アオのセカイ

コユメ

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舞台当日がやって来た。
洗濯場に食堂から持ってきた椅子やらシートを敷き準備をしていると待ちきれないとばかりに人が集まりだし洗濯場は人だかりになっていた。
しまいには、ところ何処で飲んだり食べたりと宴会場さながらだ。
その光景に圧倒されていると見かねたククとココが

「青!ぼうっとしてないで手伝えよ!」

「そうだよ!手伝え!」

慌てて

「ごめん!こんなに人が集まるんだね」

感心したように言うと2人は呆れた様に

「何いってんだよ!俺達の公演は結構人気なんだぞ、なあココ?」

「ああ、あんな性格が悪くても顔が良いお陰で皆騙されてくれて……あ!」

ココがしまったと顔を背けたが遅かった。

「誰の性格が悪いのかしら?ねぇココ?」

サラサが綺麗な衣装で睨んでいた。
そしてココが嫌そうに

「うぇ、面倒なのに聞かれた。」

「あんたも何さっきからサボってんのよ!仕事もまともに出来ないの?」

こちらにお鉢が回って来た。
確かにと思い

「すいません直ぐやります。」

「はぁ?本当なんでこんな役立たずを入れたのかしら座長は?本当さっさと辞めて出て行って欲しいわ!」

サラサが自分にいい風に思っていないのは分かっていたけど、ここ迄言われないといけないものなんんだろうか?すると黙って聞いていたククとココが

「はぁ?何言ってんだよ!サラサだって全然仕事しないだろ!雑用は、ほぼ俺達にやらしてるくせに!なぁ?ココ」

「そうだよ全部俺達がやってるんだぞ!」

サラサが何か言おうと口を開いた瞬間

「サラサこんな所に居たのか?サクヤさんが呼んでる」

振り向くとライアスがいた。
サクヤは私を睨みながら足早に奥に消えた。
ホッとしていると、ライアスが困った顔をしながら

「ごめん」

えっ?とライアスの顔を見ると

「サラサが言う事は気にしないで欲しい」

ジッと見ると

「多分…悪気は無いんだ」

「あれで悪気が無いのなら?皆良い人ばかりになると思いませんか?」

言うとライアスと双子が吹き出した。

「ふ!確かに!この世善人ばっかだな!ココ?」

「そうだよな、クク俺達なんて聖人君子になるよ!アハハ!青お前面白いな!」

ライアスも肩を振わせながら笑っている。ひとしきり笑っていると座長に見つかり雷を落とされ皆持ち場に着き仕事をした。
演目は人気と言われる少女と竜の話だった。
劇が終わると盛大な拍手が、それを聞いて
色々あったけど無事初日を迎える事が出来たと感慨に耽った。



その夜皆で食堂で、ご飯を食べていると

「皆さん、こんばんわ」

とフユリとリューイがやって来た。
リューイは私にこっちに気付くと軽く手を上げて挨拶してきた。
それに頭を下げると今度はフユリとは目が合った。
何か言われるかと思ったがそんな事も無くホッとしているとフユリは座長に向かい

「座長、公演お疲れ様です。村の者達も大変喜んでいました。引き続き最終日まで宜しくお願いします。」

と頭を下げた。
座長は頷き

「ああ、こちらとしても精一杯努めさせてもらうよ。さてもう堅苦しい挨拶はもういいから、あんた達も一緒にどうだい?」

フユリとリューイは座長の言葉に頷き

「では、お邪魔させていただきます」

と言い2人は何故か自分の横にフユリとリューイが座った。

「‥‥‥‥。」

何で‥‥左右に座るのか?だったらボタン達が居る方に座れば良かった。誰も居ない席を見てラッキーと座ったのが運の尽きだった。
でも座長の方にも席は空いてるのに凄く居心地が悪い‥
それに皆の不思議そうな空気も気まずい‥‥そっと席を移動しようと立つと、ニッコリと笑ったリューイに腕を捕まれ座らされた。
こいつ確信犯かとリューイを睨むとリューイはニヤリと笑いフユリを見た。
フユリがニッコリと酒を取り出し

