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1話 だってアクテゥールダカラ
1-2 愛などはイラない
しおりを挟む〈ガチャ〉
ドアを開ける。その音に気づいたのか、二階からこちらに来る足音がする。近くにきていることがわかると、家に足を踏み込む。
「母サン。帰ってキタよ。」
アクセリアはその愛もない言葉を言う。だが、他人には凄く愛のこもった言葉に聞こえているのだ。これはアクセリアの「妖艶(ようえん)」自分の言葉に感情をもたせることができる。正直アクセリアは生まれてこの方、人を愛したことがない。そんな感情など魔王には縁もなかったものだからだ。それに、人間不信に陥っていたアクセリアが愛など持つだろうか?
愛など、戦闘には不必要である。それで心が揺らいでしまったら、相手に遅れを取ってしまう。というより、「愛」という感情がよくわからないのだ。けつこんやかれしぃやかのじよなど馬鹿がやることとしか思えない。
だが、繁殖は別だ。自分の種族を増やす為の大事な事だと思う。だが、アクセリアはそんな事はしたくなかった。自分と同じ存在は一人でいいと思ったし、そもそもアクセリアが子育てなどやれる訳がない。
そんなことを考えていると前からなきながら歩く、エルフの年老いた女性が現れた。
「ア、アクセリア……」
「久しぶりダネ。母サン。」
「おかえりなざい……!アクセリア…!」
泣きじゃくりながら、アクセリアより身長が小さくなり年老いたエルフの母ーー。アクア・ミゼはアクセリアに抱きついた。そんな母を慰めるように背中を優しく叩く。もう母は年老いて200は超えたであろう。エルフはもともと寿命が短いが、ミゼは病気がちで寝込むのが多かったのだ。そのせいかエルフの寿命ーー350歳ではなく200歳ぐらいが寿命だろうと言われていた。アクセリアの歳は124歳。
ミゼは子供を産むと君は負担に耐えれなくて、亡き人となってしまうと医者に言われたらしい。それでもアクセリアを76歳で出産。体が弱いミゼが子供を産んでここまで生きられたのは奇跡に近いと言われた。そんな母に感情を抱いたことはなどないが。ここまで生きられたのは凄いとも思わない。何故なら、自分がその時のみだが、体力後続魔法をかけてやったからである。その後にこうして生きられているのは知らない。生命力が高かったかなんかだろう。
「貴方をこの手で抱けるのが最後に出来てよかった………!」
ほがらかな笑顔でこちらをミゼは見つめる。その笑顔は心からアクセリアを死ぬ前に抱けたことを喜んでいることを示していた。そんな母をアクセリアは無様だなと思った。自分は何も思っていないのに、ミゼは俺を愛している。それは馬鹿だ。ミゼが父を愛したのも馬鹿だと思う。アクセリアの父で風使い、ウォアル聖騎士団二番隊隊長ーーアクア・マイル。
転送装置でカウォルTheリンクという違う異世界からやってきたマイルは、その実力を認められウォアル聖騎士団二番隊隊長として聖天使に雇われた。そして、その時にミゼと恋に落ちたーー。
◇ ◇ ◇
〈カキーン!カキーン!!〉
稽古場に剣と剣で手合わせをしている音が響く。その音は次第に小さくなってゆき、最後は、剣が落ちる音が響いた。二人は汗をかいて稽古を一旦終わらせる。その汗はどれほど稽古をしていたかわかるものだった。二人はペットボトルに入った水を飲む。その透き通った水はマイル達の喉を潤す。まるで砂漠でオアシスを見つけ、水を飲んだ時みたいに幸せ感がくる。
「アザン。そろそろ狩りに行くか?」
「あぁ。行こう。」
マイルは自分のロッカーから大きい太刀を、アザンは自分のロッカーから2つの短剣を取り出した。そして稽古表に「アクア・マイル、バナー・アザン=狩り」と隣にあったアカザミの羽根ペンで書く。その文字は達筆で綺麗に書かれている。聖騎士団本拠地の門を開けて、数分あるくと目の前には看板があり、その看板には『ココ 東大草原 その先 東水洞窟』と書かれていた。
東大草原には、格好の獲物がいた。それはクドリュフ。クドリュフとは大きなトカゲ型生物で【体長】【約20m】で【H P】【約58200】の上級モンスターである。焼くと外側がジュワッとやけ、中がすごく柔らかい肉になる。高級ディナー料理にもよく使われていて、すごく旨い一級品料理だ。個体によって旨さや体長、H Pが異なる。それをはかるのがこの「エカリティー」だ。エカリティーをつけてそのモンスターを見ると、体長にH P、魔力量がわかる代物でモンスターを狩るための必需品である。
「ガルルルルッ!!!」
クドリュフが威嚇をしてくる。マイルとアザンは剣を抜き、エカリティーでこのクドリュフを分析した。
〈ピピピピピ〉
【モンスター情報】
名前 クドリュフ
体長 22.5m
H P 61000
魔力 5700
「中々骨がありそうだな。アザンいくぞ!」
「おうっ!」
「グラァァァァ!!!」
マイルが前から突進する。そして二弾ジャンプ。その跳躍力でクドリュフの頭より上にまわる。そして太刀を頭から一刀両断させる構え。クドリュフは即座に上をむき、ブレスをはく。マイルは空中横回りをしてブレスを避け、膝蹴りを試みる。クドリュフはそれを睨み、爪で引っ掻きにくるが、それを待っていたかのように後ろからアザンが短剣で構えを取り、「聖龍術技 創刀賢斬(せいりゅうぎじゅつ そうとうけんざん)」と魔法を纏わせた短剣の技を出す!
クドリュフは後ろを向こうとするが、前からのマイルの攻撃により向くことができない。これは稽古でも練習してきた技だ。二人の息があっていないとできない技で聖騎士団の中では、3ペアしか出来ない。その1ペアがマイル&アザンペアだ。
〈ザグッ!!!〉
「グガァァァァァ‥‥‥‥。」
クドリュフはドサッと倒れ、そのまま息絶えた。二人はハイタッチをすると、クドリュフの皮を剥がし始めた。クドリュフの肉の中で一番旨いのは腹の肉だ。だが、少し固みがあり臭みもある尻尾の肉も捨てがたい。そう考えながら二人はいつも持っているサバイバルナイフを取り出し、慣れた手つきで解体を始めた。
まず、腹を裂く。そして骨を退かし肉を取り出す。肉用専用ケースに肉を入れる。次は尻尾の肉だ。骨が少々硬いのでハンマーで叩く。割れた骨は退かして尻尾の肉を取る。ケースに入れてナイフとハンマーを直す。そしてマイルとアザンは聖騎士団本拠地へ帰る。
「今日は上々だな!」
「そうだな。マイル。今日はクドリュフの厚肉焼きだな。」
「おう!」
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