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第一章
第十話 幕間 ゼクシィの憂鬱
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医務室を出て扉をそっと閉めると、「はぁ~」と大きくため息をついた。
顔が真っ赤に火照っているのがわかる。心臓がドキドキとうるさいくらいに弾んでいた。
「これは、やばいかしら」
救助されてから、彼は丸二日も眠っていた。
目を覚ましてくれて嬉しかったが、一昨晩のことを思い出してどうしようか思い悩んだ挙句、あのような態度で接してしまった。
(大丈夫だったかしら? 嫌われてないわよね?)
**********
ラクナウ列島の東、約一五〇キロ沖合の海上で遭難しているところを救助された見たこともない黒髪の男性。
俗にいう魔堰回廊の数あるポイントの中でも一、二を争う難所、『凪海』を航行中に、見張り台でワッチをしていた航海士のメリッサが偶然に見つけた。
日没も間近の夕暮れ時。当直者が食あたりでダウンしたので、ワッチを変わっていた。視力に優れた彼女でなければ発見できなかったかもしれない。
すべての偶然が重なり命を拾った男は強運の持ち主と言えるだろう。
本来、『凪海』で高速艇を出すのは危険なのだが、船長は即決し、甲板長のジョジョは目の良いクルーをかき集めて飛び出していった。
メリッサが見張り台から光魔堰で艇を誘導しつつ迅速に救助が行われた。
本船に収容された男の心臓は動いていたものの、ほとんど虫の息だった。
高速艇の発着ゲートでクリスと待機していた私は容態を確認すると、すぐジョジョに医務室まで運んでもらった。
途中で呼吸が止まり、何度も人工呼吸を挟んで持たせつつ医務室のベッドに寝かせた。大ウミヘビの皮を張った特注で、手術台もかねている大きめのものだ。
クリスに指示して人工呼吸を継続させながら男をまじまじと観察する。治療をどのように進めるべきか、検討する以上の意図はない。
完全に処置モードだった。こうなると私は人格が変わるらしい。特に流血があると酷いらしく、患者はみんな震える。
瞼を開けて黒目の瞳孔を確認すると反応があった。
極度に体温が低いので暖めなければならない。妙な衣服に身を包んだ男はおかしな状態で固まっている。ジョジョが言うには、高速艇に引き上げた時には既にこの体勢だったという。
両手を腹に組み、がっちり抱えている。両足を交差させていて、履き物は脱げていた。
(なんでこんな格好を?)
ずぶ濡れの衣服を脱がそうとして、胸のあたりにベルト付きの袋を抱えていることに気付く。袋には金属の縫い目のようなものが付いており、端に小さなつまみ細工が揺れていた。試しにつまんで引っ張ると、ジィーという音を立てて袋の口が開いた。
(なにこれ? 見たことない)
手早くベルトをナイフで切り、袋を胸から外す。
全身一体のオレンジ色の服の正面にも、襟元から股下まで先ほどの袋と同じような金属の縫い目がある。
つまみを掴んで下ろしていくと、あっさり襟から股下まで大きく開いた。胸のあたりから何かが転がり出る。黒い靴だ。男が履いていたものだろう。
(なぜ、服の中に靴を? 無くしたくなかった?)
手足が硬直していて脱がせにくいが、関節をほぐしながら動かし、オレンジ色の服、下着、靴下をはぎ取り全裸にする。
縮こまった逸物が目に入るが気にしない。処置モードだ。
身体を拭いて、クリスが持ってきた毛布で包む。人肌以下まで温めた白湯を少量ずつ口に含ませる。
飲み込めずに吐き出してしまう。顔は土気色で血色が悪い。
しばらくは何があるか分からない。
クリスと交代で番をすることにし、翌朝、朝食を取ってから戻ってくるように指示して、先に休ませた。
医務室にはベッドに横たわり弱々しく呼吸する患者と私だけだ。
ずっと考えていた。どうにも気になってしょうがない。
この男の衣服や持ち物もそうだが、その行動が理解できなくて、気になってしまうのだ。
(……不思議な体勢で固まってたな)
私は白衣を脱いで椅子の背もたれにかけると、男の隣に仰向けに寝転んだ。他意はない。処置モードだ。
男がしていたのと同じように両手を腹で組んで引き絞り、両足をしっかりと交差してじっとしてみる。そのままの体勢で数分間じっとしていると、
(………………暖かい?)
腹や脇下、股間、内腿が暖かくなった気がする。いずれも体幹や太い血管に近い位置。
(――! もしかして、少しでも体温を保とうした? 人体の構造と機能を理解した上で?)
思い至って目を見開く。確かに理にかなっている。
(でも、ちょっと待て。これじゃ、泳げな……い……――っ!)
