俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ(笑)

小桃

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最終章 世界の夜明け

第19話 魚人との交流

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 事情を察してくれた魚人フィシャーは快く休憩することを認めてくれた。俺は感謝を伝えたあと、水場から上がって家族のもとヘ向かい右手でOKサインを出す。

 俺達が休む前に、最も疲れている馬を家馬車ルーロットから離して水を飲ませながら労をねぎらう。

「お疲れ様。王国の領土から抜け出るまで、もう少し頑張ってくれ」
「ブルゥ~」

 甘える仕草で俺の顔を『ペロペロ』と舐められながらも、魔法鞄マジックバッグから果物を取り出した。これは本で得た知識だけど、魚人フィシャーがベジタリアンであるからだ。

「ねぇ、これはここを使わせてもらう為の心ばかりのお礼だ。それと、去る時にも声をかけたいので、できれば名前を聞かせてもらえないかな?」
「遠慮せずに頂く。俺の名ははタタンだ」
「タタンだね。良ければここでの生活状況と、クルーズ共和国について知っていることを聞かせてくれないか?」

 俺は種族差別に受けながらも水場で暮らす魚人フィシャーの現状と、タタンが共和国のことをどう思っているのか聞きたいと思った。何故なら、種族差別により迫害を受けているのなら、俺達のようにクルーズ共和国への移住を目指すはずだ。もっと違う理由があって、ここを離れられないのかも知れないしね。

「良いだろう。この先に俺達の住処がある。疲れを癒したら来てくれ」

 住処のある場所を指をさして教えてくれた。俺達の居る場所は開けているが、タタン達は木々が生い茂った所で暮らしているようだ。ヒューマンに見つからない為なのだろうか?

「了解。タタンまた後で」
「あぁ」

 話をする約束をすると、俺はタタンと一旦別れて家族の元へ戻った後は、アミュルと水場でたっぷりと遊んでから食事を取ると、疲れ切ったのかパンを手にしたまま『ウトウト』とし始めた。ハリエットは起こさないように抱き上げるて家馬車ルーロットへと運んだ。その様子を見ながら俺達も体を休めようと声をかける。

「僕達も少し横になろうか? 周囲の警戒はセレーナに任せる。次の休憩はどうなるか判らないからしっかり休んでね」
「うん。ウォードは魚人フィシャーと話をしに行くのよね?」

 サーシャは、俺がこのままタタンの住処へ向かうと思ったようだ。早く話して色々な情報を得たいところだけど、流石に長旅をして疲れが溜まっている。この先ゆっくりと休憩をする場所があるかも判らないので、無理をするつもりはない。

「話をしに行くけど、ちゃんと横になって疲れを癒してからにするから大丈夫だよ」
「そう、それなら安心したわ」

 休むことを伝えてると、セレーナに警戒を任せて俺達は家馬車ルーロットへ入って体を休めた。

 そして、数時間ほど睡眠を取って体が軽くなったことを確認してから、タタンの住処へと足を運ぶのだった。

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