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ピースウォーカー変身編
プリンセスヒーロー・神楽坂うか
しおりを挟むロスト=アダムスなんて信じているといえば陰謀論者扱いされて笑いものになるのがオチだ。
だから普段は黙っているけれど、正直言うと私は信じてる。
彼の大予言によれば1999年某日、世界は赤黒く染まるらしい。
そして終焉の惡魔が襲来して、この世は滅亡するんだとか。
もし本当にそんなことになったら、私は何をすればいいんだろう?
何ができるんだろう?何をしているだろう?
でも分かっていることは、私は平和のために一生懸命戦っているだろうということだ。
命を落とすことは嫌だけれど、うかが正義を貫けないことだけは絶対に嫌だ。
「んぅ...」
現実の気だるい重みが全身にのしかかり、陽射しが私の意識に滑り込むように入り込んできた。
「あれ?どんな夢を見てたんだっけか...」
もうすっかり記憶の中から消えている。
しばらくの間、眠りの余韻を楽しんでから跳ね起きた。
今日もまた1日が始まる。
今日は、いたずらっ子な弟のふうの授業参観に行く。
幸い今日は、私の学校が創立記念日だから、ふうの授業参観が始まる午後までのんびりすることができる。
「ふぁぁ....うーん...」
目尻に涙を溜めながら遮光カーテンを開けると、その光景に私は仰天した。
「なに...これ...」
なんで朝なのにまだ満月が空に登っているの?
それにめっちゃ近いんですけど!
私はすぐさま自分の部屋から飛び出して、家族にそのことを伝えようとした。
「翼!!翼!!」
ドンドンドンドンッ!!ドンドンドンドンッ!!
朝だけどそんなこと構ってらんない。
「異常事態!!緊急事態!!なんか変なことが起きてるよ!!」
ガチャッ...
「んー?どうしたの、うかちゃん?」
うかが部屋に入って行ったら、翼は呑気にネクタイを締めていて、そんなことどうでもいいと言ったような様子で姿鏡とにらめっこをしていた。
「いや、どうしたのじゃないわよ!ちょっと空見てよ空!」
姿鏡の前であーでもないこうでもないとポーズを変えながら、角度を変えながら、悩んだ様子をしながら、ネクタイと格闘していた翼のことを窓際まで引き寄せて、ほらほらと指でさし示しながら月を見せてやった。
「あー、ほんとだねえ。うかちゃんはお月様が好きだったっけ?じゃあ仕事から帰ったらお兄ちゃんと一緒にお月見でもするか。」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ、翼!ほらちゃんと見てよ。ちゃんとよく見ないから分からないんだよ」
「はいはい、お兄ちゃんこれから仕事で忙しいから、また夜に相手してあげるからね」
ガチャリ。
そう言って、私は半ば叩き出されるようにして部屋の中から追い出された。
「まあいいや。お兄ちゃんも就職したばかりだから多分大変なんだろうな」
ドタドタドタ...
私は1階に降りて、下の子たちのために朝ご飯を作ってから、いたずらっ子の弟に洋服を着させて学校に行かせた。
「ちゃんとまっすぐ学校に行くんだよ!」
「分かってるよ!俺はもう小6なんだからそれくらいできるよ!」
さて、どうだかね?
「授業参観まではまだ時間があるから、朝の占いでも見ようかな」ピッ
やはりなぜ満月が明るい空に登っていて、こんなにも近いのかという話題で1色だった。
けれど専門家の意見も様々で、誰もよく分かっていないのは明らかだった。
「今日のラッキーアイテムはシマエナガ!」
「はあ?こんなのどうやってラッキーアイテムにすればいいのよ。なんか最近の朝の占いは質が落ちたなあ...ふわあ~っ。」
...ちょっと眠っていたようだ。気付いたらもうその時間がやってきていた。
弟の世話をするのが大変でちょっと疲れたというのもあるけれど、一番はやはりこの異常事態が起きて、ついていけなかったからというのが大きい。
それほどまでにショックだったんだ。
立ち上がって授業参観の準備をする。
こういう時ってどういう格好すればいいんだろう?
周りの親御さんたちはどういう格好するんだろう?
「あまり浮きたくないしなあ」
学校の制服でいいかな?
制服は一応フォーマルな格好だし、制服を着て行ってもそこまで変な格好じゃないでしょ。
もし何か言われたら、あんたたちだってもうちょっとで着るのよ?とでも言って静かにさせればいい。
サッと着替えて、すぐに家を出る。
やはり町はその話題で持ちきりなようで、誰もが空を見上げながら恐怖に怯えた目を向けていた。
と、そこに見覚えのある顔が。
「こんにちは」
「あ、こんにちは」
「今日休みなの?」
「そうですね。創立記念日なんです」
「あらそうなの。じゃあなんで制服を着ているの?」
「ちょっと用事があって。それより、車に荷物を積んでるけどもしかして引っ越しですか?」
「そうよ。うちの息子が春から一人暮らしをするんだけどね、漫画を全部持っていくって聞かないのよ。本当に困った子よね」
「よかったら手伝いましょうか?」
「いいのよいいのよ」
「ちょっとくらいだったら大丈夫ですよ」
そして私は段ボールを5箱分運んでやった。
「本当にありがとうね」
「いえいえ、お互い様ですから」
そう言って私は弟の学校に向かった。
聖子さんは最初遠慮していたけれど、これもこれもと私に段ボールを渡してきたから、やはり一人で車に積み込むのは大変だったようだ。
「本当にありがとうね」
車で私のことを追い越してきた。
私は手を振って大丈夫ですよと言ってやった。
そして15分ほど歩いて行くと私も数年前まで通ったことがある福村第二小学校が見えてきて、随分と校庭がちっちゃくなったように思えた。
「こんにちは」
「保護者の方ですか?」
「はい。いや、保護者なのかな?どうなんだろう?まあいいやそんな感じですね」
「それではこの用紙に名前を記入してください」
「神楽坂うか...っと。書きました」
「6年生の教室は3階にありますよ」
「ここの学校に通ってたので大丈夫です。ありがとうございます」
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