胸元に付けていた袋。服の下に入れられた靴。
「……泳がなかった? 浮いてただけ?」
体温を維持するための姿勢。その体勢で浮き続け呼吸を確保。それを補助する浮袋として袋と靴。
啞然とした。すべてが理に則った行動。そして、それは間違いなく正しい。下手に泳いでいたら体力を消耗して、おそらく間に合わなかっただろう。
この男の行動は選択し得るギリギリの最適解だった。
それを導き出した知識。
使えるものすべてを利用する発想。
極限の状況でそれを為す行動力。
来ないかもしれない救助を待って耐え続けた精神力。
「くひっ」
思わず笑いが込み上げる。身体を起こして隣に横たわる男を見つめた。
(凄まじいな……彼が生きているのは奇跡なんかじゃない。文字通りすべてがここに通じていた。確かに運もあるだろうが、それを引き寄せたのは紛れもなく……)
彼の呼吸はまだ弱い。顔色も悪い。頬に触れる。とても冷たい。今にも火が消えそうだ。
(死なせるものか)
私は服を脱ぎ捨て全裸になると、彼の包まる毛布の内側に入り込み正面から抱きしめた。
腕を脇の下に、足を太腿と鼠蹊部に絡ませ、豊満な肢体を密着させて両手で彼の背中を撫でさする。
芯まで冷え切った彼に、触れる素肌が粟立つ。
彼の冷たい熱の中に猛る命の息吹を感じると、私は恍惚として「くひっ。くひひっ。くひっ」と笑った。
白湯を飲ませる。飲み込む力がまだ戻らないのか、咽せて吐き出した。
私は優しく微笑み、白湯を口に含んで、彼をきつく抱きしめると、唇を合わせトロトロとゆっくり飲ませてやる。抱き寄せ、撫で、擦り、唇を合わせ、身を絡ませ、抱きしめて。
繰り返し、繰り返し、彼の冷たい猛りを暖め続けた。
「くひっ。くひひっ。くひひひっ」
そうして、私は一晩中、彼を介抱した。
肌に感じる冷たさはかなり緩くなっている。外は白み始め、間もなく日の出だろうか。
ふと、股間のあたりに温かいものを感じ「くひゃっ!」と大きく笑いが漏れた。彼が排尿したのだ。確認すると水様便も漏れていた。
「くひゃあ! やった! やったぞ!!」
満面の笑みでバンザイする。私の股間や尻、太腿が汚物に汚れているがまったく嫌ではない。むしろ愛おしい。
(よし! よっし! 腎機能も腸の蠕動も戻ってきた。脱水も低体温も酷かったからな。心配だったんだ)
顔を紅潮させてガッツポーズ。命を繋いでこれほど嬉しかったことは今までなかった。医師としての達成感も半端ない。
(まだ油断はできないが、山場は乗り切った! きっともう大丈夫だ。これほどの男が死ぬはずがない!)
肉体の損傷や毒、細菌・ウイルス由来の病気であれば、生体魔法である程度は治療できるが、これはそういう小手先が通じない症例だった。
私は冷めた白湯をたっぷり口に含んで暖めると、唇を合わせる。舌を入れて歯を開かせ、咽せないようにそっと、ゆっくりゆっくり流し込んでいく。
飲ませ終えても離さず、名残惜しむように唇と舌で、彼をやさしく暖めた。
数分間、貪るように暖め続けて唇を離すと唾液が糸を引く。興奮しきりの私は「はぁあ~~」と深く吐息をつき、潤んだ瞳で彼を見つめ続けていた。
そこにクリスが朝食を持って入ってくる。私の分を持ってきてくれたのだろう。
扉を入ったところに立つクリスに目を向ける。
クリスは目をまん丸く見開き、小さな口をあんぐり開けてワナワナと震えていた。今にも朝食のトレーを落としそうだ。
「ななななな、な、何してるんですか……?」
クリスの様子を不審に思いながら自分を見つめ直す。全裸の自分、上気した顔、隣に眠る全裸の男。
「ひゃああああぁあぁああぁあああああああああああ!」
即座に処置モードが解除される。最後のは処置ではなかったので、すでに解除されていたのかもしれないが正気ではなかった。
真っ赤になって放心するクリスに必死に弁明し、なんとか理解を得て、掃除を手伝ってもらうのだった。
**********
何度も回想した記憶に、ゼクシィは更に真っ赤になって両手で顔を覆い、廊下にしゃがみ込んでしまう。
何度、思い出しても恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
「ホントに、やばいかしら!」
何とか気を取り直して狭い廊下を歩いていく。
本船の廊下は人がギリギリすれ違える程度の幅しかなく天井も低い。船長は「廊下を走るな。絶対だぞ」と口を酸っぱくして言っているし、乗組員も他船と比べて安全に対する意識が高い。
一般的に船員は粗暴な気性の者が多く、契約魔堰で交わしていないルールを押し付けられることを嫌う。ケガしようが死のうが自己責任と、スッパリ割り切っているのが普通だ。
本船でも同じだったのだが、二年ほど前から船長が改革を始めた。始めは不満が溢れていたが、ある時、全員がその理由を知ることになり一気に協力的になった。
事情が事情なので誰も理由は口にしない。船医としての立場で言わせてもらえば大歓迎である。仕事が減るに越したことはない。
(うわ……ホント邪魔かしら)
前方から甲板長のジョジョがのしのし歩いてきた。
一九〇センチを超える長身に筋肉の盛り上がった広い肩、ぶ厚い胸板に割れた腹筋、太腿やふくらはぎははち切れんばかりに膨らんでいて、着衣は信じられないくらいピッチリと筋肉に張り付いている。
筋肉の名は、ジョン・ジョバンニング。
今年、齢五十を迎えるというのに、筋肉は日々成長を続けているのだから少し気持ち悪いくらいだ。
「おう、ジェシー。あんちゃんの具合はどうかよぉ?」
分厚い大胸筋が互い違いにぴくぴく震える。
「ついさっき目が覚めたわよ。かなり消耗してるし、他にも色々と問題ありそうだわ」
「じょはは! 生きてて何より! ワシは運の強ぇ奴は好きだ」
大胸筋が嬉しそうにびっくびっくと飛び跳ねる。
「ジョジョ。何度も言ってるけど、筋肉で会話するのはやめて。それと、今日からゼクシィかしら!」
ゼクシィは頬を歪ませ、ジョジョをぶすっと睨む。
「……また変わったのかぁ? 先月ウチのロブといい感じになって変わったばっかじゃなかったかぁ?」
「ロブねぇ……顔は好みだったけど幼過ぎたかしら。すぐに別れて自分で改名したわよ。やっぱり年下はダメだわよ」
「その前はモグラのトムだったかよ。あいつは十歳は上だったろぉ?」
「トムは長続きした方だったわよ。顔も好みだったかしら。年上の余裕もあったけど、たまに視線がいやらしいのが嫌だったかしら」
ジョジョはため息を一つ。血色のいい茶色に光るスキンヘッドを撫でつつ説教を始めた。
「お前さん、もう少し身を固める努力をしろぉ。もういい年だろぉ」
「言われるまでもないわよ! 気になったら端から粉かけて回ってるかしら!」
「努力の方向が間違ってんだよぉ。男はそういう尻の軽いところを見ると萎えるんだ」
「失礼な! 付き合ってる間は脇目も振らずに邁進してるかしら!」
「その期間が極々短いじゃねえか。そんなにすぐ仲が深まるなら誰も苦労しねぇ」
「しょうがないじゃない! 努力すればするほど冷めていっちゃうんだわよ!」
「そりゃあ、初めから勘違いだったんだ。お前さん、いつも顔が好みだのと言っちゃあいるが、どいつもこいつも点でバラバラ。本当は顔なんてどうでもいいんだよぉ。他に理由が見当たらないから自分でそう思い込んでるだけだぁ」
「……ッ! バカ! ハゲ! 筋肉ダルマ! もう知らない!」
泣きながら廊下を通り抜けようとして、ジョジョと壁の間に挟まった。筋肉と爆乳がそれぞれ邪魔をしてびくびく、ぷるぷると震える。
ジョジョはできるだけ廊下の端に身を寄せようとするが大してスペースは生まれない。
ゼクシィは顔を真っ赤にしてジョジョの筋肉をぺちぺち叩きながら、柔肉をむみゅむみゅ撓ませ何とか抜け出すと、「スケベ筋肉!」ともう一声叫び走り去ってしまった。
「船医が廊下を走るなよぉ」
やれやれとゼクシィの去っていった方向を見つめる。
そこには年頃の娘の将来を心配する父親のような、暖かな眼差しがあった。
(……それにしても、今回は随分と早かったな。期待していいのかね)
スキンヘッドを一撫でして軽く微笑むと、狭い廊下に身を納め、のしのしと歩みを進めるのだった。
ゼクシィは居住区の最上階まで一気に駆け上がると、息を切らせながら足早に進む。
(あんの筋肉! ホント、ムカつくかしら。知った風なことばかり!)
