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第五節 The Towards Shining Take
第161話 Decisive Endanger Ⅱ
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少女はこの日の為に、「惑星の御子」の力について、独学で色々と試していた。
そして、幾つか分かった事がある。
・詠唱無しで魔術を使える事
・短詠唱で概念魔術が使える事
・極大魔術は完全詠唱が必要な事
・御子の力を解放していられる時間は最大で5時間が限界である事
・御子の力は出力調整をすれば更に時間を延長出来る事
・御子の力は出力調整次第だが全ての能力値に大幅な強化が得られる事
・御子の力を解放している時は自身に物理作用が効かない事
・御子の力を解放している時は自身の全ての物理攻撃が虚理攻撃に変わる事
まだ他にもあるが大体はこんな感じだった。
まぁ、これらの結果が分かった代償として、太平洋上に浮かぶ無人島が幾つも粉々になったというのは、言うまでも無い事実である。
「先ずは小手調べから行くわ……よッ!」
「流星闇弾!」
「霹靂爆豪!」
「現刃破断!」
しゅん / どがぁぁぁぁぁん / ざしゅんッ
「そっか。それが結果かぁ。でも、それだと相性がかなり悪いわね。はぁ……。だってアタシ今、物理攻撃出来ないんだからねッ!もうちょっとは、空気読みなさいよッ!!」
「でえぇぇぇぇやぁぁぁぁぁぁッ!」
ぎいぃぃぃぃぃぃぃぃぃん
少女は調査する事が出来なかった「ソレ」に対して、どんな攻撃が効くのか調べる為だけに魔術を放っていった。
流星闇弾は闇属性の純粋な、虚理による攻撃。
霹靂爆豪は爆発を巻き起こし熱や圧力といった、現象による攻撃。
現刃破断は実際に刃を具現化させて斬り付ける、物理による攻撃。
流星闇弾は「ソレ」に当たる前に、壁のようなモノに当たり掻き消された。
霹靂爆豪も「ソレ」に当たる前に爆発し、爆風は「ソレ」に届いたものの何の反応も無かった。
現刃破断は「ソレ」の何だか良く分からない、髭っポイ何かを切断していった。
そして更には力を宿した愛剣で斬り掛かったが、それは流星闇弾や霹靂爆豪同様に、見えない壁に阻まれ盛大な不協和音を奏でていた。
「くぉぉぉおのぉぉぉおおぉおおぉ!」
「ぐぅぅぅぅおおぉぉぉぉぉぉりゃあぁぁぁぁあぁぁぁあッ!」
がきいぃぃぃぃぃん
ざしゅんッ
「かなり無理矢理だったけど、手応えあったッ!!」
少女の剣は確かに「ソレ」に届いていた。魔術を阻んだ障壁は甲高い音と共に砕け、「ソレ」は身を守る盾を失った。
少女の斬撃はそのまま「ソレ」に到達し、唐竹を割るように弧を描いていったのである。
「えっ?!そんな……なんてことッ!」
確かに手応えはあった。少女の大剣を握る両手は、斬撃の衝撃を感じ取っていた。拠って大上段からの一撃が決まったのであれば、通常は致命傷となる一撃に変わりは無いだろう。
しかし「ソレ」は目が嗤ったまま、上半身が左右に泣き別れただけだった。拠って泣き別れながらも再びべったりとくっつくと、何事も無かったかのように復元されていく。
「ヤバッ!」
ひゅんッ
がっきぃぃぃぃぃぃぃぃん
「ぐっ!?なに今のッ?魔術の挙動はなかったわよね?そこら辺に浮かんでるデブリを投げただけっていうの?」
少女は本能で危険を察知し咄嗟に愛剣でガードをしていた。一方で何故だかアラームは鳴らなかった。
しかし「ソレ」から放たれたモノの威力は凄まじく、ガードをしたにも拘わらずそのまま吹き飛ばされてしまったのである。
