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日誌のはじまり
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2022年1月1日。
年末年始、おれは自分の過去を振り返ってみた。
36年間分全てを振り返るほどの余裕がなかったので、とりあえず18年間分を紙に書き出した。
この18年間分というのは、おれが社会人になってから今に至るまでの時間だ。
おれは、去年から『18ヶ月後に就職する』という目標に向かって自己理解を進めている。
そして、今年の秋頃にはその18ヶ月目を迎える。
タイムリミットは刻々と迫ってきている。
しかし、今のところ焦りはない。
やることをちゃんとやっていれば、結果はついてくると思っているからだ。
いや、少し嘘をついた。焦りはある(笑)。
でも、だからといって暴挙に出て就職先を安易に決めたくないし、これからの長い人生を考えて、今時間に余裕があるうちに自己理解を深めたいと思っている。
◆
おれは、20代半ばに「双極性障害」という病気にかかった。
この病気は、いわば「メンタルを不安定にする病気」だ。
メンタルには、二つの側面がある。
一つは、ポジティブな側面。
簡単にいうと、松岡修造さんみたいな感じだ。
とにかく明るくて情熱的な性質をもっている。
なので、周りからは「元気で明るい性格」だと認識されてしまう。ポジティブ=善のような感じだ。
もう一つは、ネガティブな側面。芸人のヒロシさんみたいな感じだ。
とにかく暗くて卑屈で、何に対しても悲観的な性質をもっている。
なので、何か落ち込んだことがあったとき、「死にたい」と考えてしまいがちである。
周りからも「暗くて嫌な性格」だと認識されやすい。ネガティブ=悪。
人間は誰しもこの二つの性質を持っていて、適切なタイミングで微細に変化している。
誰しも明るくなるときもあれば、落ち込むこともある。
それが正常だ。
しかし、双極性障害の当事者は、このポジとネガの波が半端なく急上昇・急下降している。
それはまるで、ジェットコースターのような波形だ。
また、このポジとネガの波を自分ではコントロールできない。
何の前触れもなく超ポジになったり、超ネガになったりする。
超ポジになったときは、多額のお金を一瞬で使い切ってしまったり、三日三晩ほぼ寝なくても作業に没頭できる。
しかし、気分も一気に明るくなるため、一見「元気」になったように見える。躁状態であることを、周りからは気づかれにくい。
超ネガになったときは、布団から出られないほどに寝込んだり、常に自分を責めてしまったりして希死念慮や自傷行為に走りがちだ。周りからは気づかれやすい。
自分でこの波をコントロールできないため、自身も家族も周囲の人も、全員疲れ切ってしまう。
◆
まあ、ここまでは色んなサイトや本に書かれていたり、YouTubeでも見聞きする情報だ。
精神科医および当事者たちが語っている。
しかし、これらの情報・体験談はあくまでも「双極性障害=病気」と見做してのものだ。
ウシであるおれは、一旦この「病気としての双極性障害」という捉え方を捨ててみようと思う。
そして、新たに『スペック(特殊能力)』として、自分の特質を定義づけしたい。
双極性障害ではなく『ダブルマインド(双極の心)』というネーミングはどうだろうか。
100人に1人の患者ではなく、100人に1人の『スペックホルダー』と捉えるのはどうだろうか。
病人として認知するよりも、何となく気分が前向きになる気がするのは、おれだけだろうか(笑)。
ダブルマインドには、二つの特性がある。
一つ目は、ハイマインドだ。この状態になると、強いリーダーシップを発揮したり、一般人では怯むような物事にも果敢にチャレンジする行動力が備わる。
人当たりもよく、誰からも好印象を抱かれる。
二つ目は、ローマインド。どんな些細なことも見逃さない目を持ち、リスクを最小限に抑えた思考ができる。神経質な性質なので周囲からは浮いてしまうが、高い集中力をキープすることが可能だ。
この二つのマインドを、自由自在に使いこなせるようになれば、今よりも人生が生きやすくなると思う。
まるで車のギアを切り替えるみたいに、スマホの電源を入れるみたいに。
しかし、現実問題としてはなかなか難しいと思う。
なぜなら、現状ではこの「ギアが切り替わる瞬間」がわからないからだ。
なので、おれはこれまでの過去を振り返ることによって『自分がギアチェンジした瞬間』を見つけたいと思う。
そして、それらの瞬間を拾い集め、共通点化したい。
もし、共通点化できれば、ギアチェンジの前兆や対策などが分かるようになるとおもう。
そうなると、マインドの波に振り回されず、逆に使いこなすことができるのではないかと考えている。
この日誌は「生きやすい自分を見つける」ための研究日誌なのだ。
年末年始、おれは自分の過去を振り返ってみた。
36年間分全てを振り返るほどの余裕がなかったので、とりあえず18年間分を紙に書き出した。
この18年間分というのは、おれが社会人になってから今に至るまでの時間だ。
おれは、去年から『18ヶ月後に就職する』という目標に向かって自己理解を進めている。
そして、今年の秋頃にはその18ヶ月目を迎える。
タイムリミットは刻々と迫ってきている。
しかし、今のところ焦りはない。
やることをちゃんとやっていれば、結果はついてくると思っているからだ。
いや、少し嘘をついた。焦りはある(笑)。
でも、だからといって暴挙に出て就職先を安易に決めたくないし、これからの長い人生を考えて、今時間に余裕があるうちに自己理解を深めたいと思っている。
◆
おれは、20代半ばに「双極性障害」という病気にかかった。
この病気は、いわば「メンタルを不安定にする病気」だ。
メンタルには、二つの側面がある。
一つは、ポジティブな側面。
簡単にいうと、松岡修造さんみたいな感じだ。
とにかく明るくて情熱的な性質をもっている。
なので、周りからは「元気で明るい性格」だと認識されてしまう。ポジティブ=善のような感じだ。
もう一つは、ネガティブな側面。芸人のヒロシさんみたいな感じだ。
とにかく暗くて卑屈で、何に対しても悲観的な性質をもっている。
なので、何か落ち込んだことがあったとき、「死にたい」と考えてしまいがちである。
周りからも「暗くて嫌な性格」だと認識されやすい。ネガティブ=悪。
人間は誰しもこの二つの性質を持っていて、適切なタイミングで微細に変化している。
誰しも明るくなるときもあれば、落ち込むこともある。
それが正常だ。
しかし、双極性障害の当事者は、このポジとネガの波が半端なく急上昇・急下降している。
それはまるで、ジェットコースターのような波形だ。
また、このポジとネガの波を自分ではコントロールできない。
何の前触れもなく超ポジになったり、超ネガになったりする。
超ポジになったときは、多額のお金を一瞬で使い切ってしまったり、三日三晩ほぼ寝なくても作業に没頭できる。
しかし、気分も一気に明るくなるため、一見「元気」になったように見える。躁状態であることを、周りからは気づかれにくい。
超ネガになったときは、布団から出られないほどに寝込んだり、常に自分を責めてしまったりして希死念慮や自傷行為に走りがちだ。周りからは気づかれやすい。
自分でこの波をコントロールできないため、自身も家族も周囲の人も、全員疲れ切ってしまう。
◆
まあ、ここまでは色んなサイトや本に書かれていたり、YouTubeでも見聞きする情報だ。
精神科医および当事者たちが語っている。
しかし、これらの情報・体験談はあくまでも「双極性障害=病気」と見做してのものだ。
ウシであるおれは、一旦この「病気としての双極性障害」という捉え方を捨ててみようと思う。
そして、新たに『スペック(特殊能力)』として、自分の特質を定義づけしたい。
双極性障害ではなく『ダブルマインド(双極の心)』というネーミングはどうだろうか。
100人に1人の患者ではなく、100人に1人の『スペックホルダー』と捉えるのはどうだろうか。
病人として認知するよりも、何となく気分が前向きになる気がするのは、おれだけだろうか(笑)。
ダブルマインドには、二つの特性がある。
一つ目は、ハイマインドだ。この状態になると、強いリーダーシップを発揮したり、一般人では怯むような物事にも果敢にチャレンジする行動力が備わる。
人当たりもよく、誰からも好印象を抱かれる。
二つ目は、ローマインド。どんな些細なことも見逃さない目を持ち、リスクを最小限に抑えた思考ができる。神経質な性質なので周囲からは浮いてしまうが、高い集中力をキープすることが可能だ。
この二つのマインドを、自由自在に使いこなせるようになれば、今よりも人生が生きやすくなると思う。
まるで車のギアを切り替えるみたいに、スマホの電源を入れるみたいに。
しかし、現実問題としてはなかなか難しいと思う。
なぜなら、現状ではこの「ギアが切り替わる瞬間」がわからないからだ。
なので、おれはこれまでの過去を振り返ることによって『自分がギアチェンジした瞬間』を見つけたいと思う。
そして、それらの瞬間を拾い集め、共通点化したい。
もし、共通点化できれば、ギアチェンジの前兆や対策などが分かるようになるとおもう。
そうなると、マインドの波に振り回されず、逆に使いこなすことができるのではないかと考えている。
この日誌は「生きやすい自分を見つける」ための研究日誌なのだ。
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