ジョジョの説教にイライラが抑え切れない。
適齢期を過ぎているのは痛いほどに分かっている。自分でも内心、焦っているのだ。
だけど、女性船員ならそう珍しいことではないはずだ。男所帯で引く手数多かといえば、そんなことはない。
クルーは同僚であり、仲間であり、長い時間を共にする家族の側面が強い。
もちろん、下卑た欲望を剥き出しにするクソ野郎もいるが、そんな手合いは端から相手にしないし、何よりも船長が絶対に認めない。彼女の人を見る目は確かだ。間違っても、そんなのを雇い入れることなどあり得ないだろう。
そんな船長の厳しい目をくぐり抜けた新乗船者たちの中から、さらに日々の仕事ぶりや生活態度、容姿に性格、女性の好みなどを綿密に観察し、これは、と思った男に的を絞ってアタックする。これがゼクシィのライフワークなのだ。
彼女自身も知らないことだが、ゼクシィに標的にされ、呆気なく振られた男たちは、その後すぐに幸せを掴んでいる。
結婚したり、恋人ができたりと様々だが、いずれの場合もお相手の女性から高評価を得ているそうだ。
そんな、どうでもいい実績を積み重ねて、『ゼーク・ジェシア・アジュメイルの通った跡にはいい男が落ちている』と未婚女性からは一目置かれている。
適齢期うんぬんの話が出てきているのは、ゼクシィの陸での立場に起因している。
(お父様の心配は理解しているつもり。でも、帝国の貴族崩れには何も感じないんだから、絶対に嫌!)
父は最近ますます見合いを奨めてくるようになった。
本島に帰港するたびに見合い相手が待っているのは辟易するが、父の手前、先方の顔を潰さないように上手く断る術を身につけ始めたところだ。
父もそんな愛娘の心情を理解しているのか、無理強いはしてこない。
つまり、ゼクシィという妙齢の女性は、愛の無い結婚など認められず、理想が高く、恋愛に積極的な割に自分の気持ちにひどく鈍感で、高い教養と上流階級の気品を併せ持ち、至極真っ当な貞操観念を抱き、恋に恋する純情な乙女のように初心で可愛らしい、大変に面倒な女なのだ。
一方で、ゼクシィの自己評価は『男を狂わせる妖艶な大人の女』なのだから始末に負えない。
ジョジョに言われた『勘違い』というフレーズに妙に納得してしまった自分がいて、ゼクシィの乙女心は憂鬱に沈む。
(ホヅミンのことも、勘違いなのかしら)
船長室の前で再びあの夜のことを思い出す。即座に蹲って身悶えした。
これはもう『勘違い』とかそういう次元じゃない。今までとは何もかもが違う。
(これやばいわ……ゼクシィ、どうしよう)
一頻り思い悩み、気を取り直して立ち上がると、船長室の扉をノックする。
「ビクトリア船長。ゼクシィ、入ります」
「ん? ……ああ、ジェジェか。入ってくれ」
ゼクシィは扉を開けて室内に入ると、船長のビクトリアが執務室で応接テーブルの前にいた。
スラリとした長身の美女だ。腰まである真っ赤な癖っ毛が方々に跳ね上がり獅子のように猛々しく燃える。ネコ科の猛獣を思わせる金色の瞳が印象的だ。
彼女の名前はビクトリア・アジュメイル。
ゼクシィの一つ年上の義姉に当たる人物である。
「ビクトリア船長。彼が意識を取り戻しましたので、問診の結果を報告に来ました」
「今はオレたちだけなんだから、いつも通りでいいぞ」
ビクトリアは「カカッ」と快活に笑うと、ゼクシィに椅子を勧める。
「リア姉。それもそうね」
ゼクシィはビクトリアの正面の席に座った。
「それにしても、いきなり誰かと思ったぞ」
「ついさっき『ゼクシィ』になったかしら。リア姉もこれからはそう呼んで欲しいわ」
「オレは嫌だね。昔のまま『ジェジェ』でいいだろう? 男が変わるたびに呼び名も変わるもんだから、面倒ったらない」
「ホヅミンに付けてもらった名前で呼んで欲しいかしら。なぜか燃えてくるのよ」
なぜかは分からないが、この名前はライフワークに活力を与えてくれる。
「なぁ、ジェジェよ。お前さん、大半のクルーから何て呼ばれてるか知ってるか? 『先生』だ。みんな面倒くさいんだよ」
「それはわかってるわよ。最近はクリスまでそう呼んでくるし。でも、今回は今までとは違うかしら。それに『ジェジェ』って恥ずかしいのよ」
幼い頃にビクトリアが付けた呼び名。
アジュメイル家に引き取られて初めて出会ったとき、舌足らずに『じぇーく・じぇしあ』と名乗ったら『なら、ジェジェだな』と変な名前を付けられてしまった。
ちなみに甲板長のジョジョも、幼い頃のビクトリアの命名だったりする。
「そうか? 我ながらいい呼び名だと思うがな。しかし、あの男はついさっき目覚めたと言ってなかったか?」
「そう言ったわよ」
「拾われて寝ていただけの男に初対面で? これまでは散々吟味して選んでたし、オレも選択は悪くないと思ってたから何も言わなかったが」
「ホヅミンは特別。彼と比べたら今までの男なんて、ジャガイモみたいなものかしら」
「そこまで言うか。あいつの何がそんなに気に入ったんだ?」
「ホヅミンは凄いの!」
ゼクシィは一昨晩の介抱で気付いたアレコレを熱に浮かされたように語ってくる。
相槌を打ちながら興味深げに話を聞き終えたビクトリアはニヤリと笑みを浮かべて満足そうに頷いた。
「大したものだな。なかなか面白い男のようだ」
