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学園2年目
そういえば、サウナ
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巨大サンドワームやら何やらで忘れてたけど、いつの間にか学園祭が近づき、魔法学会での発表の準備に追われることになった。
魔法関連の書籍は魔法棟にあるもんだから、結局魔法棟に行かなきゃならないんだけど、研究室を移したもんだから移動が大変で…。
「どうにか元の場所も使えないですかね?」
「使えなくはないが、机もないからのう」
確かに、完全なるお引越しだったもんな…
ちなみに、元の研究室は、お隣の研究室からの侵略を防ぐために、カレンデュラ先生とジョンさんが物置にしているらしい。
「茶ぐらいは出せるが、そこで書き物をするとなると厳しいな」
「うーん、そうですか…」
「あ!そういえば前に、僕とヘザー先輩で小屋を建てたって言ったでしょう?
あそこをね、少し前にルースさんの言ってたサウナっていうのに改造したんです、もしよかったら…
あの時より少し広くなってますし!」
するとおじいちゃんが慌てて言った。
「ならん!あそこは…その、えー…、ならん」
「何だじじい、歯切れが悪いぞ。何を隠している」
「なんもないぞよ?」
何かあったな。
「行ってみましょう」
「うむ」
「なんもないぞよ~~!!」
いつも研究室に出入りしているみんなで強引にその場所へ行ってみると、
「あ…あれ?」
「…少しどころでなく拡がったな」
「立派な一軒家…というか…」
「ちょっとした砦だな」
10人以上が勤務できそうなサイズの建築物が、
うまいこと林に隠れて建っていた。
「なんで!?」
「すまん、実はその…儂とヘヴィで…
ちょっとした親心というか出来心というか」
「そんな、ひどい…っ」
「ちゃんと!ちゃんとリリーとヘザーが作ったところも残っておるから!な!な!?」
討伐後に行われた祝勝会の後、息子の住環境やら職場環境やらを見学しに来たヘヴィさんがここを見て、寝る場所が無いとか寛げる場所が欲しいとか言い出し、かっとなったおじいちゃんが酒の勢いで「やったるわい!」と言ってこうなったらしい。
「つまり、ずっとやってみたかったんですね?」
「だって、楽しそうだったんじゃもん!
あ、いや…すまん…まあ、中へ入ってみんか?」
中に入ると、家具がすでに入っていた。
新品ではないけど、机もどーんと大きいのがリビングにあるし、椅子もある。簡単なキッチンもついているし、2階にはベッド付きの個室もある。
「泊まり放題じゃないですか…すごいな」
「そうじゃろ?」
「…」「…」
おじいちゃんは自慢気だったけど、リリー君とヘザー先輩のジト目に気づいて小さくなった。
「すまん、すまんって…」
「許してやれ、2人とも。
実験にじじいを入れてやらなかったお前たちにも非がある…小指の先ほどな」
「…わかりました…」
まあ、ここまで勝手に増築されたらちょっとねえ…
気持ちは分かるけど、許してあげて欲しいな。
納得したようなしてないような不服そうな顔で、リリー君が頷く。ヘザー先輩もそれを見て頭を搔き、苦笑いして頷く。
そんな2人を見て、俺はようやく、そもそも何を見に来たのかを思い出した。
「あ、そうだ、サウナ…蒸し風呂!」
「そ、そうじゃ、蒸し風呂はそっちじゃ」
俺はサウナになる予定の場所を覗いてみた。
すると、あの時ぼんやりした頭で説明したとおりの作りがそこにあった。
「うわー!すごい!俺の思ってたとおりだ!」
「!!」
「ヘザー先輩、リリー君、ありがとう…!
水風呂もある!休憩ベンチもある!完璧だ!」
あとは、サウナ室を温める装置があれば…
あ、温度計と、砂時計も欲しいな。
「で、でも…小さいし」
「大きいと大きい装置がいるけどこのサイズならダンジョンで採ってきた魔石で…ね、ガーベラ先輩!」
「そうだね、このサイズなら僕らでも作れるよ」
「おおー、やった!早く作りましょーよ!」
論文書いて疲れたらサウナでリフレッシュ…
最高じゃん!
「まずは論文が先だろう」
「それはそうですけど、好きなんですもん」
「…そうか…」
「完成したら一緒に入りましょうね!
これに入る作法があるので、教えますから!」
殿下が呆れたように俺を見る。
ジョンさんが難しい顔で言う。
「蒸し風呂に作法などあったか…?」
「何だか気になるね…先生、教えて頂けますか?」
「もちろん!気になる方は是非ご一緒に…」
「僕も!僕も気になります!」
「僕も是非教えてもらおうかな」
「儂も儂も」
みんなの反応も上々だ。
前世で学んだサウナ道を布教するぞ!
「おい、ルース」
「なんです、殿…下……?」
あれ、殿下のご機嫌が…
「風呂に一緒に入るのは、一生俺だけだと…」
「えっ…でも、サウナは風呂と別物ですし」
「ならん!」
「えー!」
ぷりぷり怒る殿下。
せっかくサウナでチート!と思ったのに…
残念!
