激レア種族に転生してみた（笑）

異世界転生 出会い編

閑話 英傑学院に集う者達

　◇◇◇グリエル王国

「今年は例年なく逸材が揃ったようだな」
「四大大国の王子に皇子が揃ってますから」
「グリエル王国の威厳の為にも、奴等には負ける訳にはいかないな」
「リオネル殿下ならあんな連中など、容易く蹴散らす事でしょう」
「しかし、逸材が揃う今年の首席合格者が、平民だった事に驚いたんだがソイツは何者なんだ？」
「ユーザニア出身の平民ではありますが、既に冒険者として活動しております。実戦に勝る経験はございません。その差が出たのだと思われます」
「そうか、高貴なる血が流れる者の格を、その平民に思い知らせてやるか！」
「そうです。リオネル殿下と他の者とでは格が違います！」

　グリエル王国王太子の嫡男である第一王子リオネルは階級至上主義である。そして王家直系の彼は全ての者を見下すのであって。

　リオネルは英傑学院で、他の者達に格の違いを見せつけ、我こそが人類の頂点立つべき者だと証明する為に、英傑学院へ通うのだった。
  
◇◇◇テイタニア帝国

「マルクにセレンよ、グリエル英傑学院へ行く日がやって来たな」
「「はい、父上」」
「我がテイタニア帝国の威信にかけても、十傑での卒業は勿論だが、どちらかが首席を勝ち取って戻ってくるのだぞ？」
「「はっ！お任せを！」」

　テイタニア帝国、帝位に就くのに年齢や性別は全く関係ない、全ては己の力量のみである。
　世界最高峰の英傑学院で知力体力を徹底的鍛え上げる。いずれ行われる【帝位決定戦】で、勝者は皇帝になり、敗者は命を断たれるという過酷な運命を背負っているのだ。
　そんな過酷な帝位継承権を持つ2人は、命懸けの戦い向けて己を鍛え上げる為の学院生活が始まろうとしてるのだった。

◇◇◇ヴァカルディア王国

「アルス様、出発の準備が整いました」
「あぁ、ではグリエル王国へ向かうか……」
「やはり、気が重いのですか？」
「あぁ……兄上は英傑学院へは通えなかったからね」
「バルデス殿下は王の器ではありません。アルス様こそが王に相応しいと思います」
「ふっ、その事は言わないでくれ。弟として兄を差し置いて王になるなんて……」
「王妃様のご期待に応えないというのですか？」
「はぁ～……母上の期待があるから英傑学院へ通うんだよ。気は重いけど母上が喜ぶのなら王になるよ」

　ヴァカルディア王国の第一王子は愚者である為に、周囲の誰からも王位に就く事を望まれていない。一方の第二王子のアルスは文武両道の神童と呼ばれていて、周囲はアルスの王位を望んでいた。しかし母である側妃は平民出身の歌手であった為に、汚れ者と蔑まれてきたのだった。そして側妃は息子の教育に力を注いだ。息子を王位に就かせて蔑んだ者を見返したかったかは。第二王子アルスは英傑学院で十傑と首席の実績を持帰り、兄以上の器だと証明して王位に就く事を目指すのだった。

◇◇◇アルカディア王国

「デック殿下、そろそろお時間ですよ」
「判った、剣と魔法を扱う英傑の集う英傑学院か、考えるだけでワクワクするな！」
「そんな楽観的な思いで英傑学院へ通うのは、殿下くらいじゃないですか？」
「そうか？俺は英傑学院で首席を取るぞ！そして国へ帰って【魔物討伐騎士団】で武勇を轟かせて、この世界の真の英雄となるんだ！」
「世界一の英雄にでも成られるのですか？」
「勿論だ！アルカディア王国なんて器は、俺には小さ過ぎるんだ！世界一の英雄こそが俺に相応しい」

　アルカディア王国の第二王子デックは、英雄志願の変わり者だ。真の英雄への夢を成し遂げる為に英傑学院へ入学した。世界に己の武勇を知らしめる野望を叶える為の第一歩が英傑学院だったのだ。