「リア姉。取ったらダメよ」
「勿論、わかってる。オレには婚約者だっているんだ。かわいい義妹の恋路は応援するぞ。存分にやれ」
「うふふっ。ありがと」
「カカっ! ま、がんばれ」
船長のお墨付きを得てゼクシィは闘志を滾らせる。まだ何も進展はないが、穂積に操を捧げる覚悟だ。
驚くべきことにゼクシィは純潔を保ったままだった。そういう雰囲気になると一気に冷めてしまうのだ。
随分と悩んだものだったが、穂積に対しては一切心配していない。むしろ、我慢できるか怪しい。というか、意識の無い彼に、既にやらかしてしまっていた。
「さて、かなり脱線してしまったが、報告を聞こう」
「そうだったわね。本題も終わったことだし、問診結果を報告しようかしら」
(コッチがついでだったのか)
ビクトリアは苦笑いすると、ゼクシィの報告に耳を傾ける。
「彼の名前はニイタカ・ホヅミ。ホヅミンね。二八歳、男性」
「家名があるのか? 名家の出か?」
「ニイタカが家名らしいわ。聞いたことのない響きだけど」
「ふむ。ゼクシィと同い年だな」
逃すなよという意味を込めて、『ゼクシィ』と呼んでやる。ゼクシィは満足そうに頷いて続ける。
「うふっ。職業は船員だって。救命艇で作業してたら何かに引っ張られて落ちたらしいわ」
「救命艇? 高速艇や艦載強襲艇のようなものか。引っ張られたって何に?」
「救命艇というのは落水者を救助したり、本船を捨てて逃げるときに使う小型艇のことらしいわ。何に引っ張られたかは分からないけど、人為的なものじゃなかったらしいかしら」
「船を捨てて逃げるだと!?」
ビクトリアは転落した経緯より、『船を捨てる』という部分に食いついた。骨のある男かと思ったが、軟弱者なのかと目尻を吊り上げている。
「ゼクシィも気になって聞いてみたんだけどね。ちょっとおかしいのよ」
「そりゃ、おかしい。船を捨てるなんてありえんぞ!」
「そうじゃなくて、ホヅミンはね。ゼクシィが救命艇を知らなかったことに驚いていたの。この船にも無いはずがないって。 SOLAS条約で決まってるって」
「そーら……何?」
「SOLAS条約。『海上における人命の安全のための国際条約』の略称らしいけど……リア姉も知らないわよね?」
わけの分からないことを報告する義妹に憮然として答える。
「聞いたこともない。だいたい国際条約って何だ?」
「『国家間、または国家と国際機関との間で結ばれた文書による合意』のことですって……リア姉も知らないわよね?」
「知らん」
如何にもな説明をされても、知らないものは知らない。
「有名なタイタニック号の海難事故を契機にできた条約らしいんだけど……リア姉知ってる? タイタニック号?」
「知らん! なんなんだ、あの男。訳のわからんことを……」
ビクトリアがイライラしてきている。
ゼクシィはこの義姉の豪放磊落な気風と、情を直くして径ちに行うな行動理念をよく知っている。
よく分からないホヅミの言を伝えるのも、『ホヅミンとの交際を反対されたらどうしよう』と気が気でない。
思い切って続ける。
「リア姉。それだけじゃないの。他にもいろいろよく分からないかしら」
「……」
「どこの出身か聞いたら、『ニホン』っていう国の生まれだって言うのよ。しかも、ここはニホン近海のはずだって」
「…………」
「ゼクシィもクリスもニホン語をしゃべってるって言うのよ」
「………………」
さらに、エイヤァと続ける。
「リア姉。それだけでも無いの」
「まだあるのか……」
「魔法適性がわからないかしら」
「は?」
「それどころか魔法自体を知らないかしら」
「……は?」
ビクトリアはイライラを通り越してポカーンとしている。惚けること暫し、居住まいを正して言う。
「なぁ、ジェジェよ。やめておいた方がいいんじゃないか? 火中の栗を拾うことはあるまい?」
「いやぁ~!」
ゼクシィはイヤイヤと両手で顔を覆い首を振ってまくし立てる。
「い、今はきっと混乱しているだけよ! もしかしたら一時的に記憶障害が出たのかもしれないわ!」
「……」
「た、たとえホヅミンがどんな事情を抱えていようと、ゼクシィにはもうホヅミン以外考えられないかしら! 医者として、女として、生涯支えて、添い遂げる覚悟かしら!」
「…………」
「まま、魔法だって、きっと何とかなるわよ! 忘れているだけよ! 次の港で鑑定すれば適性だって把握できるし! 一度、使えばすぐ思い出すわ!」
ゼクシィは必死になって穂積を守ろうとしている。何がなんでもビクトリアに認めてもらい船に置いて欲しいのだろう。
「ももも、もしダメだって言うんなら、ゼ、ゼクシィはビクトリア号を降りてでも、ホヅミンと一緒になるんだからぁ~!」
半泣きになってビクトリアに泣きつく。
かわいい義妹のそんな姿を見ておれず、ビクトリアは目元を押さえて天井を仰いだ。
(あの男、どうしてくれよう)
顔が真っ赤に火照っているのがわかる。心臓がドキドキとうるさいくらいに弾んでいた。
「これは、やばいかしら」
救助されてから、彼は丸二日も眠っていた。
目を覚ましてくれて嬉しかったが、一昨晩のことを思い出してどうしようか思い悩んだ挙句、あのような態度で接してしまった。
(大丈夫だったかしら? 嫌われてないわよね?)