「飲みませんか?」

その言葉に双子がピクリと

「うわ!やったー!」

「酒だー!」

騒ぎ始めた。
座長はそんな双子を一喝しフユリに

「うるさいよ!あんた達!全く…良いのかい?それ良いやつだろ?そんなのあたし等に振る舞って後悔するんじゃないのかい?」

フユリは首を振り

「いえ、是非皆さんと飲みたいと思いまして」

座長が訝しげに

「何か今回はやたらに待遇が随分いいね、どうしたんだい?」

その言葉にフユリが不意にこっちを見た。その視線を無視していると

「恥ずかしい話ですが‥‥僕はこの村に先は無いと思っていました。ですが違っていると、むしろ恵まれていると教えて貰えました。その言葉にどれだけ助けられたか‥だからこれはお礼です。こんな物では、とても足り無いでしょうがどうぞ飲んで下さい」

「へぇ?お礼ね?誰が何を言ったんだろうね?」

意味ありげな座長の言葉と視線が痛かったが知らない振りをした。
そして、そこからは宴会になった。
みながお酒をどこからか持ち寄り食堂が宴会場のようになってしまった。
みんな大分お酒も進み、あれだけ騒いで居た双子も大分飲んだのか寝てしまっている。
これこの後どうするんだろう?
ライアスとスオウはまだ平気そうだし2人がどうにかするんだろうか。
流石にサクヤと子供達は早々に部屋に帰って行ったのに自分は逃げ遅れ酔っ払いに絡まれながら、どうにか頃合いを見計らい逃げ出す事に成功した。

「疲れた‥‥。ハァ‥」

ため息をつきながら自分の部屋のドアを開け

「一体何やってるんだろう‥‥私」

答えの無いつぶやきに

「分かってやっているのでは無いのか?」

ビクッと顔を上げると壁に寄りかかるように男がジッと自分を見ていた。
この声には聞き覚えがあった。

「その声…あの時の?何で?ここに‥‥」

身構えると男は

「大丈夫だ。何もしない」

本当なんだろうか男は無表情で一切感情は読み取れなかった。
半信半疑で

「‥‥だったら何の用?」

男は壁から身体を起こし近づいてきた。
咄嗟に逃げようとすると男は目の前でピタリと止まりそれ以上は近づかなかった。
それでも視線は外さずにいると男は

「お前は……なんなんだ?」


言っている意味が分からない。
答えられずにいると男は懐からナイフを取り出した。

「!」

ここで殺されるかと思ったが

「分からないなら‥それでもいい。」

手に持っていたナイフを私の目の前に置いた。
分からず男を見ると、

「死にたいのだろう?」

「‥‥‥‥。」

そのナイフで自分を刺せと言うのだろうかナイフをジッと見つめ震える手でナイフを掴もうと差し出した手を男に掴まれた。

「!」

咄嗟に掴まれた手を振り払おうとしたがビクともせずに双方睨み合った。
男は覗き込むように

「死ぬのが恐ろしくなったか?」

その言葉にギクリとした。
不安を押し殺すように男を睨みながら

「そんなんじゃない!」

そう言ったが本当は恐ろしいし怖い
前まではこんなんじゃ無かったのにどうしたんだろうか‥‥‥
私は誰かに必要とされたから…死ぬのが怖くなった?
まだこんな感情があったのか‥‥
それでもここには私の居場所何てないのに‥
でも‥‥やらないといけない事がある
震える手を握りしめ男に向かい

「‥‥まだ、死ねない」

男は何も言わない呆れているのかもしれないが、そんなのはどうでもいい

「お金を返さないといけないの、だから私まだ死ねない」

男は呆れた様子で腕を組み、

「それを返したら死ぬのか?」

そんなのは分からない、でもと顔を上げると

「で?いくらあるんだ?返す金は」

男の言葉に首をかしげ、そう言えば‥‥いくらなんだろうか‥‥?

「あれ?」

そう言えば、こちらの通貨の事全然分からない‥‥
いくら借金があるのかも聞いていない。
オロオロと慌てていると馬鹿にしたように男がため息を吐き

「はぁ、まあいい」

ナイフを拾い鞘に納め

「おい、これやる」

渡された。

「え?なんで?」

「ああ、護身用にでも持ってろ、そんな頭じゃ心配だしな」

ムッとしたが言い返せない

「それで、あなたはどうするの?」

どうやら今ここでは殺す気は無いのは分かるけど今後どうするのか気になった。

「俺の事はクロと呼べ。」

「‥‥クロ?」

「ああ」

そう言うだけ言ってクロは部屋から出て行ってしまった。

「何なの?」

呆気に取られていたが一人になった途端急に眠気が襲って来た。

「もう疲れた…ねむ」

そのままベッドに倒れ込むと、そのままいつの間にか眠ってしまっていた。

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