記録の図書館

黒歴史制作者

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時系列的に未来の話・続

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「これでこの物語は終わりよ。これで良かったの?」
「……。ありがとうございます。これは、知りたくなかったという苦情はありですか?」
「視点が変わるということはそうなる可能性は高い。認めることができずにクレームをするのなら受け付けているよ。検討はする」

 少年は自分にお辞儀をしてこの場を離れる。自分は先程やり残したことを達成するためにカウンターの方へ向かった。

「館長、何で此処にいるのですか。有給を消費していると聞いているのですが」
「有給を使って図書館に来ているの。それくらいは自由の範囲。それより何で部外者が此処に居るのか聞いてもいい?」

 桜色の髪を持つ少女は廊下を歩いていた。そして自分に対してその様な言葉をかける。溜息を吐きながら自分は少女をじとっと睨む。

「嫌ですね。暇潰しですよ、ここなら持ってこいじゃないですか」
「あなたのせいで一回この図書館燃えてるんだけど。あなたその時も同じことを言っていたよ」
「そうでしたか?  ……まあ、暇なんですよ。其方の好みで良いので教えてくれませんかね」
「……自分に対してなら黙認する。流石に次はなしで」

 自分が案内した先は、先程少年を案内した部屋を通り過ぎて十分程歩いた部屋だった。その部屋は歴史として綴られている様な有名であり、一般的に広まっている本が揃う棚が多い。

「何か良いのあったかな。あなたが求めるのは?」
「暇を潰せるものならなんでも良いですよ。一時間程滞在するので、その程度でお願いします」
「……毎度ながら、あなたは未来を見ているの?  私の場合は此処に置いてある物は大概読んでいるけど……あなたの様にすぐ出てくる訳ではないよ」
「未来なんて私が分かる訳がないでしょう?  せいぜい今までの行動から予測することだけですよ」

 本棚を少し見渡してから、自分はある本を取り出す。その本の表紙は火で燃えていたかの様に黒く染まっていた。表紙の文字を確認すると目的の物で合っていたので少女に渡す。

「あなたは別にこの文字でも困らないよね?」
「まあ、喫茶店の奥にある図書室でもありましたから無いとは思ってませんでしたが……」
「何で読めるのかということなら、その言語が定義されないと定義した御方のところに行った。流石に、自分が読めないとなると困るから頼んだ」
「あの人、気づいてないと思うんですが……」
「それこそあなたが教えてあげればいいのでは」

 話を自分としながらも、少女は表紙を開けて文字を目で追っている。

 話題が尽きて自分達の間に静寂が訪れる。そうして、自分は何も言わずにその場を立ち去った。
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