2 / 60
第一話
第二節 なつかしい関係
しおりを挟む
「ははは、それは確かにヤナギにも悪い部分はあったなぁ」
「だろ!?俺は別に何も悪いことしてなかったのに!」
屋敷の風呂場にて。スグリとアマツはヒノキ風呂の浴槽に浸かりながら、先程のスグリの様子について話していた。スグリが何故不機嫌だったのか、その理由を知ったアマツは笑いながら語る。スグリも未だ納得してない部分があったのだろう、頬を膨らませながら話す。
「俺、みんなにワガママなんて言わなかったのに。爺のヤツ、勝手に俺のせいにしてさ。なんなんだよもう……」
「まぁ落ち着きなさい。ヤナギも何も、お前が嫌いで言ったのではないぞ。お前を案じていたからこそ、ついきつく言ってしまったのだろう」
「けど、何も最初から俺が悪いって決めつけなくてもよかったじゃん!」
「それは確かになぁ。その点については早合点してしまったヤナギに非があろう。しかしスグリ。お前は魚捕りに行くことを、屋敷の者に伝えていたか?」
「あっ……」
アマツから尋ねられたスグリは、言葉に詰まる。ばつが悪そうにアマツから視線をそらし、湯船に顔の半分を浸ける。確かにスグリは、魚捕りに誘われたことも、そのために川へ行くことも屋敷の誰にも告げなかった。それではヤナギが心配することも当然である。そんな様子のスグリを叱ることはなく、彼の頭に優しく手を乗せる。そして諭すようにアマツは話し始めた。
「スグリ、お前はいい子だ。ワガママを言うこともなく、皆を引っ張っていけるようにと努力もしている。しかし、みなへの思いやりを忘れてはならん。心の優しさは強さとなるのだから」
「心が優しいと、強くなる……?」
「そうだ。心なき強さは強さにあらず。俗に、人道というやつよ」
「んー……?よく分からないよ父上?」
首を傾げ尋ね返す。それには答えず、しかし楽しそうに笑うアマツの顔が、やけに印象的に残る。いつか分かる時が来る、それだけ告げられた。答えになっていないと反発するも、やはり楽しげに笑われるだけ。
「それよりも、私のためにみなと魚捕りをしてくれたのだな。ありがとう」
「……!うん!たくさん捕ってきたから、たくさん食べてくれよな、父上!」
「ああ、楽しみにするとしよう」
湯けむりに包まれながら、楽しげに笑うスグリとアマツ。湯浴みを終わらせた二人は浴室から出て、夕飯の準備が整っていた部屋へと向かうのであった。
その後は会話を交えながら、用意された食事に舌鼓を打つ。スグリたちが捕ってきたオイカワは塩焼きにされ食膳に出されていた。ふっくらとした身は口の中でほろほろと崩れ、丁寧に味付けされた塩加減が程よい甘みも引き出していた。その味わいにアマツの表情も綻んでいたことに、スグリは安心感を覚える。久々に心から笑うアマツの笑顔が見れた。そのことが嬉しくて仕方なかった。
スグリは今年で12歳になる。4年前、彼が8歳の頃。アマツは一度、大きな戦に飲み込まれかけた村を守るために出陣し、そこで敗北を喫してしまったと聞いた。どうにか村を守ることは出来た。しかし大きな傷を負い他にも精神的にもダメージを受けたらしく、それからの父は以前より少し覇気がなくなってしまったのだ。その事を子供心にも理解したスグリは、どうにか父親に、元気になって欲しいと願うようになった。それからというものの彼は父親のためにと、何かと画策しては行動に移しているのである。
楽しい夕食の時間も終わり、気付けばあっという間に夜の帳が下りる時間となる。魚捕りを楽しんだスグリは、疲れた体に襲ってくる眠気を抑えることができなかったのだろう。会話の途中で、何度も欠伸を繰り返す。そのことに気付いたヤナギが、従者に彼の寝床の用意を指示した。
「若様、もうお疲れなのでしょう?今日はもうお休みくださいませ」
「それがいいだろう。夜更かしは体に毒ぞ。もう寝なさい、スグリ」
「うん……わかった。おやすみなさい父上、爺」
「はい、おやすみなさいませ」
