“彼”

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60.笑えないやつ

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『月に一度、職場に業者さんが来る。』
それは間違いないけれど、“大体月末頃”と日にちが確実に決まっているわけではなかった。

それもありつつ仕事も忙しかったので、私はすっかり油断していた。


それは月末のお昼過ぎだった。

「○○(私の上司)さ~ん!△△(駿二の業種)の方がいらっしゃいました~。」

と、廊下から事務の方からの案内が…!


その時ちょうど私も上司と話をしていたので、意図していない形で駿二と対面することになってしまった。

当然心の準備も出来ておらず。
でも私に用事があるわけではないので、変に話しかけずとにかく今している仕事をこなした。
お互い間違いなく認識はしているけれど。


すると、上司から声を掛けられた。

上司「礼、東さん同じ高校らしいけど知ってた?」

私「えっ…あ、はい…知ってますけど…」

上司「東さん、野球部だったんだってね!礼の元彼もじゃなかった?あ、もしかしてそれが東さんとか?笑」


…上司、それ笑えないやつです。
大当たりです。

とはもちろん言えず。

「ちょっと何言ってるんですか~!笑」
と、やんわり誤魔化した。


世間話好きな上司。
「彼氏はいるの?」なんて恋愛話もしょっちゅうだった。
その流れでいつだったか、高校時代の彼が野球部だったことも話してしまっていたのだ。
しまった!と思っても時すでに遅し。


ただ、勘の良い上司なので誤魔化しきれてない感じはしたけれど、その場でそれ以上は突っ込んでこなかった。

私としてはとてつもなく気まずかったけれど、駿二は特に気にする様子も見られず、営業マンらしくさらっと帰っていった。


駿二が帰ったあと、上司にこそっと「あれ、やっぱり元彼でしょ?」と聞かれた。

「…すみません」と言うと、やっぱりね!と言わんばかりの笑顔で背中を叩かれた。





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