうしても物理的に受け入れる側で…生殖に関係無いことならともかく…」
 女性優位のセックスも勉強はしてみた。でもサキュバスみたいに搾り取るようなこと、別に好みではない。男らしく抱いて欲しい、私の趣向はそんなものだと翔に伝える。
 翔はまさに痴女行為みたいに好き勝手されるのが好きで、正常位で私を責め立てることを想定してなかったそうだ。ただでさえ体が大きい自身が覆い被さることで、私が壊れてしまいそうで恐いのだという。悦楽を含むとしても苦悶の表情は見たくない、臆病で優しい翔らしい考えだ。
 とすると破瓜はかの痛みに耐える私の顔を見せなかったのはグッジョブな気がする、見ていたら萎えていたらしい。

「私たち、好みのセックススタンスが違うんだよ…これはいびつ、幸せじゃない気がする」
「…二人で自慰行為をしている感じですか」
「そう、そんな感じ…二人でする意味が、無い…んじゃないかな」
「私から嫌な感じがしますか?」
「それは無いよ、好きだし、くっつきたいもん…翔くんが私のこと好きなのはよく分かるの、だからドキドキする、好きなの、気持ち良いの…伝わる?」
「はい、私も多香子さんからの愛情と執着を感じられて光栄ですよ」
「好きになっちゃったんだもん…理屈は、もう分かんないや。でも解決したいんだ、自分に嘘つきたくないし」
 一緒に居て心地良いから離れたくない、でも根本はすれ違っている。それを性格の不一致として終わらせたくない、擦り合わせて長く一緒に居るために。
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