5 / 13
謎の船
しおりを挟む
それは帆船だった。
マストはメインとフォアの三本。
帆布はしっかり巻き付けられている。
(初めて見た……わあ何て素晴らしいんだろう!)
私は一人で感激に浸っていた。父の高専時代の話しを思い出していたからだった。
(何故? お風呂に入る前は何の記憶も無かったのに……)
私は少し怖くなっていた。それでも、頭と心はパパを求めて過去へと飛んでいく。
私は精一杯の力で頭の中を駆け巡っていた。
何故だか解らないけど、それらしい引き出しが見つかった。でも其処に何が入っているのかは見当も付かなかった。それでも尚、私は記憶の中を探し廻った。
『練習は帆船だった。始めて見た時はカッコいいと思った。でも風との根比べですぐに皆ヘトヘトなった。それでも一致団結して訓練を重ねた結果、大海原を渡りきることも出来た』
そして遂に片鱗にたどり着く。
何故そんな話しをし始めたのか定かではないけど、私にも確かに父との思い出があったのだ。
(何故急に思い出したのだろう?)
私は雅とフェンシングの試合を見た時から忘れていた物が気になっていた。
(あれはきっとパパのことだったんだ)
頭の中の靄が少しずつ晴れていくように思えていた。
(あっ、そうかパパだ。そうだ、パパがフェンシングをしていたんだ)
何故だか解らないけど、私の記憶は其処まで辿り着いていた。
(あれっ、私は何時あの駅に行ったのかな?)
まだ疑問が解決した訳でもないけど、少しずつ前に進んだ気がしていた。
(雅ありがとう。きっと雅は私の過去の全てを知っていて私を導いてくれたのだろうか?)
そう思った途端、雅の思い遣りに感謝した。でもまだ雅のお兄さんには辿り着いてはいなかった。
それでも私は嬉しかった。パパとのやり取りがを思い出したからだった。
『其処は冬の北太平洋だ。北からの風が激しく帆に吹き付ける。パパの乗った帆船は大きく右舷側に傾いた。おまけに真夜中だった』
『真夜中? ってことは真っ暗なの?』
でも本当はそんなこと思ってもいなかった。灯りくらいあるだろうって思っていたからだ。
『そうだよ。真っ暗だった。帆船に限らず船は夜間明るいと前方が見えにくくなるんだよ。だから窓にはカーテンをして外に漏れないように工夫をするんだ』
『パパ怖いよ』
そう、私は暗い場所が苦手だったのだ。
『パパも怖かった。でも勇気を振り絞った。真夜中の黒い海面が高く膨れ上がって襲いかかってくる。波しぶきがデッキへ打ち込んでくる』
『パパ大変だったね』
『でもそれは序の口だった。その時、急に明るくなった。雲の陰から月が出たんだ。だからパパ達は月明かりを頼りに帆を減らしたんだ。その帆船は四本マストがあった』
(パパはあの日確かに四本マストだと言ってた。この船より大きいんだ)
そう思いながらマストを見上げた。
『低気圧が接近して大荒れんだ。船長は傾いたデッキの上で足を踏ん張り空を仰いだ。幸い、まだ月は出ていた』
『良かった。まだ明るいんだ』
そう言いながら思い出した。
(あっ、『だからパパ達は月明かりを頼りに帆を減らしたんだ』って言ってた。このことだったんだ)
『だからそのタイミングを逃さないように、船長は学生達にマストに昇り帆を減らすように言った』
『えっ!?』
『驚くだろ? パパ達もそうだった。でもこれ以上マストの上の方の帆を張っているともっと傾くんだ。『アッパー・ゲルン降ろせ』船長は命令した』
『アッパー・ゲルンって?』
『帆には皆名前がある。一番上がロイヤル、次がアッパー・ゲルンだ』
『それじゃパパ、マストの一番上の方まで昇ったの?』
『そうだよ。準備体操をして体を温めてから全部のマストに学生は散った。学生達は揺れるフットロープに両足を大きく踏ん張り身を乗り出すようにして四角い帆をたくしあげ、ロープで縛ってマストから降りた。『めっちゃ怖かった』って誰かが言った。パパもそうだったけれどグッと堪えて周りを見ると、恐怖心を克服した学生達は皆良い顔していた』