魔法関連の書籍は魔法棟にあるもんだから、結局魔法棟に行かなきゃならないんだけど、研究室を移したもんだから移動が大変で…。
「どうにか元の場所も使えないですかね?」
「使えなくはないが、机もないからのう」
確かに、完全なるお引越しだったもんな…
ちなみに、元の研究室は、お隣の研究室からの侵略を防ぐために、カレンデュラ先生とジョンさんが物置にしているらしい。
「茶ぐらいは出せるが、そこで書き物をするとなると厳しいな」
「うーん、そうですか…」
「あ!そういえば前に、僕とヘザー先輩で小屋を建てたって言ったでしょう?
あそこをね、少し前にルースさんの言ってたサウナっていうのに改造したんです、もしよかったら…
あの時より少し広くなってますし!」
するとおじいちゃんが慌てて言った。
「ならん!あそこは…その、えー…、ならん」
「何だじじい、歯切れが悪いぞ。何を隠している」
「なんもないぞよ?」
何かあったな。
「行ってみましょう」
「うむ」
「なんもないぞよ~~!!」
いつも研究室に出入りしているみんなで強引にその場所へ行ってみると、
「あ…あれ?」
「…少しどころでなく拡がったな」
「立派な一軒家…というか…」
「ちょっとした砦だな」
10人以上が勤務できそうなサイズの建築物が、
うまいこと林に隠れて建っていた。
「なんで!?」
「すまん、実はその…儂とヘヴィで…
ちょっとした親心というか出来心というか」
「そんな、ひどい…っ」
「ちゃんと!ちゃんとリリーとヘザーが作ったところも残っておるから!な!な!?」
討伐後に行われた祝勝会の後、息子の住環境やら職場環境やらを見学しに来たヘヴィさんがここを見て、寝る場所が無いとか寛げる場所が欲しいとか言い出し、かっとなったおじいちゃんが酒の勢いで「やったるわい!」と言ってこうなったらしい。
「つまり、ずっとやってみたかったんですね?」
「だって、楽しそうだったんじゃもん!
あ、いや…すまん…まあ、中へ入ってみんか?」
中に入ると、家具がすでに入っていた。
新品ではないけど、机もどーんと大きいのがリビングにあるし、椅子もある。簡単なキッチンもついているし、2階にはベッド付きの個室もある。
「泊まり放題じゃないですか…すごいな」
「そうじゃろ?」
「…」「…」
おじいちゃんは自慢気だったけど、リリー君とヘザー先輩のジト目に気づいて小さくなった。
「すまん、すまんって…」
「許してやれ、2人とも。
実験にじじいを入れてやらなかったお前たちにも非がある…小指の先ほどな」
「…わかりました…」
まあ、ここまで勝手に増築されたらちょっとねえ…
気持ちは分かるけど、許してあげて欲しいな。
納得したようなしてないような不服そうな顔で、リリー君が頷く。ヘザー先輩もそれを見て頭を搔き、苦笑いして頷く。
そんな2人を見て、俺はようやく、そもそも何を見に来たのかを思い出した。
「あ、そうだ、サウナ…蒸し風呂!」
「そ、そうじゃ、蒸し風呂はそっちじゃ」
俺はサウナになる予定の場所を覗いてみた。
すると、あの時ぼんやりした頭で説明したとおりの作りがそこにあった。
「うわー!すごい!俺の思ってたとおりだ!」
「!!」
「ヘザー先輩、リリー君、ありがとう…!
水風呂もある!休憩ベンチもある!完璧だ!」
あとは、サウナ室を温める装置があれば…
あ、温度計と、砂時計も欲しいな。
「で、でも…小さいし」
「大きいと大きい装置がいるけどこのサイズならダンジョンで採ってきた魔石で…ね、ガーベラ先輩!」
「そうだね、このサイズなら僕らでも作れるよ」
「おおー、やった!早く作りましょーよ!」
論文書いて疲れたらサウナでリフレッシュ…
最高じゃん!
「まずは論文が先だろう」
「それはそうですけど、好きなんですもん」
「…そうか…」
「完成したら一緒に入りましょうね!
これに入る作法があるので、教えますから!」
殿下が呆れたように俺を見る。
ジョンさんが難しい顔で言う。
「蒸し風呂に作法などあったか…?」
「何だか気になるね…先生、教えて頂けますか?」
「もちろん!気になる方は是非ご一緒に…」
「僕も!僕も気になります!」
「僕も是非教えてもらおうかな」
「儂も儂も」
みんなの反応も上々だ。
前世で学んだサウナ道を布教するぞ!
「おい、ルース」
「なんです、殿…下……?」
あれ、殿下のご機嫌が…
「風呂に一緒に入るのは、一生俺だけだと…」
「えっ…でも、サウナは風呂と別物ですし」
「ならん!」
「えー!」
ぷりぷり怒る殿下。
せっかくサウナでチート!と思ったのに…
残念!
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