飼い主と猫の淫らな遊び

徒然

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猫になった日

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 それを合図に、颯真の動きから迷いが消えた。
「一人遊びが過ぎる悪い猫に、お仕置だ」
 低く唸るように告げ、両手に力を込める。腰を突き出すと同時に引き寄せ、そのまま腰をうねらせて喉の奥を抉る。ぐ、と呻く樹の喉が、先端を擽るように締め付ける。
 頃合を見計らい腰を引くと、ぷは、と樹が息をついた。樹の苦しそうな表情に、颯真の顔が僅かに曇る。
 ――されてみたいとは言ってたけど、……やり過ぎたかな。
 躊躇いを見せる颯真に、樹はねだるように舌を這わせ、腰に抱きつく手に力を込めた。うっとりと目を細めて腰を揺らす姿に、颯真はふっと笑った。
「大丈夫そうだね?」
 念の為確認すると、樹がペニスを咥えたまま頷く。
「もっと、欲しい、です……」
 顔を離したと思えばそれだけ告げて、またすぐ深く咥え直す。
「樹って……。思ったより、淫乱なんだね。わかった」
 颯真は一つ息をつくと、一度樹の口からペニスを引き抜いた。戸惑いの表情を浮かべる樹の髪を梳くように撫でながら、颯真が苦笑を浮かべる。

「今から樹を手酷く扱うと思う。だから、どうしても嫌だったり、無理な時の言葉と動作を決めよう。どちらかを樹がしたら、ちゃんと止めるから」
 颯真は樹の願望は知っているが、願望と実際は違う。樹を傷付けないためにも、颯真が暴走した時の歯止めのためにも、それは必要なことだった。
「は、はい。えっと、じゃあ。『スティンガー』って言うか、颯真さんに甘噛みしながらタップ、します」
 樹は身体中を疼かせながら、何とか答えを出した。それを何度か口の中で繰り返したあと、颯真は目を閉じて頭のスイッチを切り替える。
「了解。じゃあお望み通り、徹底的に犯してあげる」
 颯真がゆっくり目を開く。その射貫くような視線に支配者の色を見て、樹の身体は期待に震えた。
「お願い、します……」
 樹は添えられた手に加えられる力に逆らうことなく、唾液で濡れそぼるペニスを再び口に迎える。
 颯真は覚悟して、と低く呟くと、腰を僅かに引いた後、勢いを付けて突き出した。

 ごぷ、ごぷ、と鈍い水音が響く。颯真の荒い息遣いと、樹の呻く声。吸盤でベッドの枠に取り付けられたディルドが、尻尾の代わりに樹の後孔に埋められている。颯真の腰が突き出されると、後孔と喉が深い場所まで犯される。気紛れな颯真の動きに翻弄され、樹のペニスは鬱血して痛いほどに膨れ上がっていた。
 樹の両手は颯真の腰に縋り付き、両脚からは力が抜けきっていて今にも崩れそうだ。もう随分こうして口と後孔を犯され続けている樹。その身体を支えているのは主に、ディルドと颯真のペニスになっていた。
 颯真は喉を抉りながら、腰を震わせる。涙を流しながらペニスにしゃぶりつく樹の姿に、否応なく高められていく。
「樹、っ、出すよ」
 樹の身体をベッドの方に押し付け、身体を反らせて腰を強く突き出す。樹の斜め上からペニスを深く差し込んで、舌の付け根の奥まで念入りに繰り返し犯していく。
「っく、は……っ」
 そのままそこに白濁を浴びせると、樹が苦しそうにしながらも喉を鳴らして飲み干した。
 その動きが颯真のペニスを攻め立てて、何度吐き出しても萎えることのないままのペニスで、喉の奥深い場所に白濁を塗りこめる。
 ぴく、と樹が震えたのを合図に、ゆっくりそこからペニスを引き抜いた。粘度が高めの唾液と颯真の出した白濁が絡むそれを、樹が愛しげに舐めとる。
 労うように髪を撫でながら、流れる涙を颯真が指で拭う。やがて、ちゅぱ、と音を立てて樹の口が解放された。口の周りの色んな体液を舌で舐め取りながら、樹が幸せそうに微笑む。
「よく頑張ったね。……おいで」
 頭を胸に抱き寄せながら、樹の後孔からディルドを引き抜くように絨毯に腰を下ろす。甘く震えて吐息を洩らす樹に、また颯真のペニスが太さを増した。
「っ、あぁ、ん」
 抜ける瞬間、甘く啼いた樹。ペニスを戒める紐を解いてやると、とろとろとそこから白濁が力なく流れた。

