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第五節 えっ?アタシ王都のコトは構えないわよ?
第39話 暴食と封印と異変と溜め息 中編その弐
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狼は高揚していた。まともに闘えそうな相手が来たからだ。
その為に鋭利な爪を立てた。メインディッシュは後回しにする事にして、先ずは目障りな男から斬り裂く事に決めた。
ザシュッ
空気を切り裂く音が響いていく。狼は自身の鋭利な爪で、先ずは目障りな男を3枚におろしたと思っていた。
だから身体をゆっくりとメインディッシュの方へと向けていく。
「どこを狙っている?」
グルォ?!
狼は3枚におろしたと思っていた相手から言の葉を掛けられ、そこで漸く自身の鋭爪が敵に届かなかった事を知った。
狼は怪訝な様子をその表情に浮かべていたが、気怠そうな様子で再び男の方へと体勢を向き直すと敵を見据えていった。
狼は再び爪撃を繰り出していく。だが、その鋭爪は相手には届いていない。
しかし狼の視界に於いては確かに鋭爪は届いているのだ。対峙している男を切り裂いている様に見えているのだ。
しかし今回も同様の初撃と同じ感触に拠って狼は、自分の鋭爪が届いていない事を確信していた。だから技量が分からない相手に対して侮ることなく、立て続けに自身の周囲へと向けて爪撃の乱舞を放っていった。
「これだけの爪撃を放てば、目障りな男も細切れになった事だろう…」と、再び慢心を抱えていく。
そのように一方的にそう考えた結果、「これでやっと」とメインディッシュに向かって身体を再び向き直していった。
「我の相手はそれ程までに詰まらないか?」
グルォ!?
グルルルルぅ
「じゃ、今度は我から行くぜッ!」
「破竜の型!」
その声と共に男から放たれた斬撃は全部で6つ。そして狼は不可避の斬撃全てをその身に叩き込まれたのだった。
「大丈夫か?ケガはしていないか?」
「ありがとうございます、ベルンさま」
女の子は礼を言うと近くの家の中へと入っていった。
その様子をベルンは笑顔で見送っていた。
「全く、この狼は何なんだ?あの地揺れと共に現れて来て、好き放題暴れやがって」
「あっちゃこっちゃで手当り次第に襲ってっから面倒臭ぇったらありゃしねぇ!」
ベルンは憎々しげに7枚におろした狼に視線を投げると、主であるリヴィエからの命令を思い返していた。
「ベルン、城内から王城周辺の警護にあたれ!」
ベルンはその命令に拠って意味も分からないまま王城周辺の警護に当たっていた。
その時に地揺れに見舞われたのだ。
ベルンは地揺れの衝撃に最初こそ驚いたが、「地面の上に立っているよりは不測の事態に対応出来る」と考えた結果、自身の形態を変えていった。
要は背中に翼を生えさせ、その翼で羽ばたき空へと舞い上がっていったのだ。
ベルンが上空から王都ラシュエの様子を窺っていると、王都の至る所に大きな狼が現れるのが見えた。
ベルンは先ず近くに現れていた狼に対して気付かれない様に上空より強襲した。それを一撃の元に斬り捨てると再び空へと舞い上がり、次なる獲物を探していくのだった。
そして、さっきの女の子を助けるコトに繋がった。
一方でベルンはリヴィエが何故王城の周辺の警護をしろと言ったのか分かった気がした。
「これで2匹か。さっき上から見た感じだと、ざっと30匹位はいた様に思えたな。狼が出た来ていた場所は王都中に点々としていた様子だったから、このまま地面を行くよりは空から探した方が早いかもしれん」
どおぉぉぉぉん
「あっちで誰かが闘ってんのか?しゃあねぇ、援護に向かうか」
ベルンは翼を羽ばたかせ空へと舞い上がると爆発音のした方に向かっていった。
王城の兵士達はまだ経過時間的に臨場していないのが明白であり、あの狼と闘っている相手が民間人だと考えたからだ。だから「民間人であれば救助しなければならない」と、そんな使命がベルンを突き動かしていた。
「ハロルドから離れなさい、獣!」
グルルッ
ハロルドに注意が向いていた狼に向かってルミネは爆裂炎弾を放っていた。
しかし狼は自身に迫り来る魔術を見て、先程同様に掻き消そうとした。そこでルミネは掻き消される前に魔術を起爆させ意図的に大爆発を巻き起こしたのだ。
狼は魔術を無効化しようとした直前に、目の前で爆発を起こされた挙句、その熱風を浴びせられたコトに腹を立てていた。更にはダメージこそほぼ負っていなかったが幾度となく魔術を放ってくるその煩わしさに、ルミネを敵と認識し低い唸り声を上げていた。
ルミネはそんな狼の事はお構いなしな様子で爆発の煙に紛れて転移用の扉を開くと、狼の眼前で呆けていたハロルドを先に回収していった。
「ハロルド!何をなさっているの?あの獣の前でやる気を失くすなんて正気ですの?そんなにだらしが無い男だったなんて見損ないましたわ!!」
「ルミネ…様」
ルミネは軽蔑した眼差しでハロルドに対して冷たく言の葉を一方的に投げ付ける。そして転移先に急遽設定した建物の屋上へとハロルドを置き去りにし、ルミネは空から狼に対して強襲する作戦をとった。
狼は爆発の煙が風に流された後で獲物2人(特にルミネ)を探していたのだが、いつの間にかいなくなっていた事に戸惑った様子で辺りをキョロキョロと見回していた。
「遅延術式、霹靂爆豪。遅延術式、攻投焔槍・18柱」
「さてと、準備はこれくらいで良いですわね。行きますわよ、獣ッ!爆豪闇弾!」
ルミネは上空で仕込みを終えると狼を強襲するべく闇の星々を降らせていった。
狼はその気配を素早く察知すると、空を見上げたまま唸り声を上げ、短く連続した咆哮を放っていく。
狼の咆哮に拠って闇の星々は次々に霧散した。そして、そのタイミングでルミネは扉を潜ると狼の背後に転移したのだ。
「術式展開、攻投焔槍!」
グルァ?!
転移魔術に拠って狼の背後に回ったルミネは遅延術式を解放した。
それに従い上空より18本の焔槍が降り注いだのだ。
狼は突如として湧いた焔槍に面食らった様子だった。然しながら軽い身のこなしで焔槍を次々に避けていくと、ルミネに向かって速攻を仕掛けていく。
狼の鋭爪がルミネを切り裂かんと放たれていったが、ルミネはその鋭爪が触れる直前に再び転移し狼の背後へと回り込んでいた。
「終わりですわ!術式展開!」
どごおぉぉぉぉぉぉぉぉぉん
狼は鋭爪を躱したルミネが立っていた位置に設置されていた霹靂爆豪の大爆発の直撃をその身に受け粉々にされながら吹き飛んでいった。
「ルミネッ、後ろおおおおぉぉぉぉぉお!」
「えっ!?」
突如として響いた雄叫びを受け取ったルミネは振り返っていく。
ルミネが振り返った先、そこには先程までとは違う別の狼がいて、その狼は既にルミネに対し爪撃のモーションに移っていた。
ルミネの時間は走馬灯の様にゆっくりと流れていったと言える。
その為に鋭利な爪を立てた。メインディッシュは後回しにする事にして、先ずは目障りな男から斬り裂く事に決めた。
ザシュッ
空気を切り裂く音が響いていく。狼は自身の鋭利な爪で、先ずは目障りな男を3枚におろしたと思っていた。
だから身体をゆっくりとメインディッシュの方へと向けていく。
「どこを狙っている?」
グルォ?!
狼は3枚におろしたと思っていた相手から言の葉を掛けられ、そこで漸く自身の鋭爪が敵に届かなかった事を知った。
狼は怪訝な様子をその表情に浮かべていたが、気怠そうな様子で再び男の方へと体勢を向き直すと敵を見据えていった。
狼は再び爪撃を繰り出していく。だが、その鋭爪は相手には届いていない。
しかし狼の視界に於いては確かに鋭爪は届いているのだ。対峙している男を切り裂いている様に見えているのだ。
しかし今回も同様の初撃と同じ感触に拠って狼は、自分の鋭爪が届いていない事を確信していた。だから技量が分からない相手に対して侮ることなく、立て続けに自身の周囲へと向けて爪撃の乱舞を放っていった。
「これだけの爪撃を放てば、目障りな男も細切れになった事だろう…」と、再び慢心を抱えていく。
そのように一方的にそう考えた結果、「これでやっと」とメインディッシュに向かって身体を再び向き直していった。
「我の相手はそれ程までに詰まらないか?」
グルォ!?
グルルルルぅ
「じゃ、今度は我から行くぜッ!」
「破竜の型!」
その声と共に男から放たれた斬撃は全部で6つ。そして狼は不可避の斬撃全てをその身に叩き込まれたのだった。
「大丈夫か?ケガはしていないか?」
「ありがとうございます、ベルンさま」
女の子は礼を言うと近くの家の中へと入っていった。
その様子をベルンは笑顔で見送っていた。
「全く、この狼は何なんだ?あの地揺れと共に現れて来て、好き放題暴れやがって」
「あっちゃこっちゃで手当り次第に襲ってっから面倒臭ぇったらありゃしねぇ!」
ベルンは憎々しげに7枚におろした狼に視線を投げると、主であるリヴィエからの命令を思い返していた。
「ベルン、城内から王城周辺の警護にあたれ!」
ベルンはその命令に拠って意味も分からないまま王城周辺の警護に当たっていた。
その時に地揺れに見舞われたのだ。
ベルンは地揺れの衝撃に最初こそ驚いたが、「地面の上に立っているよりは不測の事態に対応出来る」と考えた結果、自身の形態を変えていった。
要は背中に翼を生えさせ、その翼で羽ばたき空へと舞い上がっていったのだ。
ベルンが上空から王都ラシュエの様子を窺っていると、王都の至る所に大きな狼が現れるのが見えた。
ベルンは先ず近くに現れていた狼に対して気付かれない様に上空より強襲した。それを一撃の元に斬り捨てると再び空へと舞い上がり、次なる獲物を探していくのだった。
そして、さっきの女の子を助けるコトに繋がった。
一方でベルンはリヴィエが何故王城の周辺の警護をしろと言ったのか分かった気がした。
「これで2匹か。さっき上から見た感じだと、ざっと30匹位はいた様に思えたな。狼が出た来ていた場所は王都中に点々としていた様子だったから、このまま地面を行くよりは空から探した方が早いかもしれん」
どおぉぉぉぉん
「あっちで誰かが闘ってんのか?しゃあねぇ、援護に向かうか」
ベルンは翼を羽ばたかせ空へと舞い上がると爆発音のした方に向かっていった。
王城の兵士達はまだ経過時間的に臨場していないのが明白であり、あの狼と闘っている相手が民間人だと考えたからだ。だから「民間人であれば救助しなければならない」と、そんな使命がベルンを突き動かしていた。
「ハロルドから離れなさい、獣!」
グルルッ
ハロルドに注意が向いていた狼に向かってルミネは爆裂炎弾を放っていた。
しかし狼は自身に迫り来る魔術を見て、先程同様に掻き消そうとした。そこでルミネは掻き消される前に魔術を起爆させ意図的に大爆発を巻き起こしたのだ。
狼は魔術を無効化しようとした直前に、目の前で爆発を起こされた挙句、その熱風を浴びせられたコトに腹を立てていた。更にはダメージこそほぼ負っていなかったが幾度となく魔術を放ってくるその煩わしさに、ルミネを敵と認識し低い唸り声を上げていた。
ルミネはそんな狼の事はお構いなしな様子で爆発の煙に紛れて転移用の扉を開くと、狼の眼前で呆けていたハロルドを先に回収していった。
「ハロルド!何をなさっているの?あの獣の前でやる気を失くすなんて正気ですの?そんなにだらしが無い男だったなんて見損ないましたわ!!」
「ルミネ…様」
ルミネは軽蔑した眼差しでハロルドに対して冷たく言の葉を一方的に投げ付ける。そして転移先に急遽設定した建物の屋上へとハロルドを置き去りにし、ルミネは空から狼に対して強襲する作戦をとった。
狼は爆発の煙が風に流された後で獲物2人(特にルミネ)を探していたのだが、いつの間にかいなくなっていた事に戸惑った様子で辺りをキョロキョロと見回していた。
「遅延術式、霹靂爆豪。遅延術式、攻投焔槍・18柱」
「さてと、準備はこれくらいで良いですわね。行きますわよ、獣ッ!爆豪闇弾!」
ルミネは上空で仕込みを終えると狼を強襲するべく闇の星々を降らせていった。
狼はその気配を素早く察知すると、空を見上げたまま唸り声を上げ、短く連続した咆哮を放っていく。
狼の咆哮に拠って闇の星々は次々に霧散した。そして、そのタイミングでルミネは扉を潜ると狼の背後に転移したのだ。
「術式展開、攻投焔槍!」
グルァ?!
転移魔術に拠って狼の背後に回ったルミネは遅延術式を解放した。
それに従い上空より18本の焔槍が降り注いだのだ。
狼は突如として湧いた焔槍に面食らった様子だった。然しながら軽い身のこなしで焔槍を次々に避けていくと、ルミネに向かって速攻を仕掛けていく。
狼の鋭爪がルミネを切り裂かんと放たれていったが、ルミネはその鋭爪が触れる直前に再び転移し狼の背後へと回り込んでいた。
「終わりですわ!術式展開!」
どごおぉぉぉぉぉぉぉぉぉん
狼は鋭爪を躱したルミネが立っていた位置に設置されていた霹靂爆豪の大爆発の直撃をその身に受け粉々にされながら吹き飛んでいった。
「ルミネッ、後ろおおおおぉぉぉぉぉお!」
「えっ!?」
突如として響いた雄叫びを受け取ったルミネは振り返っていく。
ルミネが振り返った先、そこには先程までとは違う別の狼がいて、その狼は既にルミネに対し爪撃のモーションに移っていた。
ルミネの時間は走馬灯の様にゆっくりと流れていったと言える。
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