ガードしたおかげでダメージは大したことはない。だが、身体が痺れるような感じはしていた。
今の少女には物理作用が効かないハズなのに、単純な物理攻撃ですらアストラル体にまで影響を及ぼす程に強力となると、骨が折れるのは間違いなかった。
まぁ、身体がマテリアル体であれば、先程のガードであっても骨の2、3本は折れていたかもしれない。
あ……意味が違うが気にしてはいけない。
「コイツ、本当に一体何なワケ?まったくもって勝てる気がしないし糸口も見付からないんだけど、どうしよ?ホントにホント、まったくヤんなっちゃうわね」
「でもま、前向きに考えるとして、さっきは確かに手応えはあったのよねぇ。しっかし斬った瞬間に元通りとか、ホントにどんな身体の構造してんのかしら?でも粉々にしたら元通りにはなれないかしらね?試してみる価値はありそうよ……ね」
「でもでも、そもそもの話し、コイツはホントに生物なの?殺しても死なないなんて、チートが過ぎるわッ!」
少女は頭の中で現状から分かっているコトを、でもでも考えながら纏めていき、倒し方を推察していった。まぁ、色々と試してみたいが、時間もあまり無いので焦ってはいる。
そして大事なコトは、一撃でももらえばそれは即死級の威力なので油断もしていられないのである。
「取り敢えず、じゃあ、決まりッ!単純に死ぬまで殺せばいいって方針でやってやるわッ!」
その頃、地上では異変が起き始めていた。地球圏を覆う「目」が怪しげな光を帯び始めたのだった。
「目」が一際怪しげな光を帯びた時、その「目」から熱線を帯びた光が大地に放たれていったのである。
その光は大地を縦横無尽に奔り、その傍若無人な光は、大地にある物全てを薙ぎ払っていく。
こうしてそこにあった物は例外無く、灼かれていくのだった。
突如として始まった生命の危険に対して人々は、恐怖し絶望していく。
逃げ惑うコトしか出来ず、でもどこに逃げたらいいか分からない状況に混乱し、いつ灼かれるか分からない死のカウントダウンは心を擦り減らしていく。
そうして、それらの負の感情は、「ソレ」に因って吸い上げられていく。
「ソレ」としてはそれが狙いであり、それは格好のエサであり、吸収し自分自身の養分していったのだった。
少女は「ソレ」に対して、剣撃と物理作用を持つ魔術を織り交ぜながら攻撃を重ねていく。破壊しても破壊しても障壁は復元され、斬っても斬っても「ソレ」の身体は元に戻っていった。
一方で「ソレ」は少しでも隙を見せるとデブリを投げてくる。だからそれは受けるコトをせずにひたすら躱し、投げられないように手数を増やしてこれでもかと言わんばかりに斬り刻んでいく。
それの繰り返しをかれこれずっとやっており、一向に終わりの見えない闘い……としか言えない状況だった。
「ソレ」は、少女からの攻撃を受けて刻まれれば刻まれる程に、大地を焼き払い養分を吸い上げていた。
それもじわじわとイヤラしく、存分に恐怖を味わえるように丁寧にだ。
灼く範囲を選定し、一度に灼かず逃げ惑う人々に対して掠めるように。
真綿で首を絞めるように一度で心を砕き切らず、徐々にすり減らすように。
逃げ惑う人々が自らの恐怖で、自らの首を絞めてしまわないように。
そこまでして丁寧に丁寧に、じわじわと負の感情を捕食していた。だから「ソレ」にとって時間は、いくらでもある。
自分の下には数十億ものエサがあり、自分の傷はエサが補ってくれているのだから。
拠って「ソレ」は、最高のエサを捕食する為だけに頑張って時間を掛けていた。
だが、ただ斬られるだけでは詰まらないから、そこら辺のゴミを投げたりもした。ちょっとは抵抗してみせる事でカムフラージュしたのである。要するに、最高のエサに気付かれては困るのは「ソレ」の方だからだ。
