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いかせないよ、シーラ (坊ちゃま視点)
いいだくみ(悪だくみの逆)
放課後、僕はキースの部屋に来た。
夢でシーラの事を抱けないのはつらいけど、本物を抱くためだから仕方ない。
「で、その『書』についてなんだが」
「うん、持って来てるよ」
「お、さすが……俺でも読める?」
「分かんない。読んでみる?」
僕はシーラ特製の肩掛けバッグからセイなる呪いの書を取り出して、キースに渡す。
キースはそれを広げて……
「駄目だ、読めない……何でだ?」
「呪法のレベルが一定以上無いと読めないんだ。
禁書だからね」
読めたら使えるし、読めなかったら使えない。
こういうのは大体そういう制限が掛かってる。
「モートンは読めんの?」
「読めるよ、当たり前でしょ」
むしろ何度も読み込んで、内容は全部頭に入ってる。
この書が誰かに奪われても使えるように。
「本当は、帰ってすぐシーラに使うつもりだった。
一番弱い奴を」
「一番弱いのはどういう効果だ?」
「エッチな気分になって、誘いに弱くなる」
そうしていっぱいキスしてイチャイチャして、気分を盛り上げてから、次の段階を試すつもりだった。
「二番目に弱い奴は、好きな人に抱かれたくなる」
「抱きたくはならないのか」
「ならないね」
どんな男でも女でも、抱かれたくなるんだ。
これはシーラを狙おうとしてた奴らにかけて、検証済み。
この辺はまだ呪いとして書かれているけど……
「二番目の時点で、もう結構ヤバいでしょ」
「ああ」
だって掛けられた人の地位によっては大変な事になっちゃうもんね。
事と次第によっては大スキャンダル……
ま、どうでもいいけどね。
「絶対掛けられたくないな」
「僕もキースには掛けたくない。
ただ、僕以外にもこの呪いを知ってる人がいるかもしれないから、気を付けて」
「分かった、そん時は解呪頼むわ」
「うん」
キースは公爵家のお坊ちゃまだし、兄上を抱く係なんだから、気を付けて貰わないと。
「それで、もう一つ聞きたいんだけど」
「何?」
「その『好き』って、どれぐらいのレベル?」
「友だちぐらいで大丈夫」
「あー……うん、うーーーん、友だち……か」
キースは兄上にどう思われているのか、自信がないみたい。
ふん、シーラに「食っちゃおうかな」なんて言ったりするからそんな事になるんだ。
兄上は潔癖で、そういうの冗談でも嫌いだし。
「……三番目は?」
「目の前にいる人に欲情する」
「その辺から呪いっぽいな」
「そうだね、ただこっちのは『抱かれたくなる』か『抱きたくなる』かは人による」
「って事は、クリムトが抱かれたくなってくれる方に賭けるしか無いか……」
「まあそれは心配しなくても大丈夫と思うよ」
兄上が見てるのはシーラの「股間」。
僕が見てるのはシーラの「お尻」。
だから、兄上はシーラに抱かれたいんじゃないかなって思ってる。多分だけどね。
「っていうかキース、兄上の事遊びじゃないなら、真剣に告白してみたら?」
「え?」
「長い事学園を留守にしてたの、メイヤードの事だけじゃないんでしょ」
「……知ってたのか?」
「だって、時間が掛かり過ぎてるもん。
あの騎士から『婿に来て欲しい家はいくつもある』って聞いたしね」
「ち、あいつ余計な事を……」
キースは頭をぼりぼり書きながら、白状した。
「実は、俺の家、兄貴が継ぐか俺が継ぐかで揉めててな。
俺は最初っから兄貴に継いで欲しいって言ってんだけど、周りが納得しないっつうか。
だからそれの決着をつける為にも、俺はクリムトと結婚してレイクリッド家に入る、って宣言したんだ」
「じゃあ、引き返せないね」
「ああ……確実に、クリムトを手に入れたい」
だから三番目のを、ってキースは言うけど、それじゃ体の関係はあっても心は手に入らない。
キースには確実に兄上を落として貰わなきゃ。
「だったらやっぱり、先に告白しなよ。
本気が伝わんないから駄目なんだ、キースは。
街で色んな子と遊んでるでしょ?」
「う……だって、クリムトに似てたから」
最初に会った時、冗談でもシーラに『食っちゃおうかな』なんて言うようじゃ、兄上だって余計に警戒するよ。
「そういうのもちゃんと言えば、兄上だって心が少しは動くんじゃないの」
「……そうか?」
「そうだよ、少なくともシーラ以外の選択肢になっとかないとさ。
呪いが消えた後、兄上がどう思うか」
「……そうだな」
そうして貰わないと、僕が兄上に一方的に恨まれるだけになっちゃう。
僕は兄上ともずっと仲良くしていたいし、何より僕と兄上が仲悪くなったらシーラが困る。
「僕もシーラに告白する。
結婚して欲しいってお願いする。
……実はね、キース。後継ぎ問題の事なんだけど、ダンジョンで良い事聞いちゃったんだ。
聞く?」
「聞く」
「あのね……」
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