「あ、汚れちゃ……」
 樹の口を颯真のそれで塞ぎ、口内に舌を差し込む。颯真のペニスで擦られ続けたそこは熱く、絡められた舌を颯真の舌先で撫でると、樹がふにゃりと笑った。
「そんなこと気にしなくていい」
 颯真が樹の目を覗き込む。甘く溶けて、熱をはらんだ瞳には、欲を滾らせる颯真が映り込んでいる。
 颯真は首を緩く振り、頭のスイッチを一度切る。樹の唇にそっとキスをして微笑むと、樹の頬が赤らんだ。
「……なんで今更照れてるのさ。ほら、一度戻っておいで」
 颯真の甘く優しい声に恥じらいを見せた樹。颯真はその頭をぽんぽんと撫でてベッドに凭れるように座らせ、そこに生えているディルドを引き剥がした。
 ほら、と水を渡し、颯真も手にしたペットボトルに口を付ける。樹が水を含みながらも、無造作に置かれたディルドをチラチラ見ていて、颯真の悪戯心が疼いた。
「これからずっと樹の中にコレ入れとかなきゃダメなのに」
 クスクス笑いながら告げ、それを樹の手に置くと、樹の肩が震えた。緩くそれを握る掌を、どろどろのままのディルドで擦る。
「俺に口を犯されて、コレに後ろをやられたこと思い出さないようにね?」
 思い出すなと言いながら、思い出すことを期待する。樹の吐息が溶けてきたのを確認して、颯真は樹の耳を柔らかく食んだ。
「結構無茶苦茶したのに、受け入れてくれてありがとう。……好きだよ」
 甘い声に、樹が震える。
 ――こんなこと言われたら、嫌でも思い出すじゃないか……。
 ただ乱暴にされたのとは違うことを、樹はよく分かっていた。快楽に浸りきった頭の何処かで、いつも樹の反応を見ている颯真を知っている。止める言葉を言う必要もないほど、苛烈な優しさで、樹が求めることだけをしてくれたから。
 樹は颯真にぎゅっと抱きついた。汗の滲む素肌に頭を擦り付け、何度も大好きだと呟く。颯真は苦笑を浮かべながら、突然甘えてきた樹の髪を、背中をぽんぽんとあやすように撫で続けた。

 すっかり掠れてしまった樹の喉を労るために、颯真は蜂蜜入りのホットミルクを作って飲ませる。飲み損ねたそれが樹の肌を伝うさまに、邪なことを連想してしまったことに颯真は自嘲しつつ、樹の様子を観察する。
 ――体力はわからないけど、案外元気そうにも見える。
 スリスリと甘える姿は本当に猫のようで、颯真はつい、わしゃわしゃと髪を掻き混ぜる。乱れた髪に唇を落とし、毛並みを愛でるように髪を撫でる。
 ――え、えっ……?
 突然猫可愛がりされた樹は、先程までのギャップに戸惑いながら、心地よい体温に身を任せる。閉じかけた目を開き、視線をさ迷わせると、お互いのペニスが視界に入った。
 どちらもまだ、収まったとは言えないくらいに反り返っていて。颯真のそれを見た瞬間、空っぽの後孔の奥底が急激に疼き始めた。小さく息を洩らし始めた樹は、目の前の素肌に舌を伸ばす。ぺろ、と舐めると、颯真がぴくりと反応を返してくれた。
 ――もっと、俺で気持ちよくなって。
 舌に乗る、颯真の汗の味。同じボディーソープの香りと、颯真の仄かな体臭。どれもが心地よくて、もっと欲しくて、夢中で舌を這わせていく。
 身体を舐められる擽ったさと快感に震えながら、颯真は樹を撫でている。かけられる体重に逆らわず、ベッドに仰向けに押し倒されながら樹を引き寄せた。
 颯真に馬乗りになった樹の、お腹に触れた熱いペニス。樹は舐める場所を移し、颯真の顔を見下ろす。
「颯真さんが……欲しい、です」
 腰を落として颯真のペニスに樹のそれを擦り付けながら懇願すると、颯真はふっと微笑んだ。
「樹の好きにしていいよ。俺も、樹の中に挿れたい」
 樹が腰を上げ、颯真のペニスを支える。ぱくぱくと待ち侘びる後孔に先端を擦り付け、ゆっくり腰を落としていく。
「っあ、あ、あ……っ」
 じわじわと後孔を埋めていくそれを締め付けながら、樹のペニスからとろとろと先走りが零れる。颯真がそれを撫で広げ、握り込んだ。
「や、だめ、それ、やぁあ……」
 樹が腰を跳ねさせると、樹のペニスも擦られる。更に、颯真の指先が樹の乳首を摘む。
「ほら、休んでないで。樹の中に注がせて?」

 上に下にと入れ替わりながら、互いの白濁で身体をどろどろにしながら繋がり続けた二人。明け方になってとうとう意識を飛ばした樹を、颯真は愛しげに撫でた。
「ごめんね、樹」
 どんなに攻め立てても、止めさせるための言葉を言うことは無かった樹。むしろ嬉々として受け入れて溶けていた。
 濡らしたタオルで樹を清めながら、壁掛けのカレンダーを見る。
 ――あと二日、か。
 連休が終わると、また日常に戻る。戻らなければならない事実に、颯真は深いため息をついた。
 ――離れがたいなぁ。
 いくら身体を繋いでも、好きだと言っても、首輪を付けても、樹には樹の、颯真には颯真の日々があるままなのが、颯真には酷くもどかしく感じられた。
 颯真も身体をざっと拭き、ベッドの半分、空いている部分だけ、体液でどろどろのシーツを防水パッドごと引き剥がす。ベッドが無事なのを確認して、新しい防水パッドとシーツを掛け直し、樹をそちらに転がした。
「ん……颯真、さ……ん?」
 むずがるような樹を撫でてやると、ニコリと笑ってまた寝息を立て始めた。樹の姿に頬を緩めながら、残りも手早く掛け直して脱衣所まで運んだ。
 ふと、洗面台の鏡に映る自分と目が合った。
 身体のあちこちに散らばる鬱血の痕。ペニスはまだ飽きもせずに反り立っていて、自分でも呆れてしまった。
 ――いくら抱いても足りないとはね。
 樹が目覚めたら、今度は一緒に風呂に入るために、掃除だけ済ませておく。朝食は起きた時に考えることにして、サイドテーブルの飲み物を整えた。

 ふ、と樹が意識を取り戻したのは、颯真がそんなことをしていた時だった。ぼんやりしながら辺りを見ても、颯真が見当たらない。窓には薄明かりが差し始めていて、もう朝なのかと驚いた。
 ――颯真さん……。
 どろどろだったはずの身体もベッドも、さっぱりとしている。乱れに乱れたことが夢ではないことは、身体中に付けられたキスマークと、身動きできないほどの身体の怠さが示してはいるけれど。
 身体を無理やり起こして目を擦っていると、颯真が戻ってきた。
「樹?もっと寝てて大丈夫だよ。……身体、どう?」
 時間にしてまだ三十分も経っていないだろう。樹の隣に座り、肩を抱き寄せると樹がへにょりと笑ってスリスリと甘えた。
「平気、です、颯真さん。色々ありがとうございます」
 大好き、と呟くと、安心したようにそのまま寝入った。
「あぁもう、本当に……。どこまで俺を翻弄したら気が済むの」
 敵わない、と呟いて、好きだよと額にキスをして。慎重に樹を引き倒し、一緒に横になると、今度は二人で夢の世界に旅立った。
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