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最終章 優しい世界
第10話 慰めたつもりが……
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グラスウルフとの戦闘は予想以上に苦戦した。何も考えずに最大火力で『バンバン』と攻撃していれば、こんなことにはならなかったのかな? 自分のスタイルに合わせてしまったことで、リオネル君が怪我をしたことを反省した。
「大丈夫? 直ぐに回復魔法で治療するね」
「くっ、すまん」
私が治療してる間は、ゼシカの指導でグラスウルフの解体を行う。牙・爪・毛皮は素材として使えることや、残った残骸は焼却又は地中に埋めるなど、冒険者としての基本的な手法を説明していた。
「お前達は裕福な暮らししか知らないから、このような物はゴミと同じだと思うかも知れないが、平民にとっては貴重な物になる。このように解体して回収して冒険者協会に素材を渡すことで、貧しい者の助けになるとアリス様から教えられた。お前達も実践するように」
ゼシカはかなりの上から目線で説明をしていた。上流階級のみんなは目の前の素材に興味はないと思うけど、平民にとっては貴重な素材なのは本当のことだ。必要としている者がいること、捨てるのではなく持ち帰ることで、たくさんの人に喜ばれるんだと知ってくれると嬉しいかな。
程なくしてリオネル君の治療が終わると、冴えない表情をしていることが気になった。初戦闘でいきなり負傷したことで気落ちしているのかな? 素材の回収と後処理も終わったようなので、休憩をすることにしたけど場の空気は少し重かった。
「初めて討伐で思った以上に苦戦したことを気にしているの?」
「「……」」
俯いたまま何も言わないクラスメイト達に、マリアンヌが軽く咳払いをしてから口を開いた。
「みんなは自信があったのかも知れないけど、何もできないことなんて当たり前だよ? 私が長期休暇でアリス様とダンジョンへ行った時も、さっきみたいな感じで何もできなかったんだから」
私達とダンジョンへ行った時の感想を伝えると、少し気が楽になったようなので、私も昔に角兎と戦った時のことを聞かせてあげた。
「私も初めて戦った魔物は角兎でさ、角の攻撃を躱せずに右太腿に大怪我を負ったんだよね。だからリオネル君の怪我は軽く済んで良かったんじゃない?」
「そうか、アリスでもそんなことがあるんだな。それを聞いて少し気が楽になったぞ」
「まぁ、生を受けたばかりの0歳だったけどね。いきなり拒絶の森での生活は大変だったかな」
「「!?」」
リオネル君は私も初戦闘で怪我をしたことを聞いて安堵の表情を見せたけど、当時の年齢が0歳だったことと、拒絶の森で生まれ育ったと口にした瞬間に、リオネル君だけではなく従者以外の全員が絶句したのだった。
「大丈夫? 直ぐに回復魔法で治療するね」
「くっ、すまん」
私が治療してる間は、ゼシカの指導でグラスウルフの解体を行う。牙・爪・毛皮は素材として使えることや、残った残骸は焼却又は地中に埋めるなど、冒険者としての基本的な手法を説明していた。
「お前達は裕福な暮らししか知らないから、このような物はゴミと同じだと思うかも知れないが、平民にとっては貴重な物になる。このように解体して回収して冒険者協会に素材を渡すことで、貧しい者の助けになるとアリス様から教えられた。お前達も実践するように」
ゼシカはかなりの上から目線で説明をしていた。上流階級のみんなは目の前の素材に興味はないと思うけど、平民にとっては貴重な素材なのは本当のことだ。必要としている者がいること、捨てるのではなく持ち帰ることで、たくさんの人に喜ばれるんだと知ってくれると嬉しいかな。
程なくしてリオネル君の治療が終わると、冴えない表情をしていることが気になった。初戦闘でいきなり負傷したことで気落ちしているのかな? 素材の回収と後処理も終わったようなので、休憩をすることにしたけど場の空気は少し重かった。
「初めて討伐で思った以上に苦戦したことを気にしているの?」
「「……」」
俯いたまま何も言わないクラスメイト達に、マリアンヌが軽く咳払いをしてから口を開いた。
「みんなは自信があったのかも知れないけど、何もできないことなんて当たり前だよ? 私が長期休暇でアリス様とダンジョンへ行った時も、さっきみたいな感じで何もできなかったんだから」
私達とダンジョンへ行った時の感想を伝えると、少し気が楽になったようなので、私も昔に角兎と戦った時のことを聞かせてあげた。
「私も初めて戦った魔物は角兎でさ、角の攻撃を躱せずに右太腿に大怪我を負ったんだよね。だからリオネル君の怪我は軽く済んで良かったんじゃない?」
「そうか、アリスでもそんなことがあるんだな。それを聞いて少し気が楽になったぞ」
「まぁ、生を受けたばかりの0歳だったけどね。いきなり拒絶の森での生活は大変だったかな」
「「!?」」
リオネル君は私も初戦闘で怪我をしたことを聞いて安堵の表情を見せたけど、当時の年齢が0歳だったことと、拒絶の森で生まれ育ったと口にした瞬間に、リオネル君だけではなく従者以外の全員が絶句したのだった。
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