パパはそう言いながら私の頭を撫でてくれた。
私は恐怖心に耐えながら鏡の中に入った。
でも本当はチビと冒険したくてワクワクしていたのだ。
『パパ達は商船高等専門学校の生徒だった。出港の時はヤードに登って挨拶するんだ。だからその訓練もする。だけど、嵐の時は勝手が違った。バランスを崩して堕ちたりしたら命はないからな』
『本当、生きてて良かった』
私はありきたりな返事しか出来なかった。本当はパパが遭遇した色々な出来事を聞きたかったのだ。やっと家に帰って来たパパに……
私は持ってきたいた携帯電話を手にした。
(大丈夫。大丈夫。この携帯さえあればきっとうまく行く)
私は自分に言い聞かせていた。
取り出した携帯のカバーを開けライト代わりにする。
潜望鏡の正体を確かめるためだった。
甲板で眠っているチビに気遣いながら、私はそっとそれに近付いた。
煙突の横に穴があり、階段で降りられるようになっていた。
早速一人で降りてみた。
煙突の正体は、調理室だった。
(ここで料理したのか?)
火を使うためだろう。
調理用ストーブの周りは防火対策でレンガ造りになっていた。
目を瞑る。
乗り組んだ船員の空腹を満たす為に奮闘するシェフの姿を思い浮かべてみる。
(材料は?)
私は辺りを見回した。
幾ら満月だと言っても船底まで明るい筈もなく、ただゴロゴロした何かがある位しか解らなかった。
月明かりに照らされて、もう一つの階段に気付かされた。
そっーと近付く。
長テーブルと長椅子があった。
きっと此処で食事をしたのだろう。
その上にはハンモックが垂れ下がっていた。
船員達はきっと此処で食べて寝ていたのだろう。
奥の奥に何かが見えた。
それは樽のようだった。
私はもう一度携帯を手に取った。
この時代に携帯電話はあっても、私のはきっと使えない。
番号も機能も増えたからだ。
でもカメラや明かり取り位にはなるだろう。
母は私がお風呂に入っている間に充電しておいてくれたから、此処で使えるのだ。
(お母さんありがとう)
私は今は遠い母に感謝しながら、もう一度携帯のカバーを開けた。
その途端に開閉音。
しまったと思い慌ててカバーを閉じる。
でも暫くしてからソッと開けた。
マナーモードにするためだった。
(こんな場面……何かに残したい)
素直にそう思った。
月明かりに照らされて、浮かび上がる帆船。
雄大な光景を、思いっきり満喫した私。
(チビも見れば良いのに……)
真っ暗な夜に満天な星。
おまけに満月。
(えっ、満月!?)
思い出したことがあった。
(パパが行方不明になったのも……確か満月の夜だった……)
ゾォーっとした。
(このまま私達も迷子になったりして……)
一瞬……頭を振った。
(違った。行方不明だった。そう、パパと同じように……)
あの夜は確かに満月だった……。
パパが魔法の鏡をプレゼントしてくれた翌日。
パパは見回りの為船に戻った。
そしてそのまま船と一緒に行方不明になっちゃったんだ。
海賊船の襲来だと言われてきた。
パパが乗っ取ったとも言われてきた。
(そうか! だからお母さんはパパの話をしなくなったんだ。だから私はパパを忘れていたんだ。もしパパが犯罪を犯していたら……? 母はそう考えていたのだろうか?)
それは万が一にも考えられないことだったはずだけど……
パパはあの日から帰って来なくなったんだ。
フォアマストの横に煙突があった。
一瞬潜望鏡かと思った。
(馬鹿が私は……。潜水艦でもないのに)
一人で笑いをこらえた。
(一体これは何なのだろうか?)
好奇心が揺すぶられる。
本当は怖いはずなのに……
(そうだ。携帯電話があった)
船底を探検する為に、何か灯りがあればいいと思った時突然閃いた。
私は早速ポケットに手を入れた。
(あれっ!? 何時の間に?)