「ああ、おやすみ」
スグリは寝ぼけ眼をこすりながら、自分の部屋へと向かっていく。すでに用意されていた布団に身を任せると、そのまま誘われるように眠りにつくのであった。
******
その日は、何やら不思議な夢を見ることになる。
気付けばスグリは、真っ暗な空間にいた。どこまでも広く続く、闇の中。ここはどこだろうかと、不安にあたりを見回す。なにか目印になるものでもないか。
誰か、いないのか。
声をかけるも、ただ反響するだけ。
そこには誰も、鳥すらも飛んでいない。
怖い、と。恐怖に震え、一度目を閉じる。すると瞼の裏側にぼんやりと光が見えたのを、スグリは感じた。何かあるのかと恐る恐る目を開くと、闇の奥にぼんやりと輝く場所が、視界に入る。そこから、いつも感じる何かがあると、彼は直感的に理解した。恐怖をぐっと抑えながら近付く。
近付くたびに、自然と恐怖が消えていくことを、スグリは体感した。ぼんやりと輝いていたそこは泉であり、やたら立派な樹木が聳えている。初めて見るはずの光景なのに、彼はその場所を懐かしいと感じた。前からここを知っているような、既視感のようなものだ。出かけた先で見たものだろうかと頭を捻らせていると、とある声が耳に届く。
「おや……こんなに早い覚醒だなんて。これは驚きだね」
ひどく透き通った女性の声。いったいどこから聞こえたのかと辺りを見回していると、声の正体がふわりと舞い降りる。青葉の髪に、草原の色をした服。透き通る双眸には、エメラルドの光が宿っているようで。
ガッセ村では見たことのない女性に、スグリは数秒言葉を失っていた。そんな彼に笑いかける女性は、気さくな雰囲気を纏わせ話しかける。
「やあ、この姿ではキミとははじめましてだね。私の名はヴェルザンディ。この世界の行く末を見守る、運命の女神の一人さ」
「え?あ……?」
「おや、私の声はちゃんと理解できているかい?一応、それなりに柔らかい表現で説明したつもりだけれど」
「えっと、うん、聞こえてる。聞こえてるけど……。お前……どこかで、俺と会ったことがあるのか……?」
「ああ、そういうことか。そうだね、キミにはこれの方がわかりやすいかな?」
ヴェルザンディと名乗る女性が、一つ指を鳴らす。瞬間、一筋の優しい風がスグリの中を吹き抜ける。その風で彼はようやく、既視感の正体を知った。何故ならその風は、いつも自分を助けてくれた風なのだから。
「そっか……この風の正体は、お前だったんだな?」
「そういうことさ。どう?少しは落ち着けたかな?」
「うん、なんとか」
「それはよかった」
にこ、と笑うヴェルザンディ。そんな彼女にスグリは、どうして自分がここにいるか問いかけた。ここは何処なのか。そして、何故自分の前の彼女が現れたのか。
彼の問いかけに、ヴェルザンディは順を追って説明を始める。
「そうだねぇ。まずキミはこの世界がどのように成り立っているか、知っているかい?」
「なん、となく。この惑星には世界樹ユグドラシルがあって、その樹が惑星を守る形で生えているってこと。目には見えない樹だけど、世界をいつも見守ってて、そこからマナって力をもたらしてるって」
「ほうほう、子供にしては上出来すぎるくらいに知ってるね?」
「父上が教えてくれたんだぜ!俺の父上は、何でも知ってるんだ!」
「それはそれは。さぞかし賢明な御父上なのだろうね」
「ああ!なんたって自慢の父上だからな!」
楽しく語るスグリの表情を、ヴェルザンディはまるで子供を見守る親のような顔で見下ろす。一度頷くと、彼女は泉に聳え立っていた樹木を見上げながら語る。
「そう、その世界樹ユグドラシルは、世界に根を張っていてね。そのうちの一つが、キミの住むガッセ村からそう離れていない場所にあるんだ。ここはその場所の潜在意識の中、とでも言えばいいのかな」
「ん?ってことは、俺もしかして寝ている間にそこに行ったのか!?」
「安心したまえ。ここはキミの夢と直結している。現実のキミは、今はお布団の中でぐっすり夢の中さ」
「んんん?つまり、ええっと……?」
「ああ、ごめんよ。簡単に言えば、ここはキミの夢の中で、キミは夢を介して私と話しているってことさ」
「なるほどな、それならわかりやすい!」
子供なりに理解したスグリは、しかしすぐに首を傾げた。何故自分の夢が、そんな場所と繋がっているのかと。その問いに、彼女は答えた。それは、自分が彼女の力を受け継ぐ人物だったから、と。
「俺が、お前の力を受け継ぐ……?」
「正確には私の力の一部を借りれる、といった感じなのだけど……。御父上から聞いたことはないかい?世界樹の傍には、その樹木と惑星の行く末を見守る女神たちがいるってことを」
「そういえば、聞いたことがあるような……。世界には、運命を司る三人の女神がいて、その女神たちは惑星の運命と世界樹を守っているって……」
「そう。そして、その一人が私。私は現在の時間軸を見守る、運命の女神。そして運命の女神と直接コンタクトが取れる存在が、世界には三人いるんだよ。それが、女神の巫女と呼ばれる巫女」
「女神の、巫女……」
「女神の巫女は運命の女神から予言を賜り、世界を導き守り抜く義務が課せられる。それは決して逃れることのできない、絶対的な運命。しかも巫女になる人物は私たち運命の女神ではなく、世界樹が定めるんだ」
言葉を止め一瞬苦しそうな表情をしたヴェルザンディだったが、真剣なまなざしでスグリを見据え、静かに告げる。
「その世界樹に選ばれたのが、スグリ・ベンダバル。キミだったんだよ」
彼女の言葉は、スグリの衝撃を与えるには十分すぎる一言だった。
「だろ!?俺は別に何も悪いことしてなかったのに!」
屋敷の風呂場にて。スグリとアマツはヒノキ風呂の浴槽に浸かりながら、先程のスグリの様子について話していた。スグリが何故不機嫌だったのか、その理由を知ったアマツは笑いながら語る。スグリも未だ納得してない部分があったのだろう、頬を膨らませながら話す。
「俺、みんなにワガママなんて言わなかったのに。爺のヤツ、勝手に俺のせいにしてさ。なんなんだよもう……」
「まぁ落ち着きなさい。ヤナギも何も、お前が嫌いで言ったのではないぞ。お前を案じていたからこそ、ついきつく言ってしまったのだろう」
「けど、何も最初から俺が悪いって決めつけなくてもよかったじゃん!」
「それは確かになぁ。その点については早合点してしまったヤナギに非があろう。しかしスグリ。お前は魚捕りに行くことを、屋敷の者に伝えていたか?」
「あっ……」
アマツから尋ねられたスグリは、言葉に詰まる。ばつが悪そうにアマツから視線をそらし、湯船に顔の半分を浸ける。確かにスグリは、魚捕りに誘われたことも、そのために川へ行くことも屋敷の誰にも告げなかった。それではヤナギが心配することも当然である。そんな様子のスグリを叱ることはなく、彼の頭に優しく手を乗せる。そして諭すようにアマツは話し始めた。
「スグリ、お前はいい子だ。ワガママを言うこともなく、皆を引っ張っていけるようにと努力もしている。しかし、みなへの思いやりを忘れてはならん。心の優しさは強さとなるのだから」
「心が優しいと、強くなる……?」
「そうだ。心なき強さは強さにあらず。俗に、人道というやつよ」
「んー……?よく分からないよ父上?」
首を傾げ尋ね返す。それには答えず、しかし楽しそうに笑うアマツの顔が、やけに印象的に残る。いつか分かる時が来る、それだけ告げられた。答えになっていないと反発するも、やはり楽しげに笑われるだけ。
「それよりも、私のためにみなと魚捕りをしてくれたのだな。ありがとう」
「……!うん!たくさん捕ってきたから、たくさん食べてくれよな、父上!」
「ああ、楽しみにするとしよう」
湯けむりに包まれながら、楽しげに笑うスグリとアマツ。湯浴みを終わらせた二人は浴室から出て、夕飯の準備が整っていた部屋へと向かうのであった。
