俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ(笑)

小桃

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最終章 世界の夜明け

第17話 強行突破②

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 強行突破を決断すると、俺は家馬車ルーロットの速度を落とさず走り続けた。

 前方では、突然の閉門により人の流れが止まったことで、門に近づくに連れて人で溢れかえっていくが、俺は手綱を緩めることはしなかった。

「おい、馬車が突っ込んでくるぞ!」
「ヤバい、逃げろ!」

 速度を落とさずに突っ込んでくる馬車に気づいた人々が、大声を上げながら轢かれないように回避していく。当然、家馬車ルーロットが進むに連れて騒ぎが大きくなると、門に駐留している王都憲兵隊が気づき声を上げる。

「馬車が突っ込んでくるぞ! 閉門を急げ」
「あの馬車に異端者が乗っている! 弓兵、矢を射る準備を整え合図を待て!」

 やはり、追跡者を処分したことが知れ渡っていたようだ。どうして、借家に戻ったタイミングで王都憲兵隊は来なかったのか? それは多くの民衆の前で、異端者を拘束することが目的なのだ。ヒューマン至上主義を提唱する王国としては、異端者の末路を衆目に晒したいのだろう。

(悪いけど、晒し者になるつもりない)

「メル、僕が道を切り開くから運転を頼む。ハリエットは弓兵を、サーシャは後方から来る憲兵を撃って欲しい。じゃあ、行くよ! 魔人化ディレーヴ!」

 操縦をメルローズに任せると、俺は家馬車ルーロットから飛び出し魔人化ディレーヴを唱えると、金色の輝き周囲の視線が全て俺へと向けられ、憲兵達の動きが一瞬止まった。ほんの一瞬だが、魔人化ディレーヴした俺には十分な時間で、道を切り開くことができる。

「行く手を阻むのなら切り開くだけ。はあっ!」

 向こうが異端者だと言うのだから、目の前で門を閉じて行く手を阻む憲兵達は敵だ。俺は躊躇うことなく絆の太刀を抜刀して斬撃を飛ばす。その威力は絶大で、次々と憲兵達を両断して門まで届いた。

『ズバンッ! ザシュ、ザシャ!』

「「ぎゃあぁああああ~」」

 たった一撃で、門を守っていた王都憲兵隊はほぼ壊滅状態に、残っているのは門の上で弓を構えている弓兵のみだが、それもハリエットにより次々と射抜かれていく。後方からの憲兵は人混みが邪魔をして思うように進めないようだ。

(憲兵は2人に任せて問題ないな)

 王都憲兵隊が想定以上に脆弱だったので、残りは2人に任せて門の破壊に集中する。行く手を阻む者は切り捨てたので、門へたどり着くと右手の拳に魔力を集中させる。魔力が十分に溜まったところで、拳を一気に突き出して門を殴る。

衝撃インパクト!」

『ドッ、ドッガッァアアアン!』

 門は轟音と共に木っ端微塵に吹き飛び、行く手を阻むものは全て無くなり、俺が家馬車ルーロットに乗り込みメルローズと運転を代わると、そのまま門を駆け抜け王都から去って行ったのだった。

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