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第五節 The Towards Shining Take
第160話 Decisive Endanger Ⅰ
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少女が空に浮かぶ「目」に向かって駆けていた頃、世界各国の元首達は突如現れた「目」に対してそれぞれ攻撃を仕掛けていた。
先ず、最初に放たれたのは超長距離弾道ミサイルだった。
流石にLAMなどの陸戦兵器では有効射程を遥かに超えている事から、限られた国が保有していた超長距離弾道ミサイルが先制する事になった。だが、本来であればそのミサイルですら使いたくはなかっただろう。
それは非常に高価なモノだからだ。
一方で、もしもそれが効けば虚無の禍殃を未然に防いだ英雄として讃えられるコトになる。
費用対効果ならぬ費用対名声という天秤が頭の中にあり、打算が働いた結果なのかもしれない。
要するに国家元首とは、実に打算的なイキモノなのだと表現出来る場面だと言えるだろう。
だがそんな幻想は儚くも、「目」に届く前に爆散したコトで潰える事になる。
もしかしたら国家元首生命ですら潰えるかもしれないが、それに関しては、さて置くとする。
「目」は地球の成層圏の更に上にある中間圏と熱圏の間に存在していた。だが成層圏と中間圏との間には見えない「壁」が張られており、その「壁」に当たった結果、実弾兵器は爆散したのだ。
拠って、「目」には何1つとして届いていなかった。
いかにお高い兵器であったもしても敵に対して届かなければ、それはお金をドブに捨てるのと同じ意味でしかない。
それらの国家元首の進退問題はさておき、実弾兵器では太刀打ち出来ないコトを知った次の行動は、ハンター達への緊急要請だった。
その結果、世界各国の何千、何万というハンター達は空にある「目」に対して次々に向かっていく事になる。
だがその「目」には実弾兵器同様に、誰一人として届く事が出来なかった。
これもまた当然と言えば当然のコトなのだが、酸素が無ければ如何なるハンターであろうとも生きてなどいられないし、寒ければそれだけで生命活動を停止せざるを得なくなるのだから……分かりきったコトだと言い換えられる。
ハンター達はブーツのチューンナップと、デバイスに対応するASPをインストールしていれば、成層圏まではなんとか到達出来る。
だが、その先の中間圏はなんとかギリギリ難しいと言うか、やっぱり難しいどころか不可能としか言えない。
惑星に住む生物である以上、酸素は必要不可欠である。中間圏まではギリギリ酸素はあるだろうが非常に薄く、そして気温もマイナス100℃と非常に低い。
要するに寒冷地戦闘用の専用装備を更に改良でもしない限り、装備が凍り付いて戦闘どころではないだろう。
だがそんな装備は存在しない。
まぁそれはその通りで、魔獣も多様性に富んでいるとは言え、生物である事に変わりはない。
拠って大気圏外や成層圏ギリギリの場所に好んで棲息している魔獣は、いないのだから当然と言えば当然のコト過ぎる。
拠って、そこら辺の依頼も存在しない。無論の事ながら依頼がなければ装備が造られるコトもない。
だが、絶対に棲息出来ないかと問われれば答えはNOなのだが、それは余談である。
拠って結論から言うと、各国が緊急要請で放出したハンター達も実弾兵器に続いて、何の役にも立たなかったのだった。
一方で少女は成層圏まで自力で到達すると、そこから先は「惑星の御子」の力を解放していった。
その姿は公安のトレーニングルームでの姿とは違う。言うなれば魔犬種の王や、炎龍ディオルギアを討伐した時の姿だ。
即ち禍々しい闇と神々しい光を同時に身体に纏わせ、|半神半魔《キャンセラー》とも呼べる姿に変化すると、そのまま成層圏を難無く突破していった。
ちなみに、周りには誰もいないのでその姿でも恥ずかしさは微塵もないし、気が張っているので知り合いがいたとしても恥ずかしさすら感じないだろうと言うのもまた、余談である。
少女はウィルから聞かなかった為に知る由もないのだが、少女が纏っている力は「魔」と「神」の力そのものである。拠って、少女の身体はマテリアル体からアストラル体へと切り替えられていた。
故に「暑さ」「寒さ」という概念は既に、少女に対してなんら影響を与えていなかった。そればかりか、「無酸素」であっても少女には影響を為し得なかったと言える。
然しながら結果オーライと言えばその通りなのだが、一般的な知識があれば尻込みしそうな状況でさえ、そうならずに突っ込んでいった少女は、クリスを超える天然かよっぽどの生命知らずと言わざるを得ないのかも知れない。
然しながらこうして少女は、地球に纏わり付いている「目」の全容を知る事になった。
「何なのコイツ?遠目には目に見えたけど……コレって一体何?」
「空に浮かんでる雲みたいなモノなのかしら?でもって、アレが「ソレ」みたいね?」
少女は言うまでもなく驚愕していた。
地球を見下ろしていた「目」は、「ソレ」から張り巡らされた緻密な粒子に拠る「膜」のようなモノだったからだ。
更には触れたところで感触はなく何一つ実体などなかった。
そしてその「膜」の上に「膜」と繋がる「ソレ」の姿があった。要するに「ソレ」から全ての「膜」が形成されていたと言える。
「ソレ」を起点として創り上げられている「膜」が、地球という惑星そのものを覆い尽くしていたのである。
「ソレ」は自身の前に出て来た少女を見ると、ニヤリと不敵な笑みを浮かべるように、その額の「目」だけが不気味に嗤っていた。
「ソレ」の額には目が6つある。上顎から下の部分には髭のような、触手のようなモノが無数に生えておりうねっている。
その為、口は見る事が出来ない。
見た目は全然麗しくなんか無くて、どちらかと言えば不気味過ぎて、吐き気を催すか恐怖で発狂しそうな程だった。
だが、サイズは少女より一回り小さいくらいで、こじんまりとしているので、気色悪い小動物に見えなくもないがそれを言ってしまったら小動物全てに謝らなければならなくなるだろう。
背中には身体のサイズに似合わない二足翼竜種のような翼があり、掌には水掻きのようなモノも見える。
尻尾も生えている様子だが、少女の位置からだと細かい形状なんかは分からなかった。
「アナタ、名前はあるの?」
「……」
「そう。夢の中に出て来たアンタは饒舌だったけど、ここにいるアンタは話せないのかしら?それなら、名も無き者として後腐れなく消滅していって!」
少女は身体の左右にそれぞれに分かれている「魔」と「神」の力を、大剣ディオルゲートに纏わせていった。
装備の色は魔獣の素材で造られた場合、その魔獣の色が色濃く残る。それは素材としての色なので魔獣の体色そのままでは無いのだが、それでも黒や白といった単色よりは味わいがある。
炎龍ディオルギアの素材は燃えるような紅緋色であり、風龍イルヴェントケートの素材は春の芽吹いたばかりの草原を連想させるような山葵色だ。
大剣ディオルゲートに生まれ変わった少女の愛剣は、その2色が混じり合い柿色に近くなっていたが、所々にそれぞれの色合いを残している。
だがその愛剣は「魔」と「神」の力を纏った事で塗り替えられていくのだった。
先ず、最初に放たれたのは超長距離弾道ミサイルだった。
流石にLAMなどの陸戦兵器では有効射程を遥かに超えている事から、限られた国が保有していた超長距離弾道ミサイルが先制する事になった。だが、本来であればそのミサイルですら使いたくはなかっただろう。
それは非常に高価なモノだからだ。
一方で、もしもそれが効けば虚無の禍殃を未然に防いだ英雄として讃えられるコトになる。
費用対効果ならぬ費用対名声という天秤が頭の中にあり、打算が働いた結果なのかもしれない。
要するに国家元首とは、実に打算的なイキモノなのだと表現出来る場面だと言えるだろう。
だがそんな幻想は儚くも、「目」に届く前に爆散したコトで潰える事になる。
もしかしたら国家元首生命ですら潰えるかもしれないが、それに関しては、さて置くとする。
「目」は地球の成層圏の更に上にある中間圏と熱圏の間に存在していた。だが成層圏と中間圏との間には見えない「壁」が張られており、その「壁」に当たった結果、実弾兵器は爆散したのだ。
拠って、「目」には何1つとして届いていなかった。
いかにお高い兵器であったもしても敵に対して届かなければ、それはお金をドブに捨てるのと同じ意味でしかない。
それらの国家元首の進退問題はさておき、実弾兵器では太刀打ち出来ないコトを知った次の行動は、ハンター達への緊急要請だった。
その結果、世界各国の何千、何万というハンター達は空にある「目」に対して次々に向かっていく事になる。
だがその「目」には実弾兵器同様に、誰一人として届く事が出来なかった。
これもまた当然と言えば当然のコトなのだが、酸素が無ければ如何なるハンターであろうとも生きてなどいられないし、寒ければそれだけで生命活動を停止せざるを得なくなるのだから……分かりきったコトだと言い換えられる。
ハンター達はブーツのチューンナップと、デバイスに対応するASPをインストールしていれば、成層圏まではなんとか到達出来る。
だが、その先の中間圏はなんとかギリギリ難しいと言うか、やっぱり難しいどころか不可能としか言えない。
惑星に住む生物である以上、酸素は必要不可欠である。中間圏まではギリギリ酸素はあるだろうが非常に薄く、そして気温もマイナス100℃と非常に低い。
要するに寒冷地戦闘用の専用装備を更に改良でもしない限り、装備が凍り付いて戦闘どころではないだろう。
だがそんな装備は存在しない。
まぁそれはその通りで、魔獣も多様性に富んでいるとは言え、生物である事に変わりはない。
拠って大気圏外や成層圏ギリギリの場所に好んで棲息している魔獣は、いないのだから当然と言えば当然のコト過ぎる。
拠って、そこら辺の依頼も存在しない。無論の事ながら依頼がなければ装備が造られるコトもない。
だが、絶対に棲息出来ないかと問われれば答えはNOなのだが、それは余談である。
拠って結論から言うと、各国が緊急要請で放出したハンター達も実弾兵器に続いて、何の役にも立たなかったのだった。
一方で少女は成層圏まで自力で到達すると、そこから先は「惑星の御子」の力を解放していった。
その姿は公安のトレーニングルームでの姿とは違う。言うなれば魔犬種の王や、炎龍ディオルギアを討伐した時の姿だ。
即ち禍々しい闇と神々しい光を同時に身体に纏わせ、|半神半魔《キャンセラー》とも呼べる姿に変化すると、そのまま成層圏を難無く突破していった。
ちなみに、周りには誰もいないのでその姿でも恥ずかしさは微塵もないし、気が張っているので知り合いがいたとしても恥ずかしさすら感じないだろうと言うのもまた、余談である。
少女はウィルから聞かなかった為に知る由もないのだが、少女が纏っている力は「魔」と「神」の力そのものである。拠って、少女の身体はマテリアル体からアストラル体へと切り替えられていた。
故に「暑さ」「寒さ」という概念は既に、少女に対してなんら影響を与えていなかった。そればかりか、「無酸素」であっても少女には影響を為し得なかったと言える。
然しながら結果オーライと言えばその通りなのだが、一般的な知識があれば尻込みしそうな状況でさえ、そうならずに突っ込んでいった少女は、クリスを超える天然かよっぽどの生命知らずと言わざるを得ないのかも知れない。
然しながらこうして少女は、地球に纏わり付いている「目」の全容を知る事になった。
「何なのコイツ?遠目には目に見えたけど……コレって一体何?」
「空に浮かんでる雲みたいなモノなのかしら?でもって、アレが「ソレ」みたいね?」
少女は言うまでもなく驚愕していた。
地球を見下ろしていた「目」は、「ソレ」から張り巡らされた緻密な粒子に拠る「膜」のようなモノだったからだ。
更には触れたところで感触はなく何一つ実体などなかった。
そしてその「膜」の上に「膜」と繋がる「ソレ」の姿があった。要するに「ソレ」から全ての「膜」が形成されていたと言える。
「ソレ」を起点として創り上げられている「膜」が、地球という惑星そのものを覆い尽くしていたのである。
「ソレ」は自身の前に出て来た少女を見ると、ニヤリと不敵な笑みを浮かべるように、その額の「目」だけが不気味に嗤っていた。
「ソレ」の額には目が6つある。上顎から下の部分には髭のような、触手のようなモノが無数に生えておりうねっている。
その為、口は見る事が出来ない。
見た目は全然麗しくなんか無くて、どちらかと言えば不気味過ぎて、吐き気を催すか恐怖で発狂しそうな程だった。
だが、サイズは少女より一回り小さいくらいで、こじんまりとしているので、気色悪い小動物に見えなくもないがそれを言ってしまったら小動物全てに謝らなければならなくなるだろう。
背中には身体のサイズに似合わない二足翼竜種のような翼があり、掌には水掻きのようなモノも見える。
尻尾も生えている様子だが、少女の位置からだと細かい形状なんかは分からなかった。
「アナタ、名前はあるの?」
「……」
「そう。夢の中に出て来たアンタは饒舌だったけど、ここにいるアンタは話せないのかしら?それなら、名も無き者として後腐れなく消滅していって!」
少女は身体の左右にそれぞれに分かれている「魔」と「神」の力を、大剣ディオルゲートに纏わせていった。
装備の色は魔獣の素材で造られた場合、その魔獣の色が色濃く残る。それは素材としての色なので魔獣の体色そのままでは無いのだが、それでも黒や白といった単色よりは味わいがある。
炎龍ディオルギアの素材は燃えるような紅緋色であり、風龍イルヴェントケートの素材は春の芽吹いたばかりの草原を連想させるような山葵色だ。
大剣ディオルゲートに生まれ変わった少女の愛剣は、その2色が混じり合い柿色に近くなっていたが、所々にそれぞれの色合いを残している。
だがその愛剣は「魔」と「神」の力を纏った事で塗り替えられていくのだった。
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