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第一章:幸せな世界
第十七話:『ギセラ』
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――俺が無人島に遭難した日の翌日。
「――痛ってぇな……」
カチコチに固まった砂浜に寝ていたせいで肩が凝ってるし、首が痛い。
俺は、ゆっくりと立ち上がり、火を起こすと、昨日余分に取っていた魚を火にくべる。
「………」
魚は相変わらず味がないが、今の俺に取っては千のご馳走より美味しい。
食べ終えると、速やかに火を消して、森の中に歩いていった。今日は、昨日島の中央に見つけた謎施設を探索するからだ。
「だれかいますかぁ……!?」
古びれた戸を叩いて中に誰かいないか確認する。
「いないみたいだな……」
中からは返事がなかった。しょうがなく俺はその戸を勢いよくこじ開け中に入る。
中は真っ暗の闇で、若干の腐臭がした。
「気持ち悪い……」
人の死体の一つや二つが転がってそうな雰囲気。歩くたびどこかでシトシトと雫が落ちる音がした。
――瞬間、俺の目の前を何かの影がよぎる。
「うぁおおお……」
反射的に後方に下がって顔を覆ってしまっていたが、良く見るとただのコウモリだった。
「本当心臓に悪い……」
こういうのは得意なはずだったのに……と思いながら、俺はこれまでよりも慎重に狭い通路を歩く。
「扉だ」
しばらく歩いていると、木製の古びれた扉を見つけた。何で外見含め内装が石造りなのにここだけ木造りなんだと思いながらもその扉を思い切り蹴破って開ける。
「え?」
暗くて中は良く分からない。だが、一つだけ分かるのは、部屋の奥に人が十字の版に括り付けられていること。
「大丈夫か……!?」
俺は慌てて駆け寄り、その少女を拘束する器具を力ずくでこじ開け、倒れてきた少女を抱きかかえた。
土と傷にまみれ、一言で言ってしまえば不潔で老人のような白髪と貧相な体。
「だ、れ……?」
目覚めたのか重いまぶたを開け、弱々しく俺を見つめると、かすれた声で言った。
「俺は、ミツキだ。お前は?」
「わた、しは、ギセラ……」
「ギセラ?」
ギセラと言う名前からして純日本人では無いのだろう。おそらく、こうして日本語で俺と会話していることからこの子はハーフだ。
「うん、そう、だよ、ミツキ……」
喋るのが辛いのか、言葉を紡ぐごとに声が掠れていく。次第に細く浮かべた笑みも消えていって……
「――とりあえず外に出さないと……!!」
こんな暗い空間で治療するのは無理だし、こんな目にあっていたのだ、奥に誰かがいて、ギセラを潰しに来るかもしれない。
◇
「固くてゴメンな……」
俺はギセラを、昨日作った葉っぱのベッドに横たえる。そして、布に海水を染み込ませたものをギセラの額に乗せた。
「なんだったんだ……?」
こんな小さな島の廃れた施設の中にこんな痛い気な少女が括り付けられていた。
これはただ事では無いと俺は確信した。
「――おはよう……」
日が落ち、辺りがすっかりと暗くなった頃、ギセラは目を覚ました。
「おう、良かった……!!」
「良かった?」
俺が感激をしているとギセラは首を傾げ、不思議そうにする。
「お前、ずっとはぁはぁ言ってうなされたからな……」
「えぇぇ……」
今度はギセラが驚いたのか、病み上がりにも関わらず、ぴょんっと飛び上がる。
「……?」
リアクションとして飛び上がるには少し高すぎる気がした。
「まぁ良いか、ほいっ、これ食え……」
俺は見間違いだったと飲み込み、火を炊いて焼いていた串魚を手渡す。
「わ――いっ!!」
俺から受け取ると、ギセラは一目散に魚にかぶりついた。
「良い食いっぷりだな……」
この光景には既視感がある。確か、俺をよく殴るあの……カレーが好きな……
「ご馳走様でした……!!」
結局ギセラは五本平らげ、満腹になったのか、その場にの垂れ込んでいる。
「ねぇ、ミツキ……何でこんな島に来たの……?」
俺もギセラに習い横にの垂れ込むと、俺の方を向いたギセラが真剣な目で尋ねてきた。
「別に理由なんて無いさ、ただ迷っただけ……」
「ミツキって日本に住んでいるんだよね?」
「うん」
「でもここ、大西洋の孤島なんだけど……迷っただけ? 大丈夫?」
ギセラ曰くこの島は日本の真裏に位置する孤島らしい。何でこんな所に来てしまったんだと改めて不思議に思いながらも、今度は俺がギセラに問いかけた。
「お前だって、あんな状態だっただろう?」
「うんそうだよ……!!」
「妙に明るいな、で、理由は分かるのか?」
こんな孤島で十字架に縛られるのは、重大な詰みを犯した罪人ぐらいだろう。まぁ、ギセラがそんなことをしたとは思えないけど……
「わからない……!!」
「早いな……!!」
そんな俺の思いとは裏腹にギセラは「わからない……!!」と満面な笑みで一蹴した。
「本当か?」
俺はギセラの目を凝視、真偽を見極めようとする。
「本当だよ……!!」