だがそうとは露知らず、そんな「ソレ」の思惑を知らず、ただがむしゃらにひたすらに攻撃を行ったのが少女の誤算だったと言えるだろう。
そして、幾つか分かった事がある。
・詠唱無しで魔術を使える事
・短詠唱で概念魔術が使える事
・極大魔術は完全詠唱が必要な事
・御子の力を解放していられる時間は最大で5時間が限界である事
・御子の力は出力調整をすれば更に時間を延長出来る事
・御子の力は出力調整次第だが全ての能力値に大幅な強化が得られる事
・御子の力を解放している時は自身に物理作用が効かない事
・御子の力を解放している時は自身の全ての物理攻撃が虚理攻撃に変わる事
まだ他にもあるが大体はこんな感じだった。
まぁ、これらの結果が分かった代償として、太平洋上に浮かぶ無人島が幾つも粉々になったというのは、言うまでも無い事実である。
「先ずは小手調べから行くわ……よッ!」
「流星闇弾!」
「霹靂爆豪!」
「現刃破断!」
しゅん / どがぁぁぁぁぁん / ざしゅんッ
「そっか。それが結果かぁ。でも、それだと相性がかなり悪いわね。はぁ……。だってアタシ今、物理攻撃出来ないんだからねッ!もうちょっとは、空気読みなさいよッ!!」
「でえぇぇぇぇやぁぁぁぁぁぁッ!」
ぎいぃぃぃぃぃぃぃぃぃん
少女は調査する事が出来なかった「ソレ」に対して、どんな攻撃が効くのか調べる為だけに魔術を放っていった。
流星闇弾は闇属性の純粋な、虚理による攻撃。
霹靂爆豪は爆発を巻き起こし熱や圧力といった、現象による攻撃。
現刃破断は実際に刃を具現化させて斬り付ける、物理による攻撃。
流星闇弾は「ソレ」に当たる前に、壁のようなモノに当たり掻き消された。
霹靂爆豪も「ソレ」に当たる前に爆発し、爆風は「ソレ」に届いたものの何の反応も無かった。
現刃破断は「ソレ」の何だか良く分からない、髭っポイ何かを切断していった。
そして更には力を宿した愛剣で斬り掛かったが、それは流星闇弾や霹靂爆豪同様に、見えない壁に阻まれ盛大な不協和音を奏でていた。
「くぉぉぉおのぉぉぉおおぉおおぉ!」
「ぐぅぅぅぅおおぉぉぉぉぉぉりゃあぁぁぁぁあぁぁぁあッ!」
がきいぃぃぃぃぃん
ざしゅんッ
「かなり無理矢理だったけど、手応えあったッ!!」
少女の剣は確かに「ソレ」に届いていた。魔術を阻んだ障壁は甲高い音と共に砕け、「ソレ」は身を守る盾を失った。
少女の斬撃はそのまま「ソレ」に到達し、唐竹を割るように弧を描いていったのである。
「えっ?!そんな……なんてことッ!」
確かに手応えはあった。少女の大剣を握る両手は、斬撃の衝撃を感じ取っていた。拠って大上段からの一撃が決まったのであれば、通常は致命傷となる一撃に変わりは無いだろう。
しかし「ソレ」は目が嗤ったまま、上半身が左右に泣き別れただけだった。拠って泣き別れながらも再びべったりとくっつくと、何事も無かったかのように復元されていく。
「ヤバッ!」
ひゅんッ
がっきぃぃぃぃぃぃぃぃん
「ぐっ!?なに今のッ?魔術の挙動はなかったわよね?そこら辺に浮かんでるデブリを投げただけっていうの?」
少女は本能で危険を察知し咄嗟に愛剣でガードをしていた。一方で何故だかアラームは鳴らなかった。
しかし「ソレ」から放たれたモノの威力は凄まじく、ガードをしたにも拘わらずそのまま吹き飛ばされてしまったのである。
ガードしたおかげでダメージは大したことはない。だが、身体が痺れるような感じはしていた。
今の少女には物理作用が効かないハズなのに、単純な物理攻撃ですらアストラル体にまで影響を及ぼす程に強力となると、骨が折れるのは間違いなかった。
まぁ、身体がマテリアル体であれば、先程のガードであっても骨の2、3本は折れていたかもしれない。
あ……意味が違うが気にしてはいけない。
「コイツ、本当に一体何なワケ?まったくもって勝てる気がしないし糸口も見付からないんだけど、どうしよ?ホントにホント、まったくヤんなっちゃうわね」
「でもま、前向きに考えるとして、さっきは確かに手応えはあったのよねぇ。しっかし斬った瞬間に元通りとか、ホントにどんな身体の構造してんのかしら?でも粉々にしたら元通りにはなれないかしらね?試してみる価値はありそうよ……ね」
「でもでも、そもそもの話し、コイツはホントに生物なの?殺しても死なないなんて、チートが過ぎるわッ!」
少女は頭の中で現状から分かっているコトを、でもでも考えながら纏めていき、倒し方を推察していった。まぁ、色々と試してみたいが、時間もあまり無いので焦ってはいる。
そして大事なコトは、一撃でももらえばそれは即死級の威力なので油断もしていられないのである。
「取り敢えず、じゃあ、決まりッ!単純に死ぬまで殺せばいいって方針でやってやるわッ!」
その頃、地上では異変が起き始めていた。地球圏を覆う「目」が怪しげな光を帯び始めたのだった。
「目」が一際怪しげな光を帯びた時、その「目」から熱線を帯びた光が大地に放たれていったのである。
その光は大地を縦横無尽に奔り、その傍若無人な光は、大地にある物全てを薙ぎ払っていく。
こうしてそこにあった物は例外無く、灼かれていくのだった。
突如として始まった生命の危険に対して人々は、恐怖し絶望していく。
逃げ惑うコトしか出来ず、でもどこに逃げたらいいか分からない状況に混乱し、いつ灼かれるか分からない死のカウントダウンは心を擦り減らしていく。
そうして、それらの負の感情は、「ソレ」に因って吸い上げられていく。
「ソレ」としてはそれが狙いであり、それは格好のエサであり、吸収し自分自身の養分していったのだった。
少女は「ソレ」に対して、剣撃と物理作用を持つ魔術を織り交ぜながら攻撃を重ねていく。破壊しても破壊しても障壁は復元され、斬っても斬っても「ソレ」の身体は元に戻っていった。
一方で「ソレ」は少しでも隙を見せるとデブリを投げてくる。だからそれは受けるコトをせずにひたすら躱し、投げられないように手数を増やしてこれでもかと言わんばかりに斬り刻んでいく。
それの繰り返しをかれこれずっとやっており、一向に終わりの見えない闘い……としか言えない状況だった。
「ソレ」は、少女からの攻撃を受けて刻まれれば刻まれる程に、大地を焼き払い養分を吸い上げていた。
それもじわじわとイヤラしく、存分に恐怖を味わえるように丁寧にだ。
灼く範囲を選定し、一度に灼かず逃げ惑う人々に対して掠めるように。
真綿で首を絞めるように一度で心を砕き切らず、徐々にすり減らすように。
逃げ惑う人々が自らの恐怖で、自らの首を絞めてしまわないように。
そこまでして丁寧に丁寧に、じわじわと負の感情を捕食していた。だから「ソレ」にとって時間は、いくらでもある。
自分の下には数十億ものエサがあり、自分の傷はエサが補ってくれているのだから。
拠って「ソレ」は、最高のエサを捕食する為だけに頑張って時間を掛けていた。
だが、ただ斬られるだけでは詰まらないから、そこら辺のゴミを投げたりもした。ちょっとは抵抗してみせる事でカムフラージュしたのである。要するに、最高のエサに気付かれては困るのは「ソレ」の方だからだ。
だがそうとは露知らず、そんな「ソレ」の思惑を知らず、ただがむしゃらにひたすらに攻撃を行ったのが少女の誤算だったと言えるだろう。
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