**********
ラクナウ列島の東、約一五〇キロ沖合の海上で遭難しているところを救助された見たこともない黒髪の男性。
俗にいう魔堰回廊の数あるポイントの中でも一、二を争う難所、『凪海』を航行中に、見張り台でワッチをしていた航海士のメリッサが偶然に見つけた。
日没も間近の夕暮れ時。当直者が食あたりでダウンしたので、ワッチを変わっていた。視力に優れた彼女でなければ発見できなかったかもしれない。
すべての偶然が重なり命を拾った男は強運の持ち主と言えるだろう。
本来、『凪海』で高速艇を出すのは危険なのだが、船長は即決し、甲板長のジョジョは目の良いクルーをかき集めて飛び出していった。
メリッサが見張り台から光魔堰で艇を誘導しつつ迅速に救助が行われた。
本船に収容された男の心臓は動いていたものの、ほとんど虫の息だった。
高速艇の発着ゲートでクリスと待機していた私は容態を確認すると、すぐジョジョに医務室まで運んでもらった。
途中で呼吸が止まり、何度も人工呼吸を挟んで持たせつつ医務室のベッドに寝かせた。大ウミヘビの皮を張った特注で、手術台もかねている大きめのものだ。
クリスに指示して人工呼吸を継続させながら男をまじまじと観察する。治療をどのように進めるべきか、検討する以上の意図はない。
完全に処置モードだった。こうなると私は人格が変わるらしい。特に流血があると酷いらしく、患者はみんな震える。
瞼を開けて黒目の瞳孔を確認すると反応があった。
極度に体温が低いので暖めなければならない。妙な衣服に身を包んだ男はおかしな状態で固まっている。ジョジョが言うには、高速艇に引き上げた時には既にこの体勢だったという。
両手を腹に組み、がっちり抱えている。両足を交差させていて、履き物は脱げていた。
(なんでこんな格好を?)
ずぶ濡れの衣服を脱がそうとして、胸のあたりにベルト付きの袋を抱えていることに気付く。袋には金属の縫い目のようなものが付いており、端に小さなつまみ細工が揺れていた。試しにつまんで引っ張ると、ジィーという音を立てて袋の口が開いた。
(なにこれ? 見たことない)
手早くベルトをナイフで切り、袋を胸から外す。
全身一体のオレンジ色の服の正面にも、襟元から股下まで先ほどの袋と同じような金属の縫い目がある。
つまみを掴んで下ろしていくと、あっさり襟から股下まで大きく開いた。胸のあたりから何かが転がり出る。黒い靴だ。男が履いていたものだろう。
(なぜ、服の中に靴を? 無くしたくなかった?)
手足が硬直していて脱がせにくいが、関節をほぐしながら動かし、オレンジ色の服、下着、靴下をはぎ取り全裸にする。
縮こまった逸物が目に入るが気にしない。処置モードだ。
身体を拭いて、クリスが持ってきた毛布で包む。人肌以下まで温めた白湯を少量ずつ口に含ませる。
飲み込めずに吐き出してしまう。顔は土気色で血色が悪い。
しばらくは何があるか分からない。
クリスと交代で番をすることにし、翌朝、朝食を取ってから戻ってくるように指示して、先に休ませた。
医務室にはベッドに横たわり弱々しく呼吸する患者と私だけだ。
ずっと考えていた。どうにも気になってしょうがない。
この男の衣服や持ち物もそうだが、その行動が理解できなくて、気になってしまうのだ。
(……不思議な体勢で固まってたな)
私は白衣を脱いで椅子の背もたれにかけると、男の隣に仰向けに寝転んだ。他意はない。処置モードだ。
男がしていたのと同じように両手を腹で組んで引き絞り、両足をしっかりと交差してじっとしてみる。そのままの体勢で数分間じっとしていると、
(………………暖かい?)
腹や脇下、股間、内腿が暖かくなった気がする。いずれも体幹や太い血管に近い位置。
(――! もしかして、少しでも体温を保とうした? 人体の構造と機能を理解した上で?)
思い至って目を見開く。確かに理にかなっている。
(でも、ちょっと待て。これじゃ、泳げな……い……――っ!)
