俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ(笑)

小桃

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第三章 未知なる世界へ

第120話 鬼の試練②

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 まさかの大鬼オーガの出現で作戦なんて全てが吹っ飛んだ。

 俺は2人がゴブリンを倒すまでの時間を稼ぐだけだ。数的不利な状況を打破して、こっちが数的優位に立つしか勝機はないから……

(頼むよ。2人を信じて耐え切るからね……)

 俺は大鬼オーガの注意を引き付ける為に、2人から離れながら足元の石を拾って投げつける。簡単に石を手で掴むと、軽く握り潰して粉々に粉砕した。

(なんて力だ、捕まったら引き千切られるな)

 圧倒的な力を目の当たりにして、一定の距離を保ちながら捕まらないように、ひたすら回避する事に専念する事にした。
 そしてこう考えた『大鬼オーガの攻撃が当たりませんように」と願った。

§ハリエット視点§

 ウォードが大鬼オーガを引き付けてる。私達のする事は一刻も早くゴブリン達を倒す事で、パミュルと連携を取って立ち向かう。

 ゴブリンの数はホブゴブリン1体、ハイゴブリン2体、ゴブリン6体とかなりの数だけど、大鬼オーガと比べれば可愛いもの。

「私が先手で足元へ魔法を撃つから、バランスを崩したゴブリンを弓で射って!」
「OK、立ち上がったら曲射をして注意を上に向けるね」
「OK、私が魔法で首を刎ねるわ!」

 ウォードならこんな指示をしてくれると、想像しながら2人で瞬時に作戦を立てて実行するの。

 パミュルが岩を駆け上がってきたところへ、魔法を放った。

「GO!〚風刃ウインドウカッター〛」
『シュパッ、シュパッ……!』
「グガッ、アギャ……」

 4体のゴブリンが倒れたので、私は強さではなく狙い易さを優先して連続で矢を射った。

「外さないよ!ハァーッ」
『シュンッ、シュンッ……!』
「ガギャー、グギャー……」

 ハイゴブリン1体とゴブリン3体を仕留めると、その後ろから再び岩を駆け上がろうとするので、私は弓を上に向けてまとめた矢を持って曲射をする。

「詠唱よろしくね!ヤァーッ!」
『シュパッ』

 上から降り注いでくる矢に気付いたゴブリン達が、矢を避ける為に上を警戒した瞬間。パミュルが魔法の詠唱を済ませて、強力な魔法を放った。

「ナイス!〚暴風刃ストームソード〛」

 大きな風のヤイバが上を向くゴブリン達の首を刎ねていく。

『ザシュッー!』
「グギャーーーー!」

 パミュルの魔法により、ホブゴブリン以外のゴブリンは全て消滅した。

 残ったホブゴブリンも首に深い傷を負っていて、片膝を着き既に攻撃を仕掛ける余裕はない。私はゆっくりと頭へ狙いを定めて射抜くと、力なく崩れ落ちながら消滅していった。

 そして私とパミュルは、大鬼オーガ相手に時間を稼ぐウォードに目を向けると、その光景に驚愕したのだった……





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