当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!

紫蘇

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学園2年目

おじいちゃんと孫 〜おじいちゃん先生視点〜

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ルースがサンドワームに飲み込まれたと聞いたときもルースが素っ裸で運ばれて来たときも驚いたが、それより驚いたのは自分の孫の不可思議な行動じゃ。

自分のシャツを着せたかと思うとそのまま固まって、あれやこれやと百面相し、脱がそうとして脱がせず、ふんふんと頭やら顔やらを嗅いでみたかと思えば下を見てぼんやりしてまた赤くなり、しまいには立案者を探すといって出ていった。

立案者を探すも何も、ここにおるわけじゃが…。

ルースが馬車に運び込まれたと聞いて色々なものが様子を見に訪ねて来たが、みな一様に安心した顔をした直後に顔を真っ赤にして出ていくので、改めてちゃんと今の状態を見てみると…

確かにこれは扇情的すぎるのう。

脚にバスタオルでも掛けてやるか。
これでよし、大丈夫じゃ。

しかしルースは皆から愛されておるな。
夏にダンジョンへ行った面々はともかく、まだ出会うて間もないカイトやゴード…今日会ったばかりの冒険者まで、心配そうに見舞いに来たぞ。
カイトなんぞは

「守れなくて…逆に守られてしまって、云々」

とやたら反省しておったわい。

「ルースは守られる側の人間ではないからの。
 あまり気に病むでない」

とは言っておいたが…
あれはアレクと同じことになるんじゃろうなぁ。
あまり思い詰めねばいいが。

正直に言って、ルースは強い。
多属性の魔法を使えるだけでなく、魔力量もかなりのものだし、何より使う魔法の見極めが早く、しかも正確に飛ばせる。あの運動神経の悪さがなければ、すぐにでも魔法師団へ入れそうじゃ。
まあ、今開発しとる魔法拳の功績があれば、運動神経が無くてもいずれかの騎士団の幹部候補になれるじゃろうがな。

研究者になれば、あの発想力を活かして魔法自体をもっと豊かなものへ変えることもできる。
最たるものが生活に活かすという発想じゃ。
これが市井に広く知れ渡れば、一般市民でも当人の知らないうちに魔力量が上がる…ということはこの国の軍事力が上がるということでもあるわいの。

どちらにしても、今の段階ですでに、この国に有益な存在であることは確か。
でも儂としては、うちの研究室でそのまま研究員になってゆくゆくは王子が言う「先生」か、アレクが言う「師匠」になるのが1番だと思うのじゃが…

どうやらルースは「王の伴侶」になることを選んだらしい。

為政者を支える素質はある。
様々な立場の人間との交友関係はそのまま後ろ盾にもなるだろうし、あれだけ他人から愛されておるのだから国民からも愛される存在になれるだろう。
アルファードのやつのお陰で、幼少期からきちんと王家教育も受けておるし…

しかしあやつ、ずっとそのつもりでおったのかと思うと我が孫ながら恐ろしいのう。

執着が過ぎるじゃろ。

まあいいわい。
王の伴侶が他の仕事をしてはならんとも決まっとらんし、エルとジョンが側室になって後宮へ住むんじゃったら、それぞれ伴侶が決まるまでの間はカートやヘザーやガーベラ…さらにはアレクやトルセン、おまけにアナガリス兄弟もまとめて後宮へねじこんでおけばこの環境をそのまま王宮に持っていけるしの。
商売やら会計やらのためにアイリスも入れとくか?
なんせ30も枠があるんじゃから好き放題よ。
足りなんだら息子こくおうのぶんもあるしの!

側室制度の使い方はアルファード次第じゃ。
別に子作りだけに使わねばならんわけでなし。
国の為になる事に使うなら何でも構わんのだから!

ルースは魔法界にとって大事な人材じゃ。
ルースが王家に嫁ぐことを選ぶなら、今の環境をそのまま後宮へ持ち込んでしまえば良いだけよ。

それに、儂はずっと…
今いる皆で楽しく遊んでいたいのじゃ。
毎日何が起きるかわくわくする。

おじいちゃん、と呼んでくれるのも可愛いしの。

しかし、アルファードとルースが結婚したら、儂は本当にお義祖父じいちゃんになるんじゃなぁ…



それにしても…
ルースは本当に気づかんと言うとるのか?
儂が前国王アルファードのおじいちゃんじゃということに…
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