胸元に付けていた袋。服の下に入れられた靴。
「……泳がなかった? 浮いてただけ?」
体温を維持するための姿勢。その体勢で浮き続け呼吸を確保。それを補助する浮袋として袋と靴。
啞然とした。すべてが理に則った行動。そして、それは間違いなく正しい。下手に泳いでいたら体力を消耗して、おそらく間に合わなかっただろう。
この男の行動は選択し得るギリギリの最適解だった。
それを導き出した知識。
使えるものすべてを利用する発想。
極限の状況でそれを為す行動力。
来ないかもしれない救助を待って耐え続けた精神力。
「くひっ」
思わず笑いが込み上げる。身体を起こして隣に横たわる男を見つめた。
(凄まじいな……彼が生きているのは奇跡なんかじゃない。文字通りすべてがここに通じていた。確かに運もあるだろうが、それを引き寄せたのは紛れもなく……)
彼の呼吸はまだ弱い。顔色も悪い。頬に触れる。とても冷たい。今にも火が消えそうだ。
(死なせるものか)
私は服を脱ぎ捨て全裸になると、彼の包まる毛布の内側に入り込み正面から抱きしめた。
腕を脇の下に、足を太腿と鼠蹊部に絡ませ、豊満な肢体を密着させて両手で彼の背中を撫でさする。
芯まで冷え切った彼に、触れる素肌が粟立つ。
彼の冷たい熱の中に猛る命の息吹を感じると、私は恍惚として「くひっ。くひひっ。くひっ」と笑った。
白湯を飲ませる。飲み込む力がまだ戻らないのか、咽せて吐き出した。
私は優しく微笑み、白湯を口に含んで、彼をきつく抱きしめると、唇を合わせトロトロとゆっくり飲ませてやる。抱き寄せ、撫で、擦り、唇を合わせ、身を絡ませ、抱きしめて。
繰り返し、繰り返し、彼の冷たい猛りを暖め続けた。
「くひっ。くひひっ。くひひひっ」
そうして、私は一晩中、彼を介抱した。
肌に感じる冷たさはかなり緩くなっている。外は白み始め、間もなく日の出だろうか。
ふと、股間のあたりに温かいものを感じ「くひゃっ!」と大きく笑いが漏れた。彼が排尿したのだ。確認すると水様便も漏れていた。
「くひゃあ! やった! やったぞ!!」
満面の笑みでバンザイする。私の股間や尻、太腿が汚物に汚れているがまったく嫌ではない。むしろ愛おしい。
(よし! よっし! 腎機能も腸の蠕動も戻ってきた。脱水も低体温も酷かったからな。心配だったんだ)
顔を紅潮させてガッツポーズ。命を繋いでこれほど嬉しかったことは今までなかった。医師としての達成感も半端ない。
(まだ油断はできないが、山場は乗り切った! きっともう大丈夫だ。これほどの男が死ぬはずがない!)
肉体の損傷や毒、細菌・ウイルス由来の病気であれば、生体魔法である程度は治療できるが、これはそういう小手先が通じない症例だった。
私は冷めた白湯をたっぷり口に含んで暖めると、唇を合わせる。舌を入れて歯を開かせ、咽せないようにそっと、ゆっくりゆっくり流し込んでいく。
飲ませ終えても離さず、名残惜しむように唇と舌で、彼をやさしく暖めた。
数分間、貪るように暖め続けて唇を離すと唾液が糸を引く。興奮しきりの私は「はぁあ~~」と深く吐息をつき、潤んだ瞳で彼を見つめ続けていた。
そこにクリスが朝食を持って入ってくる。私の分を持ってきてくれたのだろう。
扉を入ったところに立つクリスに目を向ける。
クリスは目をまん丸く見開き、小さな口をあんぐり開けてワナワナと震えていた。今にも朝食のトレーを落としそうだ。
「ななななな、な、何してるんですか……?」
クリスの様子を不審に思いながら自分を見つめ直す。全裸の自分、上気した顔、隣に眠る全裸の男。
「ひゃああああぁあぁああぁあああああああああああ!」
即座に処置モードが解除される。最後のは処置ではなかったので、すでに解除されていたのかもしれないが正気ではなかった。
真っ赤になって放心するクリスに必死に弁明し、なんとか理解を得て、掃除を手伝ってもらうのだった。
**********
何度も回想した記憶に、ゼクシィは更に真っ赤になって両手で顔を覆い、廊下にしゃがみ込んでしまう。
何度、思い出しても恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
「ホントに、やばいかしら!」
何とか気を取り直して狭い廊下を歩いていく。
本船の廊下は人がギリギリすれ違える程度の幅しかなく天井も低い。船長は「廊下を走るな。絶対だぞ」と口を酸っぱくして言っているし、乗組員も他船と比べて安全に対する意識が高い。
一般的に船員は粗暴な気性の者が多く、契約魔堰で交わしていないルールを押し付けられることを嫌う。ケガしようが死のうが自己責任と、スッパリ割り切っているのが普通だ。
本船でも同じだったのだが、二年ほど前から船長が改革を始めた。始めは不満が溢れていたが、ある時、全員がその理由を知ることになり一気に協力的になった。
事情が事情なので誰も理由は口にしない。船医としての立場で言わせてもらえば大歓迎である。仕事が減るに越したことはない。
(うわ……ホント邪魔かしら)
前方から甲板長のジョジョがのしのし歩いてきた。
一九〇センチを超える長身に筋肉の盛り上がった広い肩、ぶ厚い胸板に割れた腹筋、太腿やふくらはぎははち切れんばかりに膨らんでいて、着衣は信じられないくらいピッチリと筋肉に張り付いている。
筋肉の名は、ジョン・ジョバンニング。
今年、齢五十を迎えるというのに、筋肉は日々成長を続けているのだから少し気持ち悪いくらいだ。
「おう、ジェシー。あんちゃんの具合はどうかよぉ?」
分厚い大胸筋が互い違いにぴくぴく震える。
「ついさっき目が覚めたわよ。かなり消耗してるし、他にも色々と問題ありそうだわ」
「じょはは! 生きてて何より! ワシは運の強ぇ奴は好きだ」
大胸筋が嬉しそうにびっくびっくと飛び跳ねる。
「ジョジョ。何度も言ってるけど、筋肉で会話するのはやめて。それと、今日からゼクシィかしら!」
ゼクシィは頬を歪ませ、ジョジョをぶすっと睨む。
「……また変わったのかぁ? 先月ウチのロブといい感じになって変わったばっかじゃなかったかぁ?」
「ロブねぇ……顔は好みだったけど幼過ぎたかしら。すぐに別れて自分で改名したわよ。やっぱり年下はダメだわよ」
「その前はモグラのトムだったかよ。あいつは十歳は上だったろぉ?」
「トムは長続きした方だったわよ。顔も好みだったかしら。年上の余裕もあったけど、たまに視線がいやらしいのが嫌だったかしら」
ジョジョはため息を一つ。血色のいい茶色に光るスキンヘッドを撫でつつ説教を始めた。
「お前さん、もう少し身を固める努力をしろぉ。もういい年だろぉ」
「言われるまでもないわよ! 気になったら端から粉かけて回ってるかしら!」
「努力の方向が間違ってんだよぉ。男はそういう尻の軽いところを見ると萎えるんだ」
「失礼な! 付き合ってる間は脇目も振らずに邁進してるかしら!」
「その期間が極々短いじゃねえか。そんなにすぐ仲が深まるなら誰も苦労しねぇ」
「しょうがないじゃない! 努力すればするほど冷めていっちゃうんだわよ!」
「そりゃあ、初めから勘違いだったんだ。お前さん、いつも顔が好みだのと言っちゃあいるが、どいつもこいつも点でバラバラ。本当は顔なんてどうでもいいんだよぉ。他に理由が見当たらないから自分でそう思い込んでるだけだぁ」
「……ッ! バカ! ハゲ! 筋肉ダルマ! もう知らない!」
泣きながら廊下を通り抜けようとして、ジョジョと壁の間に挟まった。筋肉と爆乳がそれぞれ邪魔をしてびくびく、ぷるぷると震える。
ジョジョはできるだけ廊下の端に身を寄せようとするが大してスペースは生まれない。
ゼクシィは顔を真っ赤にしてジョジョの筋肉をぺちぺち叩きながら、柔肉をむみゅむみゅ撓ませ何とか抜け出すと、「スケベ筋肉!」ともう一声叫び走り去ってしまった。
「船医が廊下を走るなよぉ」
やれやれとゼクシィの去っていった方向を見つめる。
そこには年頃の娘の将来を心配する父親のような、暖かな眼差しがあった。
(……それにしても、今回は随分と早かったな。期待していいのかね)
スキンヘッドを一撫でして軽く微笑むと、狭い廊下に身を納め、のしのしと歩みを進めるのだった。
ゼクシィは居住区の最上階まで一気に駆け上がると、息を切らせながら足早に進む。
(あんの筋肉! ホント、ムカつくかしら。知った風なことばかり!)
ジョジョの説教にイライラが抑え切れない。
適齢期を過ぎているのは痛いほどに分かっている。自分でも内心、焦っているのだ。
だけど、女性船員ならそう珍しいことではないはずだ。男所帯で引く手数多かといえば、そんなことはない。
クルーは同僚であり、仲間であり、長い時間を共にする家族の側面が強い。
もちろん、下卑た欲望を剥き出しにするクソ野郎もいるが、そんな手合いは端から相手にしないし、何よりも船長が絶対に認めない。彼女の人を見る目は確かだ。間違っても、そんなのを雇い入れることなどあり得ないだろう。
そんな船長の厳しい目をくぐり抜けた新乗船者たちの中から、さらに日々の仕事ぶりや生活態度、容姿に性格、女性の好みなどを綿密に観察し、これは、と思った男に的を絞ってアタックする。これがゼクシィのライフワークなのだ。
彼女自身も知らないことだが、ゼクシィに標的にされ、呆気なく振られた男たちは、その後すぐに幸せを掴んでいる。
結婚したり、恋人ができたりと様々だが、いずれの場合もお相手の女性から高評価を得ているそうだ。
そんな、どうでもいい実績を積み重ねて、『ゼーク・ジェシア・アジュメイルの通った跡にはいい男が落ちている』と未婚女性からは一目置かれている。
適齢期うんぬんの話が出てきているのは、ゼクシィの陸での立場に起因している。
(お父様の心配は理解しているつもり。でも、帝国の貴族崩れには何も感じないんだから、絶対に嫌!)
父は最近ますます見合いを奨めてくるようになった。
本島に帰港するたびに見合い相手が待っているのは辟易するが、父の手前、先方の顔を潰さないように上手く断る術を身につけ始めたところだ。
父もそんな愛娘の心情を理解しているのか、無理強いはしてこない。
つまり、ゼクシィという妙齢の女性は、愛の無い結婚など認められず、理想が高く、恋愛に積極的な割に自分の気持ちにひどく鈍感で、高い教養と上流階級の気品を併せ持ち、至極真っ当な貞操観念を抱き、恋に恋する純情な乙女のように初心で可愛らしい、大変に面倒な女なのだ。
一方で、ゼクシィの自己評価は『男を狂わせる妖艶な大人の女』なのだから始末に負えない。
ジョジョに言われた『勘違い』というフレーズに妙に納得してしまった自分がいて、ゼクシィの乙女心は憂鬱に沈む。
(ホヅミンのことも、勘違いなのかしら)
船長室の前で再びあの夜のことを思い出す。即座に蹲って身悶えした。
これはもう『勘違い』とかそういう次元じゃない。今までとは何もかもが違う。
(これやばいわ……ゼクシィ、どうしよう)
一頻り思い悩み、気を取り直して立ち上がると、船長室の扉をノックする。
「ビクトリア船長。ゼクシィ、入ります」
「ん? ……ああ、ジェジェか。入ってくれ」
ゼクシィは扉を開けて室内に入ると、船長のビクトリアが執務室で応接テーブルの前にいた。
スラリとした長身の美女だ。腰まである真っ赤な癖っ毛が方々に跳ね上がり獅子のように猛々しく燃える。ネコ科の猛獣を思わせる金色の瞳が印象的だ。
彼女の名前はビクトリア・アジュメイル。
ゼクシィの一つ年上の義姉に当たる人物である。
「ビクトリア船長。彼が意識を取り戻しましたので、問診の結果を報告に来ました」
「今はオレたちだけなんだから、いつも通りでいいぞ」
ビクトリアは「カカッ」と快活に笑うと、ゼクシィに椅子を勧める。
「リア姉。それもそうね」
ゼクシィはビクトリアの正面の席に座った。
「それにしても、いきなり誰かと思ったぞ」
「ついさっき『ゼクシィ』になったかしら。リア姉もこれからはそう呼んで欲しいわ」
「オレは嫌だね。昔のまま『ジェジェ』でいいだろう? 男が変わるたびに呼び名も変わるもんだから、面倒ったらない」
「ホヅミンに付けてもらった名前で呼んで欲しいかしら。なぜか燃えてくるのよ」
なぜかは分からないが、この名前はライフワークに活力を与えてくれる。
「なぁ、ジェジェよ。お前さん、大半のクルーから何て呼ばれてるか知ってるか? 『先生』だ。みんな面倒くさいんだよ」
「それはわかってるわよ。最近はクリスまでそう呼んでくるし。でも、今回は今までとは違うかしら。それに『ジェジェ』って恥ずかしいのよ」
幼い頃にビクトリアが付けた呼び名。
アジュメイル家に引き取られて初めて出会ったとき、舌足らずに『じぇーく・じぇしあ』と名乗ったら『なら、ジェジェだな』と変な名前を付けられてしまった。
ちなみに甲板長のジョジョも、幼い頃のビクトリアの命名だったりする。
「そうか? 我ながらいい呼び名だと思うがな。しかし、あの男はついさっき目覚めたと言ってなかったか?」
「そう言ったわよ」
「拾われて寝ていただけの男に初対面で? これまでは散々吟味して選んでたし、オレも選択は悪くないと思ってたから何も言わなかったが」
「ホヅミンは特別。彼と比べたら今までの男なんて、ジャガイモみたいなものかしら」
「そこまで言うか。あいつの何がそんなに気に入ったんだ?」
「ホヅミンは凄いの!」
ゼクシィは一昨晩の介抱で気付いたアレコレを熱に浮かされたように語ってくる。
相槌を打ちながら興味深げに話を聞き終えたビクトリアはニヤリと笑みを浮かべて満足そうに頷いた。
「大したものだな。なかなか面白い男のようだ」
「リア姉。取ったらダメよ」
「勿論、わかってる。オレには婚約者だっているんだ。かわいい義妹の恋路は応援するぞ。存分にやれ」
「うふふっ。ありがと」
「カカっ! ま、がんばれ」
船長のお墨付きを得てゼクシィは闘志を滾らせる。まだ何も進展はないが、穂積に操を捧げる覚悟だ。
驚くべきことにゼクシィは純潔を保ったままだった。そういう雰囲気になると一気に冷めてしまうのだ。
随分と悩んだものだったが、穂積に対しては一切心配していない。むしろ、我慢できるか怪しい。というか、意識の無い彼に、既にやらかしてしまっていた。
「さて、かなり脱線してしまったが、報告を聞こう」
「そうだったわね。本題も終わったことだし、問診結果を報告しようかしら」
(コッチがついでだったのか)
ビクトリアは苦笑いすると、ゼクシィの報告に耳を傾ける。
「彼の名前はニイタカ・ホヅミ。ホヅミンね。二八歳、男性」
「家名があるのか? 名家の出か?」
「ニイタカが家名らしいわ。聞いたことのない響きだけど」
「ふむ。ゼクシィと同い年だな」
逃すなよという意味を込めて、『ゼクシィ』と呼んでやる。ゼクシィは満足そうに頷いて続ける。
「うふっ。職業は船員だって。救命艇で作業してたら何かに引っ張られて落ちたらしいわ」
「救命艇? 高速艇や艦載強襲艇のようなものか。引っ張られたって何に?」
「救命艇というのは落水者を救助したり、本船を捨てて逃げるときに使う小型艇のことらしいわ。何に引っ張られたかは分からないけど、人為的なものじゃなかったらしいかしら」
「船を捨てて逃げるだと!?」
ビクトリアは転落した経緯より、『船を捨てる』という部分に食いついた。骨のある男かと思ったが、軟弱者なのかと目尻を吊り上げている。
「ゼクシィも気になって聞いてみたんだけどね。ちょっとおかしいのよ」
「そりゃ、おかしい。船を捨てるなんてありえんぞ!」
「そうじゃなくて、ホヅミンはね。ゼクシィが救命艇を知らなかったことに驚いていたの。この船にも無いはずがないって。 SOLAS条約で決まってるって」
「そーら……何?」
「SOLAS条約。『海上における人命の安全のための国際条約』の略称らしいけど……リア姉も知らないわよね?」
わけの分からないことを報告する義妹に憮然として答える。
「聞いたこともない。だいたい国際条約って何だ?」
「『国家間、または国家と国際機関との間で結ばれた文書による合意』のことですって……リア姉も知らないわよね?」
「知らん」
如何にもな説明をされても、知らないものは知らない。
「有名なタイタニック号の海難事故を契機にできた条約らしいんだけど……リア姉知ってる? タイタニック号?」
「知らん! なんなんだ、あの男。訳のわからんことを……」
ビクトリアがイライラしてきている。
ゼクシィはこの義姉の豪放磊落な気風と、情を直くして径ちに行うな行動理念をよく知っている。
よく分からないホヅミの言を伝えるのも、『ホヅミンとの交際を反対されたらどうしよう』と気が気でない。
思い切って続ける。
「リア姉。それだけじゃないの。他にもいろいろよく分からないかしら」
「……」
「どこの出身か聞いたら、『ニホン』っていう国の生まれだって言うのよ。しかも、ここはニホン近海のはずだって」
「…………」
「ゼクシィもクリスもニホン語をしゃべってるって言うのよ」
「………………」
さらに、エイヤァと続ける。
「リア姉。それだけでも無いの」
「まだあるのか……」
「魔法適性がわからないかしら」
「は?」
「それどころか魔法自体を知らないかしら」
「……は?」
ビクトリアはイライラを通り越してポカーンとしている。惚けること暫し、居住まいを正して言う。
「なぁ、ジェジェよ。やめておいた方がいいんじゃないか? 火中の栗を拾うことはあるまい?」
「いやぁ~!」
ゼクシィはイヤイヤと両手で顔を覆い首を振ってまくし立てる。
「い、今はきっと混乱しているだけよ! もしかしたら一時的に記憶障害が出たのかもしれないわ!」
「……」
「た、たとえホヅミンがどんな事情を抱えていようと、ゼクシィにはもうホヅミン以外考えられないかしら! 医者として、女として、生涯支えて、添い遂げる覚悟かしら!」
「…………」
「まま、魔法だって、きっと何とかなるわよ! 忘れているだけよ! 次の港で鑑定すれば適性だって把握できるし! 一度、使えばすぐ思い出すわ!」
ゼクシィは必死になって穂積を守ろうとしている。何がなんでもビクトリアに認めてもらい船に置いて欲しいのだろう。
「ももも、もしダメだって言うんなら、ゼ、ゼクシィはビクトリア号を降りてでも、ホヅミンと一緒になるんだからぁ~!」
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そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
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