LUCKY HEAVEN〜白昼の満月から来る終焉の惡魔を倒す為、しょうがなく魔法天志になりました〜

MG

文字の大きさ
2 / 5
ピースウォーカー変身編

終焉の惡魔とかいう奴らがいきなり襲ってきた

しおりを挟む



スリッパを使って歩くと、歩くたびにパタパタと音が鳴って鬱陶しかったので、職員用のスリッパを勝手に拝借してそれを使って階段を登っていくと、さっきに比べて全く音が鳴らなくて快適だった。
あとで返せば平気でしょ。


「1つの直線を折り目にして、それから折ると折り目の両側がぴったり重なるよな?その図形は線対称って言います」

ふうの担任の先生は体育会系の教師で、ずいぶんと仕事熱心な印象を受けた。

しかし私は授業がうまいかどうかはあまり見ない。
小学6年生といえば大した勉強はしないわけだから、先生は授業よりも人間性の方が大事だ。

私自身、言葉で教えられたことはほぼ覚えていないけれど、先生の行動だったり先生にしてもらったことは覚えているからだ。

私が静かに教室の後ろから入っていくと、すぐ近くの生徒が私のことを見ながら口元を押さえて隣の生徒の肩をトントンと叩いて私のことを紹介した。

「えっ、可愛い!ピンクの髪の毛♡」

授業中だったので、その声は普通に教室中に鳴り響く。

すると、その輪が教室中に広まっていってちょっとした騒ぎになった。

「本当だ、鮮やかなピンク髪!めっちゃ可愛いー!」

「てか髪だけじゃなくて顔も可愛い!」

ザワザワザワ...。

「すいません。すいません。君たちもちゃんと授業受けなよ。すいません、邪魔しちゃって」

「あれ誰のお母さん?」

「お母さんじゃないでしょ、どう考えても。誰かのお姉ちゃんでしょ」

顔が真っ赤になる。そうだ、当たり前すぎて忘れてたけど、私は目立つ髪色をしているんだった。

「本当に来たのかよババア!」

教室の窓側の一番後ろに座ってるのが、うかの弟であるいたずらっ子のふうだ。

「誰がババアよ。まだ高校一年生。あんた他の子に同じようなこと言ってるんじゃないでしょうね?」

「同い年に言うわけないじゃん。同い年に言ったら俺まで自動的にジジイってことになるんだから」

そうすると、ふうはこのやりとりに飽きたような表情を見せて、自分の机の中をまさぐり始める。

そしてその中から適当なプリントを見つけて、それを無造作に丸め始めた。

すると、隣の席にいる親友のそらくんの机の上に向かって、丸めたプリントを投げた。

そうするとそれに応戦して、そら君まで同じことをし始めた。

「やめなよ。先生に怒られるよ?」

「新しい遊びにはまってるんだよ。邪魔すんな!」

「何よ、新しい遊びって?」

「筆記用具落とし」

「はあ?怒られるの怖くないの?」

「違うよ、正義先生に怒られるかもしれないっていう、そのスリルがいいんじゃん」

パンッ!!

私と喋っていたからか、ふうは手元が来るって丸めたプリントをそら君の顔面に当てた。

そしてそら君もどうやらふうと似たような性格をしていたようで、お返しとばかりに丸めたプリントをふうに投げ返した。

「コラ、そこ何やってる!!!!!」

一気に教室が静まり返った。

他にも教室のうしろに親御さんはたくさんいたのだけど、正義先生はそういったことを一切構うことなく、私の弟とその親友を叱責した。

私はこの態度を見て、この先生はなかなか信頼できるなと感心していた。

他の親御さんたちの中からそれに対して何か文句を言う人が現れるんじゃないかと少しヒヤヒヤしたけれど、そういったやり取りを邪魔することなくただ見守るだけだった。

「全く、昭和の時代だったら廊下に立たせていたところだぞ」

正義先生は重いため息をつきながら腰に手を当てている。ズボンのポケットの口元がチョークの粉で汚れているので、こういったやりとりが日常茶飯事なのが察せられて、正義先生の苦労を思うのと同時にちょっと申し訳ない気持ちになった。

