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レインハッピーエンド 愛憎を超えて
9 獣人の性 ✤
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「汚れちゃったね、シーツ替えとくよ」
行為が終わってから気付いたが、二回目にも関わらずシーツには鮮血が付いていた。前回は一突きされただけで終わったので、残骸のようなものが体内に残っていて、おそらく今回完全に破られて無くなったのだろうと何となく思った。
月のものの周期からは完全に外れているので、月経の血ではないと思う。
その周期からするとたぶん今は妊娠しそうな時期だが、今回も前回も妊娠はしていないはずだ。なぜならば、二回とも行為前にヴィクトリアが自身に避妊魔法をかけていたからだ。
昔読んだ魔法書はかなり初歩的なものだったらしく、避妊魔法についてなんて載っていなかったけれど、この家に来た時にノエルから渡された魔法書をパラパラと捲っていたら、たまたまそれについて書かれた頁が目についた。
速読が身に付いているヴィクトリアは、そのうち必要になるのかなぐらいの何となくの思いで、短い時間で頭の中にその魔法機序を叩き込んでいた。
その後流れでレインと身体を重ねることになり、念のためその魔法を使っておいた。
人間のレインが相手でも獣人のヴィクトリアが産んだ子は必ず獣人になる。子供については、どうしたいのか二人でちゃんと話し合ってからの方がいいと思った。
ヴィクトリアとしては、レインが子供が獣人でもいいなら生んでみたい気持ちもあるけれど、現状では「いつか」という但し書きが付いていて、今はとにかく初恋が実って番になれたレインとの時間を大切にしていきたいと思っていた。
ヴィクトリアは恥ずかしいその痕跡を魔法でどうにかしようとしたが、すごく上機嫌な様子のレインが、剥がしたシーツをまるで宝物のように抱えたまま、自分が洗濯してシーツ交換すると言って聞かないので、ヴィクトリアは汚れ物の件についてはレインに任せることにして、先に浴室に向かった。
身体を流してからお風呂に入って一息ついていると、レインが入ってきた。
「ごめんね、おまたせ」
レインはもちろん全裸で、綺麗な筋肉の付き方だなとヴィクトリアはうっとりしながら見つめてしまう。
「もう洗い終わっちゃったか。俺が洗おうと思ったのに」
「……じゃあまた今度お願いするわ」
ヴィクトリアは、ニコリと微笑む。
するとレインも満面の笑みを返してくれた。レインは現れた時からずっと変わらない上機嫌な――ヴィクトリアの表情操作には気付かない――様子で、自分の身体を洗い始めた。
男性とお風呂に入るのはこれで二度目だ。ヴィクトリアはレインの言葉から――――リュージュのことを思い出していた。
リュージュのことが頭をよぎる度に、彼を選ばずに傷付けてきた罪悪感と、あんな風に深く自分の脚を刺してしまって大丈夫だっただろうかと、心配する気持ちが蘇ってくる。
リュージュは今でも変わらず大切な存在だ。ただ、心配する気持ちはあるのに、自分の心の中のどこを探してみても、あの頃感じた胸を掻きむしるようなリュージュへの強い恋慕の情は消えている。
シドから逃げるために里を出るまでリュージュを愛していたのは本当だった。けれど今ヴィクトリアが自分のすべてを捧げてもいいと思える唯一はレインだけで、愛しているのもレインだけだった。
ヴィクトリアはレインに抱かれて処女ではなくなったのと同時に、リュージュへの恋心も完全に喪失してしまったようだった。
獣人は番を得ると、その相手しか異性として見なくなるし、愛さなくなるというが、ヴィクトリアはそれを身をもって体感していた。
確かに愛していたはずの心まで失くしてしまうなんて、獣人の悲しい性だと思う。
(もしも『番の呪い』にかからなければ…… あるいは、最初に口付けたのがリュージュだったら…………)
そんな風に考えてしまって即、ヴィクトリアはふるふると頭を振って思考を振り払った。
リュージュは「自分の思うように生きろ」と言って、ヴィクトリアの背中を押してくれた。
リュージュはヴィクトリアの幸せを本当に願っていてくれたのだと思う。
(私は自分の決断したこの道で、レインと一緒に生きていきたいと思う)
「どうした? 頭なんか振って?」
レインに声をかけられて、ヴィクトリアは今度こそ心からの笑顔をレインに向ける。
「ううん、何でも――――」
浴槽に入ってきていたレインの手が伸びてきて抱きしめられたと思ったら、口を塞がれていた。
「はぁっ…… ふぅっ……」
レインの舌が口の中深くに入り込んできて舐られるのが気持ち良い。吐息を漏らしていると、ふいにレインの唇が離れて物足りなさを感じてしまう。
「……ヴィクトリア、さっき言ってたやつをしてもらってもいい? 俺のを舐めてくれる?」
レインがヴィクトリアの唇を熱っぽく見つめながら指の腹でしきりになぞっている。身体に押し付けられる硬く熱い雄を感じて鼓動と吐息を早くさせながら、レインのすべてを受け入れる覚悟のヴィクトリアは、一切の抵抗もなくこくりと頷いていた。