ギセラの目は笑みを浮かべながらも奥に炎が宿っていて、嘘を言っているようではなかった。
「分かった、信じる……」
「ありがと……!!」
「――痛ってぇな……」
カチコチに固まった砂浜に寝ていたせいで肩が凝ってるし、首が痛い。
俺は、ゆっくりと立ち上がり、火を起こすと、昨日余分に取っていた魚を火にくべる。
「………」
魚は相変わらず味がないが、今の俺に取っては千のご馳走より美味しい。
食べ終えると、速やかに火を消して、森の中に歩いていった。今日は、昨日島の中央に見つけた謎施設を探索するからだ。
「だれかいますかぁ……!?」
古びれた戸を叩いて中に誰かいないか確認する。
「いないみたいだな……」
中からは返事がなかった。しょうがなく俺はその戸を勢いよくこじ開け中に入る。
中は真っ暗の闇で、若干の腐臭がした。
「気持ち悪い……」
人の死体の一つや二つが転がってそうな雰囲気。歩くたびどこかでシトシトと雫が落ちる音がした。
――瞬間、俺の目の前を何かの影がよぎる。
「うぁおおお……」
反射的に後方に下がって顔を覆ってしまっていたが、良く見るとただのコウモリだった。
「本当心臓に悪い……」
こういうのは得意なはずだったのに……と思いながら、俺はこれまでよりも慎重に狭い通路を歩く。
「扉だ」
しばらく歩いていると、木製の古びれた扉を見つけた。何で外見含め内装が石造りなのにここだけ木造りなんだと思いながらもその扉を思い切り蹴破って開ける。
「え?」
暗くて中は良く分からない。だが、一つだけ分かるのは、部屋の奥に人が十字の版に括り付けられていること。
「大丈夫か……!?」
俺は慌てて駆け寄り、その少女を拘束する器具を力ずくでこじ開け、倒れてきた少女を抱きかかえた。
土と傷にまみれ、一言で言ってしまえば不潔で老人のような白髪と貧相な体。
「だ、れ……?」
目覚めたのか重いまぶたを開け、弱々しく俺を見つめると、かすれた声で言った。
「俺は、ミツキだ。お前は?」
「わた、しは、ギセラ……」
「ギセラ?」
ギセラと言う名前からして純日本人では無いのだろう。おそらく、こうして日本語で俺と会話していることからこの子はハーフだ。
「うん、そう、だよ、ミツキ……」
喋るのが辛いのか、言葉を紡ぐごとに声が掠れていく。次第に細く浮かべた笑みも消えていって……
「――とりあえず外に出さないと……!!」
こんな暗い空間で治療するのは無理だし、こんな目にあっていたのだ、奥に誰かがいて、ギセラを潰しに来るかもしれない。
◇
「固くてゴメンな……」
俺はギセラを、昨日作った葉っぱのベッドに横たえる。そして、布に海水を染み込ませたものをギセラの額に乗せた。
「なんだったんだ……?」
こんな小さな島の廃れた施設の中にこんな痛い気な少女が括り付けられていた。
これはただ事では無いと俺は確信した。
「――おはよう……」
日が落ち、辺りがすっかりと暗くなった頃、ギセラは目を覚ました。
「おう、良かった……!!」
「良かった?」
俺が感激をしているとギセラは首を傾げ、不思議そうにする。
「お前、ずっとはぁはぁ言ってうなされたからな……」
「えぇぇ……」
今度はギセラが驚いたのか、病み上がりにも関わらず、ぴょんっと飛び上がる。
「……?」
リアクションとして飛び上がるには少し高すぎる気がした。
「まぁ良いか、ほいっ、これ食え……」
俺は見間違いだったと飲み込み、火を炊いて焼いていた串魚を手渡す。
「わ――いっ!!」
俺から受け取ると、ギセラは一目散に魚にかぶりついた。
「良い食いっぷりだな……」
この光景には既視感がある。確か、俺をよく殴るあの……カレーが好きな……
「ご馳走様でした……!!」
結局ギセラは五本平らげ、満腹になったのか、その場にの垂れ込んでいる。
「ねぇ、ミツキ……何でこんな島に来たの……?」
俺もギセラに習い横にの垂れ込むと、俺の方を向いたギセラが真剣な目で尋ねてきた。
「別に理由なんて無いさ、ただ迷っただけ……」
「ミツキって日本に住んでいるんだよね?」
「うん」
「でもここ、大西洋の孤島なんだけど……迷っただけ? 大丈夫?」
ギセラ曰くこの島は日本の真裏に位置する孤島らしい。何でこんな所に来てしまったんだと改めて不思議に思いながらも、今度は俺がギセラに問いかけた。
「お前だって、あんな状態だっただろう?」
「うんそうだよ……!!」
「妙に明るいな、で、理由は分かるのか?」
こんな孤島で十字架に縛られるのは、重大な詰みを犯した罪人ぐらいだろう。まぁ、ギセラがそんなことをしたとは思えないけど……
「わからない……!!」
「早いな……!!」
そんな俺の思いとは裏腹にギセラは「わからない……!!」と満面な笑みで一蹴した。
「本当か?」
俺はギセラの目を凝視、真偽を見極めようとする。
「本当だよ……!!」
ギセラの目は笑みを浮かべながらも奥に炎が宿っていて、嘘を言っているようではなかった。
「分かった、信じる……」
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