そう言ってまた授業を再開した。

「だから言ったじゃん」

ふうもそら君も一瞬だけ反省したそぶりを見せたけれど、また二人でクスクス笑い始めて、説教されたのもなんだか楽しんでいる様子だったので呆れた。

すると次の瞬間、私は驚愕した。

みんな授業に集中していたから気づかなかったようだけれど、私はふと窓越しに空を見上げた。

そうすると、異様に近かったあの白昼の満月が真っ赤に染まっていて、充血した瞳のように空に浮かんでいたのだった。

「え、何あれ?」

そして白昼の満月と福村第二小学校の間に、黒い点が何か染みのように浮かんでいることに気づいた。

私の今の独り言はこの教室の誰にも気づかれず、私自身しか聞こえていなかったようだ。

けれど、私の様子がどこかおかしいと気づいた弟が、私の顔を覗き込もうとしていた。

「どうしたの、ババア?」

「ババアじゃないけどね。なんか白昼の満月が赤いんだけど。ほら」

弟に対して指でそれを示したら、また正義先生に怒られるのも構わず机から体を投げ出してぐっと窓際に体を寄せると、弟は空を見上げた」。

「本当だ。てか変なことを言うようだけどさ、空になんかいない?鳥じゃない何かが動いているような気がする」

「コラッッ!!!またか、神楽坂ァ!!何度言ったらわかるんだ」

「いや、筆記用具落としはもう飽きたよ。それよりも空に何かいる」


「何を言ってるんだ、お前は。宇宙人でもいるって言うのか」


正義先生が呆れるのも分かるけど、弟の言う通り本当に空に何かがいた」

「何か空からギャーギャー聞こえない?揉めてるような声っていうか、お祭り騒ぎをしている声っていうか。あれは何だろう?」



「どけよお前!!空を飛びにくいだろ!!」

「お前こそどけよ。飛びにくいのはこっちだよ!!」

「まず、あそこに行こうか。どれくらい人間を狩れるか勝負だ」

「へっ、お前が負けたら火あぶりの罰ゲームな」



真っ赤な満月がある方角には、地獄のような光景が広がっていた。

真っ赤に染まった白昼の満月が放つ月光に乗りながら、羽根が生えたそいつらはうか達のいる教室に少しずつ近づいてくる。

そして思ったよりも早く、羽根が生えたそいつらは福村第二小学校の校舎に到達したのだった。

ヒューーーーーーーン・・・・・

「オラオラオラオラァ!!アンノウン・サクリファイス様と終焉の惡魔たちが昇天~~ッッッ!!!」

ガシャーンッッッ!!!!!!

「「「うわぁぁぁぁぁぁあーーーーー!!!」」」

「「キャーーーッッッ!!!!」」

大量にいる終焉の惡魔たちが静まり返った教室に、物凄い勢いと共になだれ込んできて、窓ガラスは粉々に砕け暴風とともに襲いかかってきた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>

ラララキヲ
ファンタジー
 フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。  それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。  彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。  そしてフライアルド聖国の歴史は動く。  『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……  神「プンスコ(`3´)」 !!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!! ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇ちょっと【恋愛】もあるよ! ◇なろうにも上げてます。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

(改定版)婚約破棄はいいですよ?ただ…貴方達に言いたいことがある方々がおられるみたいなので、それをしっかり聞いて下さいね?

水江 蓮
ファンタジー
「ここまでの悪事を働いたアリア・ウィンター公爵令嬢との婚約を破棄し、国外追放とする!!」 ここは裁判所。 今日は沢山の傍聴人が来てくださってます。 さて、罪状について私は全く関係しておりませんが折角なのでしっかり話し合いしましょう? 私はここに裁かれる為に来た訳ではないのです。 本当に裁かれるべき人達? 試してお待ちください…。

この野菜は悪役令嬢がつくりました!

真鳥カノ
ファンタジー
幼い頃から聖女候補として育った公爵令嬢レティシアは、婚約者である王子から突然、婚約破棄を宣言される。 花や植物に『恵み』を与えるはずの聖女なのに、何故か花を枯らしてしまったレティシアは「偽聖女」とまで呼ばれ、どん底に落ちる。 だけどレティシアの力には秘密があって……? せっかくだからのんびり花や野菜でも育てようとするレティシアは、どこでもやらかす……! レティシアの力を巡って動き出す陰謀……? 色々起こっているけれど、私は今日も野菜を作ったり食べたり忙しい! 毎日2〜3回更新予定 だいたい6時30分、昼12時頃、18時頃のどこかで更新します!

聖女じゃない私の奇跡

あんど もあ
ファンタジー
田舎の農家に生まれた平民のクレアは、少しだけ聖魔法が使える。あくまでもほんの少し。 だが、その魔法で蝗害を防いだ事から「聖女ではないか」と王都から調査が来ることに。 「私は聖女じゃありません!」と言っても聞いてもらえず…。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから

渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。 朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。 「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」 「いや、理不尽!」 初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。 「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」 ※※※ 専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり) ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

婚約破棄は誰が為の

瀬織董李
ファンタジー
学園の卒業パーティーで起こった婚約破棄。 宣言した王太子は気付いていなかった。 この婚約破棄を誰よりも望んでいたのが、目の前の令嬢であることを…… 10話程度の予定。1話約千文字です 10/9日HOTランキング5位 10/10HOTランキング1位になりました! ありがとうございます!!

処理中です...