当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!

紫蘇

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学園1年目

クリスマスイベントの有無

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怒涛の学園祭が終わり、いつの間にか冬休み。

冬休みって、クリスマス前に始まるのな。
クリスマスイベントってどうなるんだろ…と思っていたら、案の定おじいちゃんが「帰らんでくれ~帰らんでくれ~」と言うので、夏休みの8人組+コスモス先輩…じゃなくて、アレクさん、がそのまま居残りすることに…。

今日は二学期最後のアレクさんの魔法レッスン。
あれから毎日魔法の練習をして、雷を2メートルくらいは伸ばせるようになった、んだけど…

「サンダーストーム」ゴゴゴ…バリバリ!

エルグラン王子が対抗心を燃やし始めちゃって、
バンバン練習をするもんだからそこら中黒焦げで、
お約束のようにおじいちゃんとヘザー先輩が「芝育て隊」をやって、

「せんせー!僕も雷使いたいです!」

ってリリー君の雷属性も引き出すことになって、殿下が「ならん」と言って、「まあまあ」と剣の達人2人が宥めてくれたと思ったら「ついでに俺らも」って言い始めて、そしたらもう全員やっちゃえってなって…
エルグラン王子がまたひとしきり拗ねた。

「私も、それが良かった」

だって。
みんな雷属性好きすぎるだろ!
まあ……俺も使えるようになったときは嬉しくて、毎日ビリビリしてたけども。
だって雷属性は今まで「2属性目に現れることがある」って言われてて…要はすごく希少なんだよね。
それにさ、カッコいいもんな、雷撃って。

あんまり王子が拗ねるので、王子が持ってない土属性をあの方法…魔力同調法(おじいちゃん命名)で引き出すことにしたのはいいんだけど、これまた殿下が「ならん」と言って騒ぐ。

「他国にこれ以上利益を与えるのは良くない」

だって。
まあ、そうだよね…隣国の軍事力が増強されてってる状態だもんね、今のところね。
でも、エルグラン王子は攻略対象だし、そのうちハーレムに入るんだからさ、実質うちの戦力でしょ。
大丈夫大丈夫…って、王子が殿下のハーレムに入っちゃったら、ジョンさんはやっぱ国に帰ることになるのかな。そっちのほうがマズいんじゃ?
あーあ、今気づいちゃった…殿下がカレンデュラ先生とジョンさんのときに止めておいてくれたら…

「…雷撃剣!」バチン!
「こちらも!…雷撃剣!」バキン!
「まだまだぁ!」バチバチバチバチ!

……魔法剣なんて開発されずに済んだよね?

剣は金属だから雷と相性がいいんだよな…
あれを防ぐ方法もちゃんと考えとかないとな。
雷自体は絶縁体の盾を作ればいいだろうけど…
そもそもの剣撃がエグいからなあ…

「せい!」「ふぬっ!」バチン!バチバチバチ…

あ、やっべえ。
2人が雷撃剣出しっぱで鍔迫り合いなんかしたら…

パァン!「うわっ!」「ぐわっ!」

当然…2人の魔法が合わさって威力上がるよね。
あーあー、練習場の外に生えてたデカい木が…
さっきの衝撃のせいで…
ズズン…と地響き付きで倒れた。

「おー、木じゃ、木が倒れたぞ~」
「木なら遠慮なくいけますね!」

「芝育て隊」が「木を生やし隊」になって嬉々として飛んでいく。
でも、おじいちゃんやヘザー先輩がはしゃぐのも仕方ないんだよな…。

土属性は、地味だという理由で魔法属性人気ランキング最下位を万年キープしてきたんだもん。
おじいちゃんの研究室にヘザー先輩とリリー君しかいないのはそのせいだったんだもん。
それがここにきて「ライフグロウのおかげで、土属性は複数属性を持つのに1番いい」ってことが分かって、今や魔法業界では注目の的だもの。

使いたいよね。雷より植物だよね。

そして練習場の真ん中では…

「うわー!やっちまった!大丈夫か、ジョン」
「まさか鍔迫り合いでこんなことになるとは…魔法剣はなかなか扱いが難しそうだな、トルセン」

いつの間にか名前で呼び合う仲になった2人がはっはっはと笑ってる…いや、わろてる場合か!

啞然としてるところへ、アレクさんが質問に来る。

「師匠が俺に雷属性つけてくれたときのサンダーアームとかも、打ち合ったらああなるのか?」
「なりますね。なんで、相手も同じ技使ってきたら、完全に自爆攻撃になりますから…」
「そっか、いざとなったら自爆…」
「やめてね!?そういうの!」

コマンドは常に「いのちだいじに」!

「教授、こっちの折れた方、どうします?」
「うーん、すぐ薪にするのは勿体無いのお」
「そろそろクリスマスですし、ここはひとつ巨大なツリーを作るのはどうですかね」
「おー、そうじゃ、そんな行事もあったのぉ」
「せっかくだから、校門前に置いて、街の人にも楽しんでもらいましょうよ!」
「いいですね!
 クッキーを吊るしたり、飴を吊るしたりして、子どもたちが自由に取れるようにしたら…」
「おお!ならば12号棟へ行くぞい!」

みんなで寮のキッチンへ駆けていく。
在庫確認して、買い出しも行かなきゃな…
と、歩き出そうとしたら、

くい、くい。袖を引っ張られる。

「…殿下?」
「俺の分は別で作れよ」
「分かってますよ殿下。
 クリスマスにはケーキも焼きましょうね」
「ん」
どんなケーキにしましょうかね…なんて、言いながら2人でトコトコ歩く。
「サンタさん来ますかね」
「お前が良い子にしてればな」

そっか、こっちの世界でも、サンタさんは良い子にしか来ないんだなぁ……。

……ん?


あれ?



クリスマスイベント…
発生した…?
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