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別居婚とウシ【その1】
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「わたし、家事が苦手なんです……」
うさ子さんは、不安気な顔でそう言った。
とある日の午後。
職業訓練所でのお昼休みの時間。
おれは、うさ子さんから相談を受けた。
彼女は、おれが通っている職業訓練所の同僚だ。
「え? 別にいいんじゃないですか?」
おれは何も気にせず、そう返した。
「え……」
うさ子さんは、フリーズしたパソコンのように静止している。
「いや、だって。家事ができない女は嫌われますよ……恋愛も結婚もできませんよ……」
「そう? どうして、そう思うんです?」
「だらしない女だと思われるじゃないですか……料理も掃除もできないだなんて」
「うーん」
おれは、腕を組んで思考を巡らせる。
うさ子さんの言い分が、分からないわけではない。
『女は炊事洗濯ができて当たり前』という古い世代に生まれたため、家事は女がするものという思考が、体内に染み付いてしまっているからだ。
でも、時代は変わった。
今はもう『家事=女の仕事』という文化は廃れている。
「一つずつ分解して考えてみましょ」
そう切り出したおれに、うさ子さんは頷いてくれた。
「まず、料理ですが。自炊せずに弁当を買えばいいと思います」
「え?」
「今はスーパーでもコンビニでも弁当が買えるし、もしくは宅配弁当を契約すればいいかと」
「いや、でも。それだと味気ないじゃないですか……お金も高くつきそうだし」
うさ子さんは、困惑した表情でそう告げた。
「最近の弁当は、結構美味しいですよ。金額も一個500円くらいで買えますし。おれも毎日、弁当生活です。自炊して調味料とか食材買う方が高くつきますよ」
「……そう、なんでしょうか」
「それに、無理して自炊するストレスを、何年も何十年も抱え続ける方が、結婚生活がしんどくなりそうだと思いませんか?」
「確かに、そうですね」
料理に関しては、多少なりとも納得してくれたようだ。多分。
うさ子さんは、不安気な顔でそう言った。
とある日の午後。
職業訓練所でのお昼休みの時間。
おれは、うさ子さんから相談を受けた。
彼女は、おれが通っている職業訓練所の同僚だ。
「え? 別にいいんじゃないですか?」
おれは何も気にせず、そう返した。
「え……」
うさ子さんは、フリーズしたパソコンのように静止している。
「いや、だって。家事ができない女は嫌われますよ……恋愛も結婚もできませんよ……」
「そう? どうして、そう思うんです?」
「だらしない女だと思われるじゃないですか……料理も掃除もできないだなんて」
「うーん」
おれは、腕を組んで思考を巡らせる。
うさ子さんの言い分が、分からないわけではない。
『女は炊事洗濯ができて当たり前』という古い世代に生まれたため、家事は女がするものという思考が、体内に染み付いてしまっているからだ。
でも、時代は変わった。
今はもう『家事=女の仕事』という文化は廃れている。
「一つずつ分解して考えてみましょ」
そう切り出したおれに、うさ子さんは頷いてくれた。
「まず、料理ですが。自炊せずに弁当を買えばいいと思います」
「え?」
「今はスーパーでもコンビニでも弁当が買えるし、もしくは宅配弁当を契約すればいいかと」
「いや、でも。それだと味気ないじゃないですか……お金も高くつきそうだし」
うさ子さんは、困惑した表情でそう告げた。
「最近の弁当は、結構美味しいですよ。金額も一個500円くらいで買えますし。おれも毎日、弁当生活です。自炊して調味料とか食材買う方が高くつきますよ」
「……そう、なんでしょうか」
「それに、無理して自炊するストレスを、何年も何十年も抱え続ける方が、結婚生活がしんどくなりそうだと思いませんか?」
「確かに、そうですね」
料理に関しては、多少なりとも納得してくれたようだ。多分。
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