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欸(なげく)・波瑠
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私は島に着いたらすぐに彼が捨てられていた教会へと向かっていた。
其処に手懸かりがあるのではないかと思ったからだった。
其処は私が降りた港から程近かった。
(子供を預けるのに最適だと思ったのだろうか?)
私はそう思っていた。
『天にまします、我等の神よ……』
私は神の御前に跪いた。
『願わくは御名をあがめさせたまえ。み国を来たらさせたまえ。御心の天なるごとく、地にもなせたまえ。我らの日ようの糧を今日も与えたまえ。我らに罪をおかす者を、我らが許すごとく、我らを許したまえ。我らを心みあわせず、悪より救い出したまえ。国と力と栄とは、限りなくなんじもものなればなり。アーメン』
私は私の罪を請うために、神に祈りを捧げた。
『主よ……いま御前に立つ。まことと愛を分け合うため。主よ……いま二人を一つとなし、まこととしたまえこの誓いを……喜び悲しみ生きる限り。主よ……この二人を祝したまえ。愛する二人に溢れる喜び。造られた神をたたえて歌おう。互いに信じる心を実らせ、主の愛求めて正義に生きよう。試練の嵐に出会ったときこそ、互いに受け入れ、心を開こう。互いに引き裂く痛みの中でも、よみがえる愛を信じて祈ろう。ひとつのパンを分け合う二人は、心をあげつつ、主の愛歌おう』
それは……
神に……
主に捧げた結婚の誓いだった。
私は彼のいない祭壇で彼との愛を誓ったのだった。
『あれっ波瑠ちゃん』
チャペルの前で祈っていたら、神父様が現れた。
(ヤバい。聞かれてしまったかも知れない……)
私は急に恥ずかしくなって俯いた。
『あの……同級生が行方不明だと聞いて……』
私はシドロモドロになりながらも彼のことを持ち出していた。
でも神父さんも何も聞いていないと言った。
私は祭壇に向かって、神父様と一緒に彼の無事を祈ってから島を歩いていたのだった。
私は再び教会の前に来ていた。
思い出したことがあったからだ。
彼が何時もある曲を歌っていたことを思い出したからだった。
それは讃美歌のアメイジング・グレイスだった。
この曲が讃美歌だと知らなかった。
テレビドラマの主題歌だったり、コマーシャルソングだったりしていたから……
彼が教えてくれたんだ。その事実を。
だから私は中に入りチャペルの前で唄ったのだ。
彼の心に届くように祈りを込めて……
「アーメイジンググレイス……」
私の歌声が届いたのか、奥から神父さんが出てきてくれた。
全部歌いたいたかった。
でも私は最初の部分しか知らない。
私が戸惑っていると、神父さんがその曲にまつわる話を聞かせてくれた。
一人の奴隷商人の運命的な神との出会いを……
ジョン・ニュートンはイギリスの牧師。
船員の父と、熱心なクリスチャンの母を持つ。
六歳で母親と死別。
翌年父が再婚。
十一歳で父と一緒に航海に出る。
十三歳で強制的に徴募され、奴隷のように酷使された後に十六歳で解放される。
二十二歳の時、自分の乗った船が難破しかけた。
その時、母の死後初めて神に祈った。
奇跡的に難を逃れた彼は回心した。
回心とは、神に背いている自分の罪を認め、神に立ち返ることだそうだ。
どうやら個人的な信仰体験らしい。
それでも彼はまだ奴隷船で働くことを余儀なくされていた。
二十四歳で結婚したジョン・ニュートンは、その後六年間奴隷船の船長となった。
三十歳で奴隷船の仕事をやめ、関税職員になる傍ら牧師になるための勉強を始める。
八年の後にオウルニイの副牧師になる。
五十三歳でオウルニイの讃美歌発表。
この中にアメイジング グレイスは収められていた。
驚くべき恵み。
私のような悲惨な者を救ってくれた。
迷ったけど見つけられ。
盲目だったが見えるようになった。
神の恵みが恐れることを教え、そしてその恐れから解放してくれた。
それは神の恵みを、御加護を敬うための詩。
信じることの感謝の讃美歌だった。
でも牧師さんの話を聞きながら彼は嘆いた。
ジョン・ニュートンが難破しかけた船を降りた後も奴隷船の船長だったことを……
回心したのなら何故?
そんな彼の思いに対して牧師さんは言ったそうだ。
『彼はイギリスから奴隷貿易を禁止させた立役者なんだ』
って――
ジョン・ニュートンの前にイギリスの国会議員が訪れて、牧師になりたいと言った。
でも彼は諭した。
奴隷を解放出来るのは牧師ではなく、国会議員なのだ。
と説いたそうだ。
彼が亡くなる直前にイギリス議会は、奴隷貿易を禁止した。
だからあの唄は歌い次がれているのだと。
「当然ながら、教会の反対ですぐには牧師にはなれなかった。だから彼は多額の寄付をして教会からの信頼を得たんだ」
「えっ、奴隷貿易商人だった者も寄付をすれば牧師になれるのですか?」
「それだけ、救われたかったのだと思います。そして、救ってやりたかったのだと思います。自分と同じような境遇の人達を……」
牧師さんはそう言いながら、私の手を取った。
アメイジング・グレイス……
途方もない罪人だった自分を……
途方もなく偉大な愛で救ってくれた。
驚くべき恵みと感謝のうた。
それがAmazing Grace。
神を讃える愛の讃美歌。
だった。
私は彼のためにこの唄を祈りを込めて歌い続けることを誓った。
其処に手懸かりがあるのではないかと思ったからだった。
其処は私が降りた港から程近かった。
(子供を預けるのに最適だと思ったのだろうか?)