それはチビの枕元で見つけた手鏡だった。
(チビが持ち込んだ訳じゃなかったんだ。ま、勘違いって事もあるさ)
照れ笑いをしながら、取り出した携帯のカバーを開けた。
(そうか。此処に来るために防水だったのか!? 雅との長電話のためじゃなかったんだ)
忘れていたはずだった。
でも本当は知っていて……
(全てがこのためだったのか?)
まず、節約のために照らす時間を短く設定してから探索へと足を踏み出した。
船底には誰も居ないように思われた。
(おかしいな?)
何故かそう思った。
奥にある大きな玉のような物が、暗闇に馴れてきた私の目に写った。
そしてそのすぐ傍には長い筒。
早速カメラ機能で携帯の画面に映し出された映像を確認した。
それはパイレーツ映画で見た砲弾その物だった。
(此処は弾薬庫。間違いない! きっと海賊船だ!)
私は自分の想像に頭を抱えた。
(まだそうだと決まった訳でもないのに)
私はもう一度弾薬庫を見つめた。
「あれっ?」
私は何故か首を傾げた。
何かが足りなかった。
海賊なら太刀とか、刀系の武器があるはずなのに……
何も無かったのだった。
私は取り越し苦労だったと思っていた。
誰も居ない船。
そして弾薬。
(もしかしたら本当に海賊船?)
もう一度そんな考えが脳裏に浮かんだ。
そしてある事を思い出す。
(そうだ……パパが襲われたのも海賊船だった……でも……誰も居ないなんて……嵐でも来て逃げだのかな? パパも一緒に? この船にパパが居ると思ったのに……だからあんなに頑張ったのに……)
私は呆然としていた。
ゆっくり進む海賊船?
でも帆は畳まれたままだった。
(あれっ、この船に乗組員は居ない筈。帆もこんな状態じゃ。そうだ、この船は一体何で動いているんだ?)
私は耳をすませた。
何か音がしないかと思って……
動力は帆か?
それとも……?
私はそれを確かめようとして慌てて甲板に戻った。
マストはメインとフォアの三本。
帆布はしっかり巻き付けられている。
(初めて見た……わあ何て素晴らしいんだろう!)
私は一人で感激に浸っていた。父の高専時代の話しを思い出していたからだった。
(何故? お風呂に入る前は何の記憶も無かったのに……)
私は少し怖くなっていた。それでも、頭と心はパパを求めて過去へと飛んでいく。
私は精一杯の力で頭の中を駆け巡っていた。
何故だか解らないけど、それらしい引き出しが見つかった。でも其処に何が入っているのかは見当も付かなかった。それでも尚、私は記憶の中を探し廻った。
『練習は帆船だった。始めて見た時はカッコいいと思った。でも風との根比べですぐに皆ヘトヘトなった。それでも一致団結して訓練を重ねた結果、大海原を渡りきることも出来た』
そして遂に片鱗にたどり着く。
何故そんな話しをし始めたのか定かではないけど、私にも確かに父との思い出があったのだ。
(何故急に思い出したのだろう?)
私は雅とフェンシングの試合を見た時から忘れていた物が気になっていた。
(あれはきっとパパのことだったんだ)
頭の中の靄が少しずつ晴れていくように思えていた。
(あっ、そうかパパだ。そうだ、パパがフェンシングをしていたんだ)
何故だか解らないけど、私の記憶は其処まで辿り着いていた。
(あれっ、私は何時あの駅に行ったのかな?)
まだ疑問が解決した訳でもないけど、少しずつ前に進んだ気がしていた。
(雅ありがとう。きっと雅は私の過去の全てを知っていて私を導いてくれたのだろうか?)
