皆平等に努力が報われる幸せな世界。

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第一章:幸せな世界

第十八話:『改造人間』……

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――俺が島の中央にある謎施設に行くと、十字架に縛られた少女を見つけた。
少女は自分を『ギセラ』と言っていて、何故自分があんな状態だったか覚えていないらしい。



「――ミツキ、もう一回!!」

「もう三十五回目だぞ?」

 俺は、砂浜でギセラとマルバツをしていた。

「ほいっ」

 手に持っていた木の棒で、斜めラインに◯を三つ揃える。

「なんでえ……!!」

 負けて悔しいのかその場に地団駄を踏み、俺を凝視する。

「なあ、そろそろ辞めないか……?」

 三十五回やって俺の全勝。ギセラは一勝も出来ていない。

「やだ……」

「強情だな……」
 
 フグのように頬を大きく膨らませ、やだと騒ぐ。

「本当にあと一回だけだからな……」

「わーい……!!」

 俺は、さっき書いた線を足で消して、新しいのを書く。


――瞬間、森の中に何かが爆破されたような轟音が響き渡る。

「何だ……?」 

 その影響で森の小動物たちは一斉に鳴きだし、森から飛び出してきた。

「可愛い……!!」

 リスや小鳥がたくさん出てきたから動物園だと、勘違いしているのか、ギセラは目を光らせている。

「そんなこと言っている場合か……!!」

 自然発火にしては規模が大きすぎるし、いきなりだし、ってことでこれは人為的なにかだ。

「行くぞ……!!」

 俺はギセラの手を引き森の中へと走る。

 あそこには、こいつの何かを知っている誰かがいるのかもしれないと思って。



「――あら……?」

 爆発が起きた場所、あの謎施設に行くと、建物の上に白衣を着た長身の女がいた。

「迷っちゃたのかしら? 可哀想に……。って、その子は……」

 女はギセラを見るや否血相を変え、結構な高さがある建物を軽快に飛び降り、俺に詰め寄って、顔を凝視する。

「――あなた、関係者?」

 俺の目を一瞬も揺れることなく見つける女。その目には瞳孔が座っていて、下手に動けば殺されるとまで予測させた。

「なんのことですか……?」

 冷汗を垂れ流し、大きくつばを飲み込んで、そう答える。

「――こんな、ほとんど地図にも乗っていないような島に来て無関係だと?」

 女にとって真裏に住んでいるはずの日本人が、わざわざこんな島に、そして、ギセラと一緒にいるなんて、どう考えても関係者だと思わざるを得なかった。

「はい」

 そう言われても、ギセラと会ったのは偶然だし、その関係者とやらも良くわからない。

「そう」

 分かってくれたのか、俺から視線を逸らす。

「でもね」

 女はそう低く呟き、俺から少し距離を取ると、

「ギセラ、『改造人間』と関わった自体であなたは十分に関係者だと思うの」

 女は片手を顔に触れさせながら、不気味な笑みを浮かべた。

「『改造人間』?」

 『改造人間』といえば、俺達含め、あの薬を飲んだ日本人も関節的には同じだろうと思いながらも、俺は、ふと、ある場面を思い出す。

 それは、喜んで飛び跳ねた時。常人にはありえないようなジャンプ力。三メートルは飛んでいた。いつも空飛んだり、ハルヒと空中戦とかしているせいで完全に感覚を失っていた。

「ええ。我が組織――おっと、言っちゃだめだったわね……。まぁ我が組織が作ったものよ……」

 俺はこの光景を前にも目にしたことがある。それは学校で戦った時。蜘蛛の男は、自分が所属する組織名を暴露しようとして、何者かによって消された。

「お、お前はあの蜘蛛男と関係あるのか……?」

「蜘蛛男? あぁ、あいつね……」

 俺の予想通り、女はあの蜘蛛男を知っているようで、俺がその名を言うと頷いた。

「あいつは高校生に負けて、おまけに禁忌に触れて、消されたって聞いていたけど……まさかあなたが?」

 女は合点が行ったのか、手をポンと叩いた。

「なら、なおさら無関係では無いじゃない……」

 女はそう言うと、ファイティングポーズを取り、今にも足を踏み出そうとしていた。

「ギセラ、木の陰に隠れていろ……!!」

 俺の腰にしがみついていたギセラにそう指示すると、ギセラは「うん」と一言だけ言って、森の中に逃げていった。


「まぁ、せめてもの情けで動かなければ傷まないよう一瞬で殺ってあげるわよ?」

 同時に女はその場から飛び出し、俺の腹部に回し蹴りを放った。

「生憎、死んでやる義理は無いんでね……」

 俺はその蹴りを手をクロスさせて受けると同時に、その足を掴み、ハンマー投げのようにぶん回して、謎施設の壁に向かって思い切り投げつけた。

「ふん、この程度」

 女は壁にぶつかる直前、体をくの字にし、俺が良く使う『空中歩行』と同じ要領で空間を蹴って、なんとか踏みこたえた。
 
 そして、そのまま上空に飛び上がると、俺に向かって突進してきた。

「真っ直ぐ来るだけじゃ、当たるわけ無いだろう……」

 そんな女行動を見て俺は思わず笑みを浮かべた。イノシシやハルヒじゃあるまいし……。

「どうかな?」

「――うぁ……!!」

 女は丁度太陽の正面に立っていて、突進すると同時に太陽が徐々に現れ、女の攻撃を避けようと見る俺の目を眩ませた。

 俺は一か八か後ろに大きく飛び、体制を整えようとする。しかし、

「――遅いっ!!」

 そんな暇を与えてくれるはずもなく、女は俺の腹部に強烈な掌底を喰らわせた。

「ぐぁ――っ!!」

 続いて、後頭部への肘打ち、顔面へのヒザ蹴り。俺は、それらの攻撃をノーガードで受けた。
 
 俺の体は、攻撃によって宙を舞い、さっき俺がやったのと同じように謎施設の壁に向かって飛ばされていた。

「ぼ、『防核』……」

 壁に当たる直前、なんとか『防核』を展開した。

「はぁ、はぁ、やってくれるじゃねえか……」

 息を荒くし、体を巡る強烈な痛みに耐えながら立ち、女を睨む。そして、

「『風斬』!!」

 俺は女の全方位に風の刃を出現させた。当たれば人は粉々になるこの技。致命傷には至らないと思うが、いくらあの女とは言えども当たれば無傷ではないだろう。

「へぇ、なるほど……風を操ったのね……」

 女は感心したように呟くと同時、手刀を前に出し円を描く。

「あらあら、簡単に消えちゃったわ……?」

 女が手刀を振りかざすと、風の刃は相殺された様に消えてしまった。しかし、

「俺の狙いはそこではない」

 はなから俺は『風斬』でダメージを与える気はなかった。ここに出来た隙きこそ真の狙いだ。

「ま……!」

 俺は一瞬のうちに女に詰め寄り、その手を掴んで、足を払って、女を転ばせた。そして、そのまま馬乗りになり、
女の顔のすぐ横、出現させておいた風の剣を突き刺した。

「――ぐぅ……」

 女は必死抵抗して拘束を解こうとするが、俺は腕に力を込め、足を地面にめり込ませて抑え込んだ。

「は、離せぇ……!!」

「眠ってろ……」

 俺は暴れる女の後頭部を手刀で叩いて女を気絶させた。



                         



 




 




 

 

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