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受験期編
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しおりを挟むそれから平和な高校生活は大きな問題無く、渉もきちんと授業に出ては技術や知識を学んでいって、季節は高校3年生の夏休み。
ある日彼は会社で少し働いてから花山家を訪ねていた。
「チィ、おるかー?」
「はーい……チャイム鳴らしてよ…なぁに?」
「ん…いや、どっか出掛けとったろ、帰ったか思うて」
「うん、オープンキャンパス行ってきたの」
大学進学予定の千鶴は最後の夏で佳境に差し掛かり、志望校を絞ったり模試を受けたりと忙しく過ごしている。
今日は午前中から隣市の市立大学のオープンキャンパスを見学に行っており、先程渡船で帰って来たところを渉は作業場で目撃していたのだ。
「…どこ、」
「**市立大学。校舎がキレイでね、学食も大きかったよ」
「…メシ食いに大学行くんか」
「違うけど。キャンパスライフは彩があった方が楽しいじゃない」
「市外に出んでも…こっちの市大もあるが」
「行きたい学部が無いんだもん…なに、渉くん、私が市外に出ちゃうのが嫌なの?」
「そりゃそうよ。チィは…ウチに嫁に来てもらうんじゃけぇ」
この頃渉は千鶴への好意をはっきりというかだだ漏れにし、それどころか将来家業を共に切り盛りしていくことまで勝手に決めてかかっている。
「やだ、まだ言ってるの?私、工業系に興味無いよ」
「事務よ、宅建とか簿記とか取ってよぉ、ワシとやっていこうや、な、」
「渉くん、就職を斡旋してくれるのは嬉しいけど、それは最後の手段だから。まずは大手から攻めるから」
「わ、ワシんとこだってこの辺じゃ大手ど、住設も不動産も親戚じゃし」
「おじさんの、会社でしょ」
「今はな。邪魔するど」
渉は花山家へ上がり込み、台所で勝手にグラスを取り水を注いでゴクリゴクリと空にした。
「ぷは……なぁチィ、都会はやめとけ、不良になるぞ」
大学生になれば誘惑も多いだろう、渉は2年前の自分を棚に上げては千鶴を遠くへ行かないように牽制し続けているのだ。
やれやれと千鶴はリビングのソファーへ掛けて、
「大学生にもなればお化粧はするだろうね」
と思わせぶりに微笑んで見せる。
「……」
「アルバイトもするし」
「……」
「新たな出逢いはたくさ」
「チィ、」
グラスをタァンと置いて隼のように千鶴の元へ、渉は親の居ない花山家で床に膝をつき彼女の腹を抱き締めた。
「もぉ…なに、」
「なにじゃにゃあわ、ワシを揶揄うて…遠くに行って欲しゅうない、チィ、」
「どうどう…」
馬扱いに多少イラッとするものの背中を撫でられるとほっこり落ち着いてしまって、渉はぽよぽよと顔に当たる千鶴の胸に鼻を埋めてすんすんと匂いを嗅ぐ。
「チィ…大きなってない?」
「それは渉くんの身長でしょ。今何センチ?」
「178じゃ…違う、チィのおっぱいよ、育っとる気がする…2年前より」
「どうだろうね」
「チィ、あー…いけん、舐りたい、」
「大人になったらね」
こんなあからさまなボディータッチをされても千鶴は別段驚くことも嫌がることも無くて、まるで飼い主にもぐれ付く大型犬を制しているくらいの気持ちだった。
渉からの好意は明らかに日々増してきていて、少しずつ物理的な距離を詰めて来ているのも感じていた。メールだとちょっとした下ネタも混じるようになったし、ただセックスまで進めさせる気が無いので適当に好きにさせている。
簡単に手を出させては自分の価値が下がる。千鶴はそれを分かっていて鼻先に餌をぶら下げてはひょいひょいと持ち上げたりして渉を弄んでいるのだ。
手を触れれば即刻退場させるつもりだと宣言してあるし、だからこそ彼は鼻先で乳房の弾力を楽しんだりシャツを透視しようと目を凝らしたりしてはそれをオカズとして持ち帰るのだった。
「もう大人じゃ…ちんちんも大きなったぞ」
「おじさんより?」
「……あれは規格外じゃろ」
その証拠はあの日刈田家の離れで見た父・剛のコンドームで、そのパッケージにはサイズ記号と推奨するモノの直径が書かれていた。
渉は一緒に入浴した際の父のイチモツになんとなくの覚えはあるが、自分のを計測してみて初めて「父の偉大さ」を実感した次第であった。
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