私はそう思っていた。
『天にまします、我等の神よ……』
私は神の御前に跪いた。
『願わくは御名をあがめさせたまえ。み国を来たらさせたまえ。御心の天なるごとく、地にもなせたまえ。我らの日ようの糧を今日も与えたまえ。我らに罪をおかす者を、我らが許すごとく、我らを許したまえ。我らを心みあわせず、悪より救い出したまえ。国と力と栄とは、限りなくなんじもものなればなり。アーメン』
私は私の罪を請うために、神に祈りを捧げた。
『主よ……いま御前に立つ。まことと愛を分け合うため。主よ……いま二人を一つとなし、まこととしたまえこの誓いを……喜び悲しみ生きる限り。主よ……この二人を祝したまえ。愛する二人に溢れる喜び。造られた神をたたえて歌おう。互いに信じる心を実らせ、主の愛求めて正義に生きよう。試練の嵐に出会ったときこそ、互いに受け入れ、心を開こう。互いに引き裂く痛みの中でも、よみがえる愛を信じて祈ろう。ひとつのパンを分け合う二人は、心をあげつつ、主の愛歌おう』
それは……
神に……
主に捧げた結婚の誓いだった。
私は彼のいない祭壇で彼との愛を誓ったのだった。
『あれっ波瑠ちゃん』
チャペルの前で祈っていたら、神父様が現れた。
(ヤバい。聞かれてしまったかも知れない……)
私は急に恥ずかしくなって俯いた。
『あの……同級生が行方不明だと聞いて……』
私はシドロモドロになりながらも彼のことを持ち出していた。
でも神父さんも何も聞いていないと言った。
私は祭壇に向かって、神父様と一緒に彼の無事を祈ってから島を歩いていたのだった。
私は再び教会の前に来ていた。
思い出したことがあったからだ。
彼が何時もある曲を歌っていたことを思い出したからだった。
それは讃美歌のアメイジング・グレイスだった。
この曲が讃美歌だと知らなかった。
テレビドラマの主題歌だったり、コマーシャルソングだったりしていたから……
彼が教えてくれたんだ。その事実を。
だから私は中に入りチャペルの前で唄ったのだ。
彼の心に届くように祈りを込めて……
「アーメイジンググレイス……」
私の歌声が届いたのか、奥から神父さんが出てきてくれた。
全部歌いたいたかった。
でも私は最初の部分しか知らない。
私が戸惑っていると、神父さんがその曲にまつわる話を聞かせてくれた。
一人の奴隷商人の運命的な神との出会いを……
ジョン・ニュートンはイギリスの牧師。
船員の父と、熱心なクリスチャンの母を持つ。
六歳で母親と死別。
翌年父が再婚。
十一歳で父と一緒に航海に出る。
十三歳で強制的に徴募され、奴隷のように酷使された後に十六歳で解放される。
二十二歳の時、自分の乗った船が難破しかけた。
その時、母の死後初めて神に祈った。
奇跡的に難を逃れた彼は回心した。
回心とは、神に背いている自分の罪を認め、神に立ち返ることだそうだ。
どうやら個人的な信仰体験らしい。
それでも彼はまだ奴隷船で働くことを余儀なくされていた。
二十四歳で結婚したジョン・ニュートンは、その後六年間奴隷船の船長となった。
三十歳で奴隷船の仕事をやめ、関税職員になる傍ら牧師になるための勉強を始める。
八年の後にオウルニイの副牧師になる。
五十三歳でオウルニイの讃美歌発表。
この中にアメイジング グレイスは収められていた。
驚くべき恵み。
私のような悲惨な者を救ってくれた。
迷ったけど見つけられ。
盲目だったが見えるようになった。
神の恵みが恐れることを教え、そしてその恐れから解放してくれた。
それは神の恵みを、御加護を敬うための詩。
信じることの感謝の讃美歌だった。
でも牧師さんの話を聞きながら彼は嘆いた。
ジョン・ニュートンが難破しかけた船を降りた後も奴隷船の船長だったことを……
回心したのなら何故?
そんな彼の思いに対して牧師さんは言ったそうだ。
『彼はイギリスから奴隷貿易を禁止させた立役者なんだ』
って――
ジョン・ニュートンの前にイギリスの国会議員が訪れて、牧師になりたいと言った。
でも彼は諭した。
奴隷を解放出来るのは牧師ではなく、国会議員なのだ。
と説いたそうだ。
彼が亡くなる直前にイギリス議会は、奴隷貿易を禁止した。
だからあの唄は歌い次がれているのだと。
「当然ながら、教会の反対ですぐには牧師にはなれなかった。だから彼は多額の寄付をして教会からの信頼を得たんだ」
「えっ、奴隷貿易商人だった者も寄付をすれば牧師になれるのですか?」
「それだけ、救われたかったのだと思います。そして、救ってやりたかったのだと思います。自分と同じような境遇の人達を……」
牧師さんはそう言いながら、私の手を取った。
アメイジング・グレイス……
途方もない罪人だった自分を……
途方もなく偉大な愛で救ってくれた。
驚くべき恵みと感謝のうた。
それがAmazing Grace。
神を讃える愛の讃美歌。
だった。
私は彼のためにこの唄を祈りを込めて歌い続けることを誓った。
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