そう思った途端、雅の思い遣りに感謝した。でもまだ雅のお兄さんには辿り着いてはいなかった。
それでも私は嬉しかった。パパとのやり取りがを思い出したからだった。
『其処は冬の北太平洋だ。北からの風が激しく帆に吹き付ける。パパの乗った帆船は大きく右舷側に傾いた。おまけに真夜中だった』
『真夜中? ってことは真っ暗なの?』
でも本当はそんなこと思ってもいなかった。灯りくらいあるだろうって思っていたからだ。
『そうだよ。真っ暗だった。帆船に限らず船は夜間明るいと前方が見えにくくなるんだよ。だから窓にはカーテンをして外に漏れないように工夫をするんだ』
『パパ怖いよ』
そう、私は暗い場所が苦手だったのだ。
『パパも怖かった。でも勇気を振り絞った。真夜中の黒い海面が高く膨れ上がって襲いかかってくる。波しぶきがデッキへ打ち込んでくる』
『パパ大変だったね』
『でもそれは序の口だった。その時、急に明るくなった。雲の陰から月が出たんだ。だからパパ達は月明かりを頼りに帆を減らしたんだ。その帆船は四本マストがあった』
(パパはあの日確かに四本マストだと言ってた。この船より大きいんだ)
そう思いながらマストを見上げた。
『低気圧が接近して大荒れんだ。船長は傾いたデッキの上で足を踏ん張り空を仰いだ。幸い、まだ月は出ていた』
『良かった。まだ明るいんだ』
そう言いながら思い出した。
(あっ、『だからパパ達は月明かりを頼りに帆を減らしたんだ』って言ってた。このことだったんだ)
『だからそのタイミングを逃さないように、船長は学生達にマストに昇り帆を減らすように言った』
『えっ!?』
『驚くだろ? パパ達もそうだった。でもこれ以上マストの上の方の帆を張っているともっと傾くんだ。『アッパー・ゲルン降ろせ』船長は命令した』
『アッパー・ゲルンって?』
『帆には皆名前がある。一番上がロイヤル、次がアッパー・ゲルンだ』
『それじゃパパ、マストの一番上の方まで昇ったの?』
『そうだよ。準備体操をして体を温めてから全部のマストに学生は散った。学生達は揺れるフットロープに両足を大きく踏ん張り身を乗り出すようにして四角い帆をたくしあげ、ロープで縛ってマストから降りた。『めっちゃ怖かった』って誰かが言った。パパもそうだったけれどグッと堪えて周りを見ると、恐怖心を克服した学生達は皆良い顔していた』
パパはそう言いながら私の頭を撫でてくれた。
私は恐怖心に耐えながら鏡の中に入った。
でも本当はチビと冒険したくてワクワクしていたのだ。
『パパ達は商船高等専門学校の生徒だった。出港の時はヤードに登って挨拶するんだ。だからその訓練もする。だけど、嵐の時は勝手が違った。バランスを崩して堕ちたりしたら命はないからな』
『本当、生きてて良かった』
私はありきたりな返事しか出来なかった。本当はパパが遭遇した色々な出来事を聞きたかったのだ。やっと家に帰って来たパパに……
私は持ってきたいた携帯電話を手にした。
(大丈夫。大丈夫。この携帯さえあればきっとうまく行く)
私は自分に言い聞かせていた。
取り出した携帯のカバーを開けライト代わりにする。
潜望鏡の正体を確かめるためだった。
甲板で眠っているチビに気遣いながら、私はそっとそれに近付いた。
煙突の横に穴があり、階段で降りられるようになっていた。
早速一人で降りてみた。
煙突の正体は、調理室だった。
(ここで料理したのか?)
火を使うためだろう。
調理用ストーブの周りは防火対策でレンガ造りになっていた。
目を瞑る。
乗り組んだ船員の空腹を満たす為に奮闘するシェフの姿を思い浮かべてみる。
(材料は?)
