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箱の中身
しおりを挟む箱の中身
その箱は木で出来ている。サイズは手の平くらいであり、中には何が入っているのだろうか。
「……なにこれ?」
「さあ……」
二人の少女は通学路を歩いている最中にその箱を見つける。その箱は夕日に照らされてほんのり赤く染まっていた。
秋も深まり、気温も落ち着いてきたある日のことである。部活の大会や学園祭のせいで一緒に帰るということは少なくなっていて、今日は珍しく休みが重なった日であった。
「まあ、見知らぬ物には手を出すなというしね!」
少女の一人は短髪であり、活発な印象を受ける。明るい声を出し三つ編みで眼鏡を掛けた少女の手を掴む。
「えっ」
突然掴まれたことで驚いた少女は目を見開く。短髪の少女は驚いていることに気づいていないのか、掴んだ手を引いてその場を離れ様とする。その箱は少女二人の様子に関係なく、ただアスファルトの上に佇んでいる。赤みを帯びていたその箱は少女が問答している間にも黒く染まっていく。
「ね、ねえ……」
「なに。どうしたの?」
三つ編みの少女は手を引かれているが足はその場から動くことはない。逆に、意を決した様子で明るい少女へ声をかける。明るく笑顔であるが少し返事が雑である。その場から動く様子のない三つ編みの少女に嫌気が差した様子だ。
「この箱、中身が気になるんだけど……」
「開けるの? 中に何が入っているか分からないよ。もしかしたら開けた瞬間に爆発するかも知れないんだよ?」
三つ編みの少女が発した言葉は、明るい少女が想像している言葉ではなかった。先程から動く様子がなかったため差していた嫌気もあって、少しきつめに返事をしてしまう。言っているセリフは普段なら冗談でも通じるものだ。だが、きつめに言葉を返してしまったせいで、それは責める様な声色になってしまう。三つ編みの少女も責められたと受け取ったため、少し怯む。
「で、でも気になるんだもん」
三つ編みの少女が言ったことを聞いて、明るい少女は掴んでいた手を自分の額に置く。そして、静寂が訪れる。三つ編みの少女は気になると言うが、自分で開ける勇気は無く明るい少女が開けてくれると期待している。期待されているということは明るい少女もまた、考えているときには分かっていた。三つ編みの少女は自分から行動はせずに明るい少女にやらせることが多い。普段からつい構ってしまい自分の時間が奪われることへのお返しの様なものだ。
「え~。開けるのぉ。確かに気になるけどさあ」
「開けてみようよ。わざわざ私達が一緒に帰ってるときにあるんだよ。運命みたいじゃん」
普段とは違い、饒舌に話す三つ編みの少女に押された様子だ。流される様に明るい少女は箱を拾う。箱を落とさない様に掴み、外側をくるくると回して見る。中には何も入っていないと言いたくなる程、軽くて音もしない。近くで見ても何の変哲もないただの箱にしか見えない。これがポツンと歩道の真ん中に落ちていたのだ。違和感しか覚えない。
「よし。開けてみようか!」
「やった」
そして、明るい少女は蓋に手をかける。そして蓋をゆっくりと開く。開け切ってから中を覗き込むとそこには
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