俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ(笑)

小桃

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第三章 未知なる世界へ

第72話 さようなら、ルクンナ村

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 ルクンナ洞から戻った次の日は、明日の出発に向けてお世話になった人達に別れの挨拶をする。

 ガンコーとイテーツ兄弟は勿論だけど、いつも美味しい料理を提供してくれた屋台の大将や女将へも挨拶をした。

 俺がデルポト市のハンター協会で、ルクンナ洞の上下層のマップと、出現する魔物の情報を販売する事を伝えてると、全員が目を丸くして驚いた後に、感謝の言葉を贈ってくれた。やはりハンター活動で得た情報は、基本的には教えないのが普通みたいだね。

 お世話になった人達への挨拶を済ませると、次は明日から3日間の馬車旅の準備をする。馬車は御者が3人で、食事休憩以外は基本的には止まらないので、自分達の食事を用意するだけいいみたい。整備された街道を進むので魔物からの襲撃は殆どなく、盗賊も現れないと聞いたので楽な旅になりそうだ。

 デルポト市からはパミュルも人型で一緒に入るので、俺達はデルポト市の手前にある森の近くで降りることに予定で、そこで少し珍しい薬草を採集してから、3人でデルポト市へ入る予定になった。

「ハリエットは必要な物は全て揃った?」
「うん、パミュルの分も揃えたから大丈夫だよ。ウォードは大丈夫なの?」
「うん、全部確認したよ。じゃあ、宿へ戻って明日に備えようか」
「OK!」

 宿へと戻って、食事と風呂を済ませてからは、世話になった部屋に感謝をしてから綺麗に掃除をする。人だけではなく物にも感謝をする俺の姿を見て、パミュルとハリエットは『ウォードは必ず聖人になるよ』と冷やかされた。俺はそんな人格者じゃないのにね(笑)

 そして翌朝になり、俺達は部屋を出て精算をする為にハンター協会出張所に居るサチの元へ向かった。

「サチさん、今日までありがとうございました。またルクンナ村を訪れるまで元気で居てくださいね♪」
「あぁ、その時はウォードとハリエットの子供を連れて来るんだよ(笑)」

 サチの言葉を聞いたハリエットは、少し頬を赤らめて返事をする。

「はい、可愛い子供をお披露目しますから、絶対に元気で居てくださいね♪」
「楽しみに待ってるよ(笑)」
「えっと……冗談はこれくらいで、本当にありがとうございました。失礼します」
「冗談じゃないよ!待ってるからね~」

 最後は笑顔で手を振ってから、ハンター協会出張所を後にして馬車乗り場へと向かうと、既に馬車は来ていたので御者に声を掛ける。

「おはようございます。デルポト市行きの馬車を予約していたウォードと申します」
「おぅ、聞いてるよ!俺は【アッチ】で整備してるのが【コッチ】で馬の世話をしてるのが【ソッチ】だよ。この3人で運行するからよろしくな!」
「はい、よろしくお願いします。出発までは馬車に乗ってても問題はないですか?」
「おぅ、直ぐに準備が終わるから乗っててくれ。終わり次第に出発するよ」
「ありがとうございます」

 馬車に乗り込み出発を待っていると、サチにガンコーとイテーツや屋台の大将に女将までが見送りに来てくれた。
 俺は慌てて馬車から降りて、見送りに来てくれた人達に礼を言う。

「みなさん、わざわざ貴重な時間を割いてまで来てくれて、本当にありがとうございます」
「本当に寂しくなるぜ……元気でな!」
「あんたは最高のハンターだよ!またルクンナ村に来ておくれよ!」
「はい、みなさんもお元気で……必ず顔を見せに来ますから待っててくださいね(泣)」


「別れを惜しんでるところで申し訳ないけど、そろそろ馬車を出発するよ」
「はい……直ぐに乗ります。みなさん、僕達は出発しますね」
「「お達者で!」」
「「はい!」」

 優しい言葉を掛けられ、俺は嬉しさのあまり涙を流しながら再開を約束して、馬車へ乗り込んだ。『無能』と罵られてきた俺に、こんなにも優しく接してくれたルクンナ村には必ず戻って来ようと誓いながら、見送りにが見えなくなるまで、窓から身を乗り出して手を振り続けた。
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