私は辺りを見回した。
幾ら満月だと言っても船底まで明るい筈もなく、ただゴロゴロした何かがある位しか解らなかった。
月明かりに照らされて、もう一つの階段に気付かされた。
そっーと近付く。
長テーブルと長椅子があった。
きっと此処で食事をしたのだろう。
その上にはハンモックが垂れ下がっていた。
船員達はきっと此処で食べて寝ていたのだろう。
奥の奥に何かが見えた。
それは樽のようだった。
私はもう一度携帯を手に取った。
この時代に携帯電話はあっても、私のはきっと使えない。
番号も機能も増えたからだ。
でもカメラや明かり取り位にはなるだろう。
母は私がお風呂に入っている間に充電しておいてくれたから、此処で使えるのだ。
(お母さんありがとう)
私は今は遠い母に感謝しながら、もう一度携帯のカバーを開けた。
その途端に開閉音。
しまったと思い慌ててカバーを閉じる。
でも暫くしてからソッと開けた。
マナーモードにするためだった。
(こんな場面……何かに残したい)
素直にそう思った。
月明かりに照らされて、浮かび上がる帆船。
雄大な光景を、思いっきり満喫した私。
(チビも見れば良いのに……)
真っ暗な夜に満天な星。
おまけに満月。
(えっ、満月!?)
思い出したことがあった。
(パパが行方不明になったのも……確か満月の夜だった……)
ゾォーっとした。
(このまま私達も迷子になったりして……)
一瞬……頭を振った。
(違った。行方不明だった。そう、パパと同じように……)
あの夜は確かに満月だった……。
パパが魔法の鏡をプレゼントしてくれた翌日。
パパは見回りの為船に戻った。
そしてそのまま船と一緒に行方不明になっちゃったんだ。
海賊船の襲来だと言われてきた。
パパが乗っ取ったとも言われてきた。
(そうか! だからお母さんはパパの話をしなくなったんだ。だから私はパパを忘れていたんだ。もしパパが犯罪を犯していたら……? 母はそう考えていたのだろうか?)
それは万が一にも考えられないことだったはずだけど……
パパはあの日から帰って来なくなったんだ。
フォアマストの横に煙突があった。
一瞬潜望鏡かと思った。
(馬鹿が私は……。潜水艦でもないのに)
一人で笑いをこらえた。
(一体これは何なのだろうか?)
好奇心が揺すぶられる。
本当は怖いはずなのに……
(そうだ。携帯電話があった)
船底を探検する為に、何か灯りがあればいいと思った時突然閃いた。
私は早速ポケットに手を入れた。
(あれっ!? 何時の間に?)
それはチビの枕元で見つけた手鏡だった。
(チビが持ち込んだ訳じゃなかったんだ。ま、勘違いって事もあるさ)
照れ笑いをしながら、取り出した携帯のカバーを開けた。
(そうか。此処に来るために防水だったのか!? 雅との長電話のためじゃなかったんだ)
忘れていたはずだった。
でも本当は知っていて……
(全てがこのためだったのか?)
まず、節約のために照らす時間を短く設定してから探索へと足を踏み出した。
船底には誰も居ないように思われた。
(おかしいな?)
何故かそう思った。
奥にある大きな玉のような物が、暗闇に馴れてきた私の目に写った。
そしてそのすぐ傍には長い筒。
早速カメラ機能で携帯の画面に映し出された映像を確認した。
それはパイレーツ映画で見た砲弾その物だった。
(此処は弾薬庫。間違いない! きっと海賊船だ!)
私は自分の想像に頭を抱えた。
(まだそうだと決まった訳でもないのに)
私はもう一度弾薬庫を見つめた。
「あれっ?」
私は何故か首を傾げた。
何かが足りなかった。
海賊なら太刀とか、刀系の武器があるはずなのに……
何も無かったのだった。
私は取り越し苦労だったと思っていた。
誰も居ない船。
そして弾薬。
(もしかしたら本当に海賊船?)
もう一度そんな考えが脳裏に浮かんだ。
そしてある事を思い出す。
(そうだ……パパが襲われたのも海賊船だった……でも……誰も居ないなんて……嵐でも来て逃げだのかな? パパも一緒に? この船にパパが居ると思ったのに……だからあんなに頑張ったのに……)
私は呆然としていた。
ゆっくり進む海賊船?
でも帆は畳まれたままだった。
(あれっ、この船に乗組員は居ない筈。帆もこんな状態じゃ。そうだ、この船は一体何で動いているんだ?)
私は耳をすませた。
何か音がしないかと思って……
動力は帆か?
それとも……?
私はそれを確かめようとして慌てて甲板に戻った。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる