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1・負けず嫌いのめぐとめぐ
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しおりを挟む「ごめんね、変なこと言った…そういうキャラじゃないよね、引いちゃったよね」
「いや……萌は、エロいことに関心薄いのかと思ってた」
「…年相応に、だよ。周こそ、あんまり興味無いのかと」
「ばーか、無い訳無いじゃん。コンスタントに誘ってるじゃん」
「んー、そうなんだけど…」
周の大きな手が、私のフェイスラインを覆う。がぷっと喰むキスをされて、激しさに体の奥がじんわり熱くなるのを感じた。
「ベロ出しな」
「んあ」
「萌、」
「(いつもより、長い…息、続かな…)」
「ぷは…萌、ガツガツして良いの?」
酸欠状態の私の視界を、恋人が埋める。
本当は見た目に無頓着なのに、人前に立つからと整えた眉毛。お祖父さん似の、ゆるりとしたたれ目。
短髪だと天然パーマが暴走するからと、むさ苦しくないギリギリの長さを保たせているヘアスタイル。
「(カッコいい…)」
クールで男性的で、闘志や情熱を表に出さない周。見た目には読めないから、言葉や行動で示してもらうしかない。
「出来るの?」
「可能不可能じゃなくて、基本がそうなの。抑えてんだよ、暴走しないように」
「…なんで、抑えるの?好きにしてくれたら良いのに…」
ディープキスで骨抜きにされ、腰がくるんと丸まる。
そんな私の背中に手を添えて、周が再度寝かせてくれた。
「20代男性の性欲舐めんなよ…あのね、この体格差だよ。萌が怪我する。押さえ付けたら骨折るかもしれない…抵抗されたら僕も怪我する危険がある」
「な、何しようとしてんの」
縛ったり殴ったりだろうか、しないと分かっているがゾワっとする。
身長もそうだが周は胸板も厚く、同じ剣士なので握力の強さだって容易に想像できる。
恐々と見つめる私の頬に、周は鼻先をちょんとくっ付けた。
「暴力的なのじゃなくて、激しさ増しのというか……しても良いかどうかを探ってるんだよ」
「…ずっと?」
「初めて萌とシた時はそりゃ未熟で、でも回数を重ねたらコツとか分かってくるじゃない…年齢によって、シたいことも変わって来てる。今はただ繋がるだけじゃ満足出来ない…変態的なって意味じゃなくて…でも萌に嫌われたくないから。萌が僕と同じくらい性欲あるかも分からないし、こういう話題自体が嫌いかもしれないし…あと反撃も恐いし」
首筋から鎖骨へと降りていく唇が、不敵に笑う。
「性欲、というか、普通に…周ともっと、その、若いうちに…色々と……ていうか反撃って、私は暴力しないし」
「分かんないよ、この距離で本気の太刀食らったらマジで死ぬかもしれない」
胸の間で楽しそうに、周は目を閉じる。
「竹刀なんて寝室に置いてないよ!」
「棒はここにあるけどね」
「ばかじゃないの!」
これはあるあるなのだろうか、股間の名刀を太ももに押し付けられたので、私は苦々しく周の頭を小突いた。
言った側からの暴力に、内心では「あちゃー」と反省する。
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