満月にお願いをしてはいけない

コユメ

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お菓子争奪

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先月の満月の日の事を思い出した。
あの日は丹下のマンションに着くなり

「はい!これに着替えて!」

渡された白いワンピースを見て

「何だよ!これ!」

「ワンピースだよ?知らない?」

「知ってるわ!何で俺がこれを着なきゃいけないんだよ!」

「それは!それ着た君を撮りたいから!」

「!」

「ほら!いい加減覚悟決めなよハル!モデルやるって決めたんならグダグダ言わない!ほら着替えて来なよ!」

丹下から服をひったくり俺達の部屋に入り閉まっていたカーテンを開けると丸い満月が見えた。
一瞬めまいのような感覚がしてふらつく

「つっ!」

そしてゆっくりと顔を上げるとなんとも言えない感覚がフワフワとしているような重たい感じが入り交じる

「はぁ、慣れないなこの感じ」

ため息を着きながらワンピースに袖を通した。
一通り着替えて戻ると

「うわ!ハル綺麗だよ!」

「うれしくねー」

「うん!うん!やっぱりハル君は白が良く似合うと思ってたんだよね!」

「……。」

「ほら、ハルふて腐れない!」

「それじゃあ!ハル君窓に座ってくれる?」

俺は諦め窓に座ると、そのまま撮影が始まった。
何枚か撮ると

「うん!もう良いよ!」

と言われ

「これ脱いで良いか?」

「えー?もう脱いじゃうの?綺麗なのに!」

「聖…お前な!」

「あーはい!はい!休憩しよ!」

と丹下が間に入り俺はもう面倒臭くそのままソファに座ると

「ハルお行儀悪い…」

「知らねーよ!」

もう!と怒りながら聖も横に座り

「そもそも何で僕迄来ないといけないの!」

「何言ってんだよ文句は丹下に言えよ」

そうなのだモデルの話を承諾したとたん丹下の行動は早かった。
直ぐに母さん達に会いに行き色々したらしい詳しい事はしらないけど母さんが

「遥?泊まりのバイトするのは構わないけど丹下さんに迷惑かけてはダメよ?」

と言われた。

「は?」

「まぁ聖ちゃんも一緒だから大丈夫よね」

「ん?…おう!聖と一緒だから大丈夫!」

そう言うと母さんは納得してくれた。
そして今になっても聖が

「何で僕までハルと一緒にバイトって話になってるの?」

俺は

「いいじゃねーか?バイト代出るんだから」

とそれをいつまでもグチグチ言うのを無視してると丹下がニコニコと

「そうだ!2人共お腹空いてない?ご飯食べていかない?用意するよ?」

「いや僕達はこれで帰りますよ、さ、ハル帰ろ?」

聖が言うと丹下は残念そうな顔をした。
ソファから立ち上がると聖のスマホが鳴った。
取り出して見ると

「あれ、母さんからだ。なんだろう?」

「なんだって?」

「うわー!母さん町内会の集まりだから晩御飯は勝手に食べてだって!」

「ふうん」

それを聞いた丹下が

「だったら食べていきなよ!」

聖を見ると

「それじゃあ、御ち走になります。」

「うんうん!」

そう言うと丹下は嬉しそうにキッチンに消えて行った。

「あ!丹下さん僕達も何か手伝う事が有れば!」

そう言うとキッチンから

「いいから座ってて!」

と言われ聖がキッチンに行こうとすると止められ戻ってきた。
そしてソファに座ろうとして足元に

「あれ?こんな所に箱?」

何だろうと箱を開けて見ると、見るからに高級そうなお菓子が

「ゴクリ……。美味しそうだね」

「食べようぜ!」

1つを摘まみ一口食べると

「!」

うま!と聖にも食べてみろと言うと

「いいのかな?!うま!今まで食べた事が無い深い味わい!そして鼻から抜けるフルーツのような香り!これは!美味しいね」

「だろ?」

と2人無言で高級菓子をほとんど食べてしまった。

「…。」

目でどうする?と聖に聞くと
口に出さず、もうここまで食べちゃったら残すのも何だしと2人で美味しく食べようと
最後の一口を食べて居る時

「お待たせ!」

と料理を持った丹下がテーブルの惨状を見て

「そ、それは!ネットで半年待ちでようやく届いた!チョコ!」

膝を着いた丹下に
聖と2人しまったと思ったが聖が

「丹下さんこんな所に高級なお菓子を置いてはダメですよ!」

とたしなめていた。
俺もうんうんと頷き

「そうだよな!あんな所に置いてあったら食われるぞ!」

恨めしそうな顔で

「食べたの君達なのに何で私が悪い感じなの!唯一の楽しみだったのに!」

どうやらこの高級菓子は丹下の楽しみらしい

「だったら俺達にわからない様にしとかないと!俺達腹減ったら食っちまうから」

聖と2人ニヤリと笑うと丹下は悔しそうな顔をした。

「ううー!」

これが後に続くお菓子争奪戦の始まりだった。
そして暗黙のルールが出来た。

丹下は俺達に見つからないようにお菓子を隠す。

でも見つかってしまったら俺達が食べる

食べられたお菓子に付いて丹下は文句を言わない

お菓子は丹下が居る時に探すと






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