行為が終わってから気付いたが、二回目にも関わらずシーツには鮮血が付いていた。前回は一突きされただけで終わったので、残骸のようなものが体内に残っていて、おそらく今回完全に破られて無くなったのだろうと何となく思った。
月のものの周期からは完全に外れているので、月経の血ではないと思う。
その周期からするとたぶん今は妊娠しそうな時期だが、今回も前回も妊娠はしていないはずだ。なぜならば、二回とも行為前にヴィクトリアが自身に避妊魔法をかけていたからだ。
昔読んだ魔法書はかなり初歩的なものだったらしく、避妊魔法についてなんて載っていなかったけれど、この家に来た時にノエルから渡された魔法書をパラパラと捲っていたら、たまたまそれについて書かれた頁が目についた。
速読が身に付いているヴィクトリアは、そのうち必要になるのかなぐらいの何となくの思いで、短い時間で頭の中にその魔法機序を叩き込んでいた。
その後流れでレインと身体を重ねることになり、念のためその魔法を使っておいた。
人間のレインが相手でも獣人のヴィクトリアが産んだ子は必ず獣人になる。子供については、どうしたいのか二人でちゃんと話し合ってからの方がいいと思った。
ヴィクトリアとしては、レインが子供が獣人でもいいなら生んでみたい気持ちもあるけれど、現状では「いつか」という但し書きが付いていて、今はとにかく初恋が実って番になれたレインとの時間を大切にしていきたいと思っていた。
ヴィクトリアは恥ずかしいその痕跡を魔法でどうにかしようとしたが、すごく上機嫌な様子のレインが、剥がしたシーツをまるで宝物のように抱えたまま、自分が洗濯してシーツ交換すると言って聞かないので、ヴィクトリアは汚れ物の件についてはレインに任せることにして、先に浴室に向かった。
身体を流してからお風呂に入って一息ついていると、レインが入ってきた。
「ごめんね、おまたせ」
レインはもちろん全裸で、綺麗な筋肉の付き方だなとヴィクトリアはうっとりしながら見つめてしまう。
「もう洗い終わっちゃったか。俺が洗おうと思ったのに」
「……じゃあまた今度お願いするわ」
ヴィクトリアは、ニコリと微笑む。
するとレインも満面の笑みを返してくれた。レインは現れた時からずっと変わらない上機嫌な――ヴィクトリアの表情操作には気付かない――様子で、自分の身体を洗い始めた。
男性とお風呂に入るのはこれで二度目だ。ヴィクトリアはレインの言葉から――――リュージュのことを思い出していた。
リュージュのことが頭をよぎる度に、彼を選ばずに傷付けてきた罪悪感と、あんな風に深く自分の脚を刺してしまって大丈夫だっただろうかと、心配する気持ちが蘇ってくる。
リュージュは今でも変わらず大切な存在だ。ただ、心配する気持ちはあるのに、自分の心の中のどこを探してみても、あの頃感じた胸を掻きむしるようなリュージュへの強い恋慕の情は消えている。
シドから逃げるために里を出るまでリュージュを愛していたのは本当だった。けれど今ヴィクトリアが自分のすべてを捧げてもいいと思える唯一はレインだけで、愛しているのもレインだけだった。
ヴィクトリアはレインに抱かれて処女ではなくなったのと同時に、リュージュへの恋心も完全に喪失してしまったようだった。
獣人は番を得ると、その相手しか異性として見なくなるし、愛さなくなるというが、ヴィクトリアはそれを身をもって体感していた。
確かに愛していたはずの心まで失くしてしまうなんて、獣人の悲しい性だと思う。
(もしも『番の呪い』にかからなければ…… あるいは、最初に口付けたのがリュージュだったら…………)
そんな風に考えてしまって即、ヴィクトリアはふるふると頭を振って思考を振り払った。
リュージュは「自分の思うように生きろ」と言って、ヴィクトリアの背中を押してくれた。
リュージュはヴィクトリアの幸せを本当に願っていてくれたのだと思う。
(私は自分の決断したこの道で、レインと一緒に生きていきたいと思う)
「どうした? 頭なんか振って?」
レインに声をかけられて、ヴィクトリアは今度こそ心からの笑顔をレインに向ける。
「ううん、何でも――――」
浴槽に入ってきていたレインの手が伸びてきて抱きしめられたと思ったら、口を塞がれていた。
「はぁっ…… ふぅっ……」
レインの舌が口の中深くに入り込んできて舐られるのが気持ち良い。吐息を漏らしていると、ふいにレインの唇が離れて物足りなさを感じてしまう。
「……ヴィクトリア、さっき言ってたやつをしてもらってもいい? 俺のを舐めてくれる?」
レインがヴィクトリアの唇を熱っぽく見つめながら指の腹でしきりになぞっている。身体に押し付けられる硬く熱い雄を感じて鼓動と吐息を早くさせながら、レインのすべてを受け入れる覚悟のヴィクトリアは、一切の抵抗もなくこくりと頷いていた。
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