その後は会話を交えながら、用意された食事に舌鼓を打つ。スグリたちが捕ってきたオイカワは塩焼きにされ食膳に出されていた。ふっくらとした身は口の中でほろほろと崩れ、丁寧に味付けされた塩加減が程よい甘みも引き出していた。その味わいにアマツの表情も綻んでいたことに、スグリは安心感を覚える。久々に心から笑うアマツの笑顔が見れた。そのことが嬉しくて仕方なかった。
スグリは今年で12歳になる。4年前、彼が8歳の頃。アマツは一度、大きな戦に飲み込まれかけた村を守るために出陣し、そこで敗北を喫してしまったと聞いた。どうにか村を守ることは出来た。しかし大きな傷を負い他にも精神的にもダメージを受けたらしく、それからの父は以前より少し覇気がなくなってしまったのだ。その事を子供心にも理解したスグリは、どうにか父親に、元気になって欲しいと願うようになった。それからというものの彼は父親のためにと、何かと画策しては行動に移しているのである。
楽しい夕食の時間も終わり、気付けばあっという間に夜の帳が下りる時間となる。魚捕りを楽しんだスグリは、疲れた体に襲ってくる眠気を抑えることができなかったのだろう。会話の途中で、何度も欠伸を繰り返す。そのことに気付いたヤナギが、従者に彼の寝床の用意を指示した。
「若様、もうお疲れなのでしょう?今日はもうお休みくださいませ」
「それがいいだろう。夜更かしは体に毒ぞ。もう寝なさい、スグリ」
「うん……わかった。おやすみなさい父上、爺」
「はい、おやすみなさいませ」
「ああ、おやすみ」
スグリは寝ぼけ眼をこすりながら、自分の部屋へと向かっていく。すでに用意されていた布団に身を任せると、そのまま誘われるように眠りにつくのであった。
******
その日は、何やら不思議な夢を見ることになる。
気付けばスグリは、真っ暗な空間にいた。どこまでも広く続く、闇の中。ここはどこだろうかと、不安にあたりを見回す。なにか目印になるものでもないか。
誰か、いないのか。
声をかけるも、ただ反響するだけ。
そこには誰も、鳥すらも飛んでいない。
怖い、と。恐怖に震え、一度目を閉じる。すると瞼の裏側にぼんやりと光が見えたのを、スグリは感じた。何かあるのかと恐る恐る目を開くと、闇の奥にぼんやりと輝く場所が、視界に入る。そこから、いつも感じる何かがあると、彼は直感的に理解した。恐怖をぐっと抑えながら近付く。
近付くたびに、自然と恐怖が消えていくことを、スグリは体感した。ぼんやりと輝いていたそこは泉であり、やたら立派な樹木が聳えている。初めて見るはずの光景なのに、彼はその場所を懐かしいと感じた。前からここを知っているような、既視感のようなものだ。出かけた先で見たものだろうかと頭を捻らせていると、とある声が耳に届く。
「おや……こんなに早い覚醒だなんて。これは驚きだね」
ひどく透き通った女性の声。いったいどこから聞こえたのかと辺りを見回していると、声の正体がふわりと舞い降りる。青葉の髪に、草原の色をした服。透き通る双眸には、エメラルドの光が宿っているようで。
ガッセ村では見たことのない女性に、スグリは数秒言葉を失っていた。そんな彼に笑いかける女性は、気さくな雰囲気を纏わせ話しかける。
「やあ、この姿ではキミとははじめましてだね。私の名はヴェルザンディ。この世界の行く末を見守る、運命の女神の一人さ」
「え?あ……?」
「おや、私の声はちゃんと理解できているかい?一応、それなりに柔らかい表現で説明したつもりだけれど」
「えっと、うん、聞こえてる。聞こえてるけど……。お前……どこかで、俺と会ったことがあるのか……?」
「ああ、そういうことか。そうだね、キミにはこれの方がわかりやすいかな?」
ヴェルザンディと名乗る女性が、一つ指を鳴らす。瞬間、一筋の優しい風がスグリの中を吹き抜ける。その風で彼はようやく、既視感の正体を知った。何故ならその風は、いつも自分を助けてくれた風なのだから。
「そっか……この風の正体は、お前だったんだな?」
「そういうことさ。どう?少しは落ち着けたかな?」
「うん、なんとか」
「それはよかった」
にこ、と笑うヴェルザンディ。そんな彼女にスグリは、どうして自分がここにいるか問いかけた。ここは何処なのか。そして、何故自分の前の彼女が現れたのか。
彼の問いかけに、ヴェルザンディは順を追って説明を始める。
「そうだねぇ。まずキミはこの世界がどのように成り立っているか、知っているかい?」
「なん、となく。この惑星には世界樹ユグドラシルがあって、その樹が惑星を守る形で生えているってこと。目には見えない樹だけど、世界をいつも見守ってて、そこからマナって力をもたらしてるって」
「ほうほう、子供にしては上出来すぎるくらいに知ってるね?」
「父上が教えてくれたんだぜ!俺の父上は、何でも知ってるんだ!」
「それはそれは。さぞかし賢明な御父上なのだろうね」
「ああ!なんたって自慢の父上だからな!」
楽しく語るスグリの表情を、ヴェルザンディはまるで子供を見守る親のような顔で見下ろす。一度頷くと、彼女は泉に聳え立っていた樹木を見上げながら語る。
「そう、その世界樹ユグドラシルは、世界に根を張っていてね。そのうちの一つが、キミの住むガッセ村からそう離れていない場所にあるんだ。ここはその場所の潜在意識の中、とでも言えばいいのかな」
「ん?ってことは、俺もしかして寝ている間にそこに行ったのか!?」
「安心したまえ。ここはキミの夢と直結している。現実のキミは、今はお布団の中でぐっすり夢の中さ」
「んんん?つまり、ええっと……?」
「ああ、ごめんよ。簡単に言えば、ここはキミの夢の中で、キミは夢を介して私と話しているってことさ」
「なるほどな、それならわかりやすい!」
子供なりに理解したスグリは、しかしすぐに首を傾げた。何故自分の夢が、そんな場所と繋がっているのかと。その問いに、彼女は答えた。それは、自分が彼女の力を受け継ぐ人物だったから、と。
「俺が、お前の力を受け継ぐ……?」
「正確には私の力の一部を借りれる、といった感じなのだけど……。御父上から聞いたことはないかい?世界樹の傍には、その樹木と惑星の行く末を見守る女神たちがいるってことを」
「そういえば、聞いたことがあるような……。世界には、運命を司る三人の女神がいて、その女神たちは惑星の運命と世界樹を守っているって……」
「そう。そして、その一人が私。私は現在の時間軸を見守る、運命の女神。そして運命の女神と直接コンタクトが取れる存在が、世界には三人いるんだよ。それが、女神の巫女と呼ばれる巫女」
「女神の、巫女……」
「女神の巫女は運命の女神から予言を賜り、世界を導き守り抜く義務が課せられる。それは決して逃れることのできない、絶対的な運命。しかも巫女になる人物は私たち運命の女神ではなく、世界樹が定めるんだ」
言葉を止め一瞬苦しそうな表情をしたヴェルザンディだったが、真剣なまなざしでスグリを見据え、静かに告げる。
「その世界樹に選ばれたのが、スグリ・ベンダバル。キミだったんだよ」
彼女の言葉は、スグリの衝撃を与えるには十分すぎる一言だった。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
隊長さんとボク
ばたかっぷ
BL
ボクの名前はエナ。
エドリアーリアナ国の守護神獣だけど、斑色の毛並みのボクはいつもひとりぼっち。
そんなボクの前に現れたのは優しい隊長さんだった――。
王候騎士団隊長さんが大好きな小動物が頑張る、なんちゃってファンタジーです。
きゅ~きゅ~鳴くもふもふな小動物とそのもふもふを愛でる隊長さんで構成されています。
えろ皆無らぶ成分も極小ですσ(^◇^;)本格ファンタジーをお求めの方は回れ右でお願いします~m(_ _)m
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる