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第三節 The Surface Take
第94話 Rudest Attacker Ⅰ
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「デバイスオン、使い魔・ガルム」
クリスが生きる事を諦めた瞬間に声が響いていた。それは少女から放たれた1匹のガルムを呼び出した声であり、呼び出されたガルムは大口を開けた小竜種に速攻を仕掛けたのだ。
その速攻は小竜種の腹部右側への体当たりという形で成功し、小竜種の体勢を大幅に変えさせる事に成功していた。
ガチンッ
「我が手に集え、光の力よ。我が敵を射る礫となりて、駆けろ!光閃礫弾」
ギャギャッギャース
『クリス、大丈夫?』
少女が放ったガルムの体当たりを受けた事によって小竜種の噛み砕きは、クリスの直上の虚空を噛み砕いただけで終わっていた。
更には少女が放った魔術は無数の光の散弾となって小竜種を貫いたのだ。
ギリギリのところで生命を救われたクリスが、頬を濡らしながら顔を上げると少女がそこにいた。その少女は身体中のあちらこちらから血が滴っている。
一見すれば「大丈夫?」と聞かれる側なのは少女の方だろう。
だがクリスは夜の帳の効果で、少女の様子を声からしか窺い知る術が無かったのだった。その結果クリスは少女に対して「大丈夫なのか?」と聞く事はなく、素直に「ありがとう」とだけ返していた。
『ちょ、クリス、生臭いわよ?それに、何か変な臭いもするし……』
『こ、これはあの魔獣の「よだれ」だ!顔に掛けられただけだッ!変な臭いなんて、此の身には、か、感じないぞッ。気のせいだ気のせい』
『そう?本当に大丈夫なの?でもあんまり時間がないの!』
『炎龍が出て来るわッ。LAMの準備を急いでお願いッ!』
クリスの頬を濡らしたのは死を覚悟したクリスの涙以外に、小竜種のよだれもあってそれが生臭い異臭を放っていた。まぁ、死を覚悟してしまったクリスは、多少お漏らししていたがそんなコトが言えるハズもないのは当然の事だ。
夜の帳効果でクリスの顔は少女から見えていないが、クリスは自分の顔をゴシゴシと擦っていた。クリスはそれに感謝しなければならないと言えるだろう。
少女は尻餅を付いているクリスに手を差し伸べ、起きあがったクリスはLAMの元へと走っていく。
その場に残されたもう1体の小竜種は、少女の気迫と突如として現れたガルムに拠って、残る仲間の元へと向かって逃げ出していた。
-・-・-・-・-・-・-
崩落が始まった炎龍の棲家から少女は逃げていた。腕や脚や背中など身体中のあちこちに激痛が奔っていたが、必死に逃げていた。
そこは崩落の影響下にある場所ではなかったが、立ち止まってなどいられなかったのだ。
一方で炎龍ディオルギアは翼を羽ばたかせるが上手く飛べなかった。少しばかり上昇出来てもスグにバランスを崩し、壁に身体を激しく激突させ棲家の崩壊を助長させながら落下していった。
そんな事を幾度か繰り返す内に、炎龍ディオルギアは少女が逃げていった横穴を見付けたのである。
炎龍ディオルギアは足元が完全に崩落する前に、その穴に潜り込んでいく事に辛うじて成功していた。自身のサイズと比べると多少小さい横穴の壁に、身体を擦り付け壁を無理矢理に抉じ開けて分け入っていったのだ。
要するに狭い洞窟を破壊しながら追い掛けていった事になる。
少女は足取りが重かった。もう走る事が出来ないくらい全身が痛かった。気を抜けばそのまま意識が飛んでしまうかもしれない。拠ってアドレナリン様々とはこの事だ。
だが痛みは引くどころか時間を追うごとに増していく。だから先に進みたい気持ちを抑えて1度立ち止まる事にしたのである。
「デバイスオープン、ローポーション」
周囲に敵影が無い事を確認した上で、少女は回復薬を摂取する事にしたのだ。
ローポーションは錬金術で生み出される回復薬の1種である。効果は専門職である回復術士が使う、回復魔術の中で最も効果の低い「極小回癒」と同程度の体力の回復、及び鎮痛効果だ。追加効果としては持続性が中程度の体力値上昇があるので、「極小回癒」よりはちょっとだけお得と言える。
ただし体力回復効果のある痛み止めなので、キズが塞がったりケガが治ったりする事はないが、少女からしてみたら充分過ぎる程に気休めになる。
そして少女は一時的とはいえ痛みが和らいだので、再び洞窟の出入り口まで急ごうとした矢先に後方から洞窟の破壊音が響いていったのである。
「飛び立てずにやっぱりこっちに来たわねッ!じゃあ、第2ラウンド開始といきますかッ!」
「我が右手に集え、荒れ狂う業火よ。我が左手に集え、静謐なる鋼よ。我が手に宿りし2つの力よ、我が言の葉に従い1つと成れ!1つの力よ別れて分かち、分かちて纏まり、敵を弾く礎と成れ。存在証明・霹靂爆豪×7!」
「我が手に集え、金色なる果実よ。敵を穿く一条の聖よ。合わさり混じりて一条の鏃を生み出さん。我が手に集うは豪炎の弓張り。我が手に集うは常闇の弩」
少女は後方に向けて霹靂爆豪を設置し、そして更に詠唱を紡いでいく。
炎龍ディオルギアは身体を擦り付けながら追い掛けて来ているので、必ず霹靂爆豪に触れるのは当然の事だ。拠って設置済みの1つ目の霹靂爆豪に触れたようでそれは大爆発を巻き起こしたのである。
そう、少女は霹靂爆豪をダメージを負わすだけでなく、呼び鈴として使った事になる。
まぁ、そんな呼び鈴なぞ死んでも使いたくは無いが。
狭い洞窟内に熱量をもった突風が吹き抜け、それは炎龍の雄叫びを上乗せして木霊していく。
少女は岩陰に身を潜めていたが少女の肌は、夏の強烈な陽射しに焼かれるようにジリジリと焼かれていった。
「弓よ、鏃を番えよ。鏃よ、弦を引き絞れ。弦よ、敵を穿く必滅の光と成れ!」
炎龍ディオルギアは洞窟の壁に身体を擦り付けながら進んでいる。それに拠って設置された霹靂爆豪は確実に、不発に終わる事がない。
だから爆発が起きる度に炎龍ディオルギアは傷を負っていった。霹靂爆豪に因ってその身を護る鱗は剥がれ落ちていく。肘の部分から飛び出ている角は折れ、翼は大きく破れ頭に生えている角も幾つか欠損していた。
それらは本来ならばいい素材になるが、残念ながら回収は無理なコトは百も承知であり、そもそもこの話し自体が余談だ。
炎龍ディオルギアは前に進む事しか出来ない。後戻りする事は絶対に出来ない。だからこそ洞窟の外に向けて進んでいくしか選択肢はない。
そこにいくら罠が仕掛けられていようとも。
こうして炎龍ディオルギアは自分が向かっている方向のその正面に、さっき自分に対して攻撃を仕掛けてきたヒト種を発見したのだった。
-・-・-・-・-・-・-
「いち」
「にさん」
「よんご」
「ろく」
「なな」
岩陰で身を潜めながら詠唱を無事に終える事が出来た少女は、番えた矢を引き絞ったまま姿を隠すのをやめた。更には炎龍ディオルギアが必ず通るであろうその道のど真ん中に、凛とした姿で仁王立ちしていた。
そして少女は矢を番え引き絞ったまま炎龍の姿が見えるのを待っていたのである。
7つ目の爆発音が聞こえ7度目の熱風が吹き抜けていく。少女は肺が焼かれないように呼吸を止めると、視界の先の一点を見詰めていった。
そして数秒の後、そこに炎龍が雄叫びと共に現れたのである。
炎龍ディオルギアは自身に恥辱を与え、傷を負わせたヒト種を焼きたくて焼きたくて仕方が無かった。だからこそ躊躇わず口角を上げた。そして躊躇せずに口を閉じ、深く息を吸っていった。
ボッ…ボッボボボッ
炎龍の口の中に超高温の炎が凝縮されていく。そして炎龍は今すぐにでも息吹を吐き出したかった。その為に前兆動作が煩わしくて煩わしくて仕方が無かった。
一刻も早く目の前のヒト種を炎で焼き尽くし蹂躙したかったのだ。
だがその一方で、急に業火で焼かれたウェルダンを食したくなってもいた。
「悪いけど、アンタのターンは待ってあげないからねッ!」
「ここで大人しくアタシに倒されなさいッ!!」
「魔槍展開・美女降臨!!」
それは準備が終わらない炎龍ディオルギアに対して、既に準備が終わっていた少女の概念魔術が放たれ炎龍目掛けて疾走っていった瞬間だった。
概念魔術「魔槍展開・美女降臨」は、規模が「対人級」で威力が「戦略級」の魔術だ。だが概念魔術ではあるが、オリジナルの神造兵器や星造兵器の中に同名の兵器は存在しない。
従ってこれは少女が考え出した想像上の神造兵器を、劣化コピーする形で創った概念魔術だ。
とは言っても原典がないワケではない。
概念魔術は飽くまでも神造兵器や星造兵器の「概念」を模するモノであり、その「概念」を模する為にはオリジナルに関する知識が問われる。
従って模する概念がなく、ただ殺傷能力に特化しているといった兵器としての「概念」のみを突き詰めるならば、オリジナルの知識は問われない。
だが少女はそこに原典の神造兵器や星造兵器のエッセンスとニュアンスを足す事で、更に威力の底上げに成功させていたのである。
こうして生まれた概念魔術が「魔槍展開・美女降臨」なのだ。
尚、こういった概念魔術を少女は、過去にいくつも生み出した上で試し撃ちをしまくっている。
その度にトレーニングルームの自称「主」は顔を真っ青にした後で、真っ赤にしているがこれは余談である。
だがそれは偏に少女が卓越した知識を持っていて、魔術に対して深い造詣があるから為せるワザとも言えるので、厨二的発想などと言っては絶対にいけない。
その際の生命の保障は出来兼ねる。
クリスが生きる事を諦めた瞬間に声が響いていた。それは少女から放たれた1匹のガルムを呼び出した声であり、呼び出されたガルムは大口を開けた小竜種に速攻を仕掛けたのだ。
その速攻は小竜種の腹部右側への体当たりという形で成功し、小竜種の体勢を大幅に変えさせる事に成功していた。
ガチンッ
「我が手に集え、光の力よ。我が敵を射る礫となりて、駆けろ!光閃礫弾」
ギャギャッギャース
『クリス、大丈夫?』
少女が放ったガルムの体当たりを受けた事によって小竜種の噛み砕きは、クリスの直上の虚空を噛み砕いただけで終わっていた。
更には少女が放った魔術は無数の光の散弾となって小竜種を貫いたのだ。
ギリギリのところで生命を救われたクリスが、頬を濡らしながら顔を上げると少女がそこにいた。その少女は身体中のあちらこちらから血が滴っている。
一見すれば「大丈夫?」と聞かれる側なのは少女の方だろう。
だがクリスは夜の帳の効果で、少女の様子を声からしか窺い知る術が無かったのだった。その結果クリスは少女に対して「大丈夫なのか?」と聞く事はなく、素直に「ありがとう」とだけ返していた。
『ちょ、クリス、生臭いわよ?それに、何か変な臭いもするし……』
『こ、これはあの魔獣の「よだれ」だ!顔に掛けられただけだッ!変な臭いなんて、此の身には、か、感じないぞッ。気のせいだ気のせい』
『そう?本当に大丈夫なの?でもあんまり時間がないの!』
『炎龍が出て来るわッ。LAMの準備を急いでお願いッ!』
クリスの頬を濡らしたのは死を覚悟したクリスの涙以外に、小竜種のよだれもあってそれが生臭い異臭を放っていた。まぁ、死を覚悟してしまったクリスは、多少お漏らししていたがそんなコトが言えるハズもないのは当然の事だ。
夜の帳効果でクリスの顔は少女から見えていないが、クリスは自分の顔をゴシゴシと擦っていた。クリスはそれに感謝しなければならないと言えるだろう。
少女は尻餅を付いているクリスに手を差し伸べ、起きあがったクリスはLAMの元へと走っていく。
その場に残されたもう1体の小竜種は、少女の気迫と突如として現れたガルムに拠って、残る仲間の元へと向かって逃げ出していた。
-・-・-・-・-・-・-
崩落が始まった炎龍の棲家から少女は逃げていた。腕や脚や背中など身体中のあちこちに激痛が奔っていたが、必死に逃げていた。
そこは崩落の影響下にある場所ではなかったが、立ち止まってなどいられなかったのだ。
一方で炎龍ディオルギアは翼を羽ばたかせるが上手く飛べなかった。少しばかり上昇出来てもスグにバランスを崩し、壁に身体を激しく激突させ棲家の崩壊を助長させながら落下していった。
そんな事を幾度か繰り返す内に、炎龍ディオルギアは少女が逃げていった横穴を見付けたのである。
炎龍ディオルギアは足元が完全に崩落する前に、その穴に潜り込んでいく事に辛うじて成功していた。自身のサイズと比べると多少小さい横穴の壁に、身体を擦り付け壁を無理矢理に抉じ開けて分け入っていったのだ。
要するに狭い洞窟を破壊しながら追い掛けていった事になる。
少女は足取りが重かった。もう走る事が出来ないくらい全身が痛かった。気を抜けばそのまま意識が飛んでしまうかもしれない。拠ってアドレナリン様々とはこの事だ。
だが痛みは引くどころか時間を追うごとに増していく。だから先に進みたい気持ちを抑えて1度立ち止まる事にしたのである。
「デバイスオープン、ローポーション」
周囲に敵影が無い事を確認した上で、少女は回復薬を摂取する事にしたのだ。
ローポーションは錬金術で生み出される回復薬の1種である。効果は専門職である回復術士が使う、回復魔術の中で最も効果の低い「極小回癒」と同程度の体力の回復、及び鎮痛効果だ。追加効果としては持続性が中程度の体力値上昇があるので、「極小回癒」よりはちょっとだけお得と言える。
ただし体力回復効果のある痛み止めなので、キズが塞がったりケガが治ったりする事はないが、少女からしてみたら充分過ぎる程に気休めになる。
そして少女は一時的とはいえ痛みが和らいだので、再び洞窟の出入り口まで急ごうとした矢先に後方から洞窟の破壊音が響いていったのである。
「飛び立てずにやっぱりこっちに来たわねッ!じゃあ、第2ラウンド開始といきますかッ!」
「我が右手に集え、荒れ狂う業火よ。我が左手に集え、静謐なる鋼よ。我が手に宿りし2つの力よ、我が言の葉に従い1つと成れ!1つの力よ別れて分かち、分かちて纏まり、敵を弾く礎と成れ。存在証明・霹靂爆豪×7!」
「我が手に集え、金色なる果実よ。敵を穿く一条の聖よ。合わさり混じりて一条の鏃を生み出さん。我が手に集うは豪炎の弓張り。我が手に集うは常闇の弩」
少女は後方に向けて霹靂爆豪を設置し、そして更に詠唱を紡いでいく。
炎龍ディオルギアは身体を擦り付けながら追い掛けて来ているので、必ず霹靂爆豪に触れるのは当然の事だ。拠って設置済みの1つ目の霹靂爆豪に触れたようでそれは大爆発を巻き起こしたのである。
そう、少女は霹靂爆豪をダメージを負わすだけでなく、呼び鈴として使った事になる。
まぁ、そんな呼び鈴なぞ死んでも使いたくは無いが。
狭い洞窟内に熱量をもった突風が吹き抜け、それは炎龍の雄叫びを上乗せして木霊していく。
少女は岩陰に身を潜めていたが少女の肌は、夏の強烈な陽射しに焼かれるようにジリジリと焼かれていった。
「弓よ、鏃を番えよ。鏃よ、弦を引き絞れ。弦よ、敵を穿く必滅の光と成れ!」
炎龍ディオルギアは洞窟の壁に身体を擦り付けながら進んでいる。それに拠って設置された霹靂爆豪は確実に、不発に終わる事がない。
だから爆発が起きる度に炎龍ディオルギアは傷を負っていった。霹靂爆豪に因ってその身を護る鱗は剥がれ落ちていく。肘の部分から飛び出ている角は折れ、翼は大きく破れ頭に生えている角も幾つか欠損していた。
それらは本来ならばいい素材になるが、残念ながら回収は無理なコトは百も承知であり、そもそもこの話し自体が余談だ。
炎龍ディオルギアは前に進む事しか出来ない。後戻りする事は絶対に出来ない。だからこそ洞窟の外に向けて進んでいくしか選択肢はない。
そこにいくら罠が仕掛けられていようとも。
こうして炎龍ディオルギアは自分が向かっている方向のその正面に、さっき自分に対して攻撃を仕掛けてきたヒト種を発見したのだった。
-・-・-・-・-・-・-
「いち」
「にさん」
「よんご」
「ろく」
「なな」
岩陰で身を潜めながら詠唱を無事に終える事が出来た少女は、番えた矢を引き絞ったまま姿を隠すのをやめた。更には炎龍ディオルギアが必ず通るであろうその道のど真ん中に、凛とした姿で仁王立ちしていた。
そして少女は矢を番え引き絞ったまま炎龍の姿が見えるのを待っていたのである。
7つ目の爆発音が聞こえ7度目の熱風が吹き抜けていく。少女は肺が焼かれないように呼吸を止めると、視界の先の一点を見詰めていった。
そして数秒の後、そこに炎龍が雄叫びと共に現れたのである。
炎龍ディオルギアは自身に恥辱を与え、傷を負わせたヒト種を焼きたくて焼きたくて仕方が無かった。だからこそ躊躇わず口角を上げた。そして躊躇せずに口を閉じ、深く息を吸っていった。
ボッ…ボッボボボッ
炎龍の口の中に超高温の炎が凝縮されていく。そして炎龍は今すぐにでも息吹を吐き出したかった。その為に前兆動作が煩わしくて煩わしくて仕方が無かった。
一刻も早く目の前のヒト種を炎で焼き尽くし蹂躙したかったのだ。
だがその一方で、急に業火で焼かれたウェルダンを食したくなってもいた。
「悪いけど、アンタのターンは待ってあげないからねッ!」
「ここで大人しくアタシに倒されなさいッ!!」
「魔槍展開・美女降臨!!」
それは準備が終わらない炎龍ディオルギアに対して、既に準備が終わっていた少女の概念魔術が放たれ炎龍目掛けて疾走っていった瞬間だった。
概念魔術「魔槍展開・美女降臨」は、規模が「対人級」で威力が「戦略級」の魔術だ。だが概念魔術ではあるが、オリジナルの神造兵器や星造兵器の中に同名の兵器は存在しない。
従ってこれは少女が考え出した想像上の神造兵器を、劣化コピーする形で創った概念魔術だ。
とは言っても原典がないワケではない。
概念魔術は飽くまでも神造兵器や星造兵器の「概念」を模するモノであり、その「概念」を模する為にはオリジナルに関する知識が問われる。
従って模する概念がなく、ただ殺傷能力に特化しているといった兵器としての「概念」のみを突き詰めるならば、オリジナルの知識は問われない。
だが少女はそこに原典の神造兵器や星造兵器のエッセンスとニュアンスを足す事で、更に威力の底上げに成功させていたのである。
こうして生まれた概念魔術が「魔槍展開・美女降臨」なのだ。
尚、こういった概念魔術を少女は、過去にいくつも生み出した上で試し撃ちをしまくっている。
その度にトレーニングルームの自称「主」は顔を真っ青にした後で、真っ赤にしているがこれは余談である。
だがそれは偏に少女が卓越した知識を持っていて、魔術に対して深い造詣があるから為せるワザとも言えるので、厨二的発想などと言っては絶対にいけない。
その際の生命の保障は出来兼ねる。
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