獣人姫は逃げまくる~箱入りな魔性獣人姫は初恋の人と初彼と幼馴染と義父に手籠めにされかかって逃げたけどそのうちの一人と番になりました~ R18

鈴田在可

文字の大きさ
171 / 220
レインハッピーエンド 愛憎を超えて

9 獣人の性 ✤

しおりを挟む
「汚れちゃったね、シーツ替えとくよ」

 行為が終わってから気付いたが、二回目にも関わらずシーツには鮮血が付いていた。前回は一突きされただけで終わったので、残骸のようなものが体内に残っていて、おそらく今回完全に破られて無くなったのだろうと何となく思った。

 月のものの周期からは完全に外れているので、月経の血ではないと思う。

 その周期からするとたぶん今は妊娠しそうな時期だが、今回も前回も妊娠はしていないはずだ。なぜならば、二回とも行為前にヴィクトリアが自身に避妊魔法をかけていたからだ。

 昔読んだ魔法書はかなり初歩的なものだったらしく、避妊魔法についてなんて載っていなかったけれど、この家に来た時にノエルから渡された魔法書をパラパラと捲っていたら、たまたまそれについて書かれたページが目についた。

 速読が身に付いているヴィクトリアは、そのうち必要になるのかなぐらいの何となくの思いで、短い時間で頭の中にその魔法機序を叩き込んでいた。

 その後流れでレインと身体を重ねることになり、念のためその魔法を使っておいた。

 人間のレインが相手でも獣人のヴィクトリアが産んだ子は必ず獣人になる。子供については、どうしたいのか二人でちゃんと話し合ってからの方がいいと思った。

 ヴィクトリアとしては、レインが子供が獣人でもいいなら生んでみたい気持ちもあるけれど、現状では「いつか」という但し書きが付いていて、今はとにかく初恋が実って番になれたレインとの時間を大切にしていきたいと思っていた。

 ヴィクトリアは恥ずかしいその痕跡を魔法でどうにかしようとしたが、すごく上機嫌な様子のレインが、剥がしたシーツをまるで宝物のように抱えたまま、自分が洗濯してシーツ交換すると言って聞かないので、ヴィクトリアは汚れ物の件についてはレインに任せることにして、先に浴室に向かった。










 身体を流してからお風呂に入って一息ついていると、レインが入ってきた。

「ごめんね、おまたせ」

 レインはもちろん全裸で、綺麗な筋肉の付き方だなとヴィクトリアはうっとりしながら見つめてしまう。

「もう洗い終わっちゃったか。俺が洗おうと思ったのに」

「……じゃあまた今度お願いするわ」

 ヴィクトリアは、ニコリと微笑む。

 するとレインも満面の笑みを返してくれた。レインは現れた時からずっと変わらない上機嫌な――ヴィクトリアの表情操作には気付かない――様子で、自分の身体を洗い始めた。

 男性とお風呂に入るのはこれで二度目だ。ヴィクトリアはレインの言葉から――――リュージュのことを思い出していた。

 リュージュのことが頭をよぎる度に、彼を選ばずに傷付けてきた罪悪感と、あんな風に深く自分の脚を刺してしまって大丈夫だっただろうかと、心配する気持ちが蘇ってくる。

 リュージュは今でも変わらず大切な存在だ。ただ、心配する気持ちはあるのに、自分の心の中のどこを探してみても、あの頃感じた胸を掻きむしるようなリュージュへの強い恋慕の情は消えている。

 シドから逃げるために里を出るまでリュージュを愛していたのは本当だった。けれど今ヴィクトリアが自分のすべてを捧げてもいいと思える唯一はレインだけで、愛しているのもレインだけだった。

 ヴィクトリアはレインに抱かれて処女ではなくなったのと同時に、リュージュへの恋心も完全に喪失してしまったようだった。

 獣人は番を得ると、その相手しか異性として見なくなるし、愛さなくなるというが、ヴィクトリアはそれを身をもって体感していた。

 確かに愛していたはずの思いまで失くしてしまうなんて、獣人の悲しいさがだと思う。

(もしも『番の呪い』にかからなければ…… あるいは、最初に口付けたのがリュージュだったら…………)

 そんな風に考えてしまって即、ヴィクトリアはふるふると頭を振って思考を振り払った。

 リュージュは「自分の思うように生きろ」と言って、ヴィクトリアの背中を押してくれた。

 リュージュはヴィクトリアの幸せを本当に願っていてくれたのだと思う。

(私は自分の決断したこの道で、レインと一緒に生きていきたいと思う)

「どうした? 頭なんか振って?」

 レインに声をかけられて、ヴィクトリアは今度こそ心からの笑顔をレインに向ける。

「ううん、何でも――――」

 浴槽に入ってきていたレインの手が伸びてきて抱きしめられたと思ったら、口を塞がれていた。

「はぁっ…… ふぅっ……」

 レインの舌が口の中深くに入り込んできて舐られるのが気持ち良い。吐息を漏らしていると、ふいにレインの唇が離れて物足りなさを感じてしまう。

「……ヴィクトリア、さっき言ってたやつをしてもらってもいい? 俺のを舐めてくれる?」

 レインがヴィクトリアの唇を熱っぽく見つめながら指の腹でしきりになぞっている。身体に押し付けられる硬く熱い雄を感じて鼓動と吐息を早くさせながら、レインのすべてを受け入れる覚悟のヴィクトリアは、一切の抵抗もなくこくりと頷いていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました

蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。 そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。 どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。 離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない! 夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー ※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。 ※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

眷属神の花嫁〜四当主の花嫁争奪譚〜神縁の行方

雨香
恋愛
 神々の眷属である四つの種族に、百年に一度当主の嫁取りがある。  花嫁を手にした当主は膨大な力を得、一族には繁栄が約束される。  神託により決定される花嫁は通常一人。 その一人を|八咫烏《やたがらす》一族、狐一族、狛犬一族、龍の一族で奪い合う。  何故か二人も選ばれてしまった花嫁をめぐる、お見合い現